「ほぼ日」はワールドカップに |
<オフサイドトラップと 鈴木慶一さんのワールドカップ観戦記2> 今日の決戦はチョンジュで15:30〜、神戸で20:30〜です。 どちらに注目しましょうかねぃ? (決勝トーナメント表はこちら) 再び登場! 鈴木慶一さんのインタビューもあるよ!!
オフサイドトラップ。 実はいちばんやってみたいプレーです。 オフサイドはなんとなくわかる。 でも、オフサイドトラップって何? (みーさん) 日本の守備陣系であるフラット3 が得意とする、オフサイドトラップ。 これは攻撃側の人間が、 前にいる選手に向けてパスを出そうとした瞬間 守備側のディフェンスがそろって敵陣側に駆け上がり (これをラインを上げるといいます)、 パスをもらおうとしていた選手を置き去りにして オフサイドを成立させてしまう というプレーです。 相手がパスを通そうとした瞬間、 ダダダーッと3人で駆け上がるなんて、 スリリングでよいわ! 見ていて小気味いい! 日本代表は、このオフサイドトラップを フラット3の真ん中にいる選手 (ベルギー戦では森岡隆三選手 ロシア戦では宮本恒靖選手) の指示で行っていましたよ。 攻撃選手だけでなく守備選手も要チェックだっ!
ロック界のベッカム、 ムーンライダーズの鈴木慶一さんです。 今日はチェコのクラブチーム、スパルタプラハの ユニフォームを着ています。 って、チェコ、今回のワールドカップにゃ出てないじゃん。 ご自慢のベッカム・ヘアは? 髪、立ってないですよ。 「今日は寝ベッカムだよ」 混戦だった予選リーグについて、 慶一さんにまたまたお話をうかがいました。 ------------------------------------ ──6月7日に スウェーデンVSナイジェリア戦を 神戸まで観戦に行かれたんですよね? 前回はイングランドサポーターがこわくて ろくな応援ができなかった、とのことでしたが、 今回はファッションもキメキメで行ったのですか? ナイジェリア戦だったから 「今日こそ派手に応援する服を着ていける!」と思って、 スウェーデンのTシャツをこの日のためにとっておいたの。 ところがスタジアムに着いてまわりを見ると、色が違う。 おれ、まちがえて フランスのTシャツを買ってたんだよ。 でもフランス、ウルグアイと引き分けて調子悪いからさ。 その翌日だし、しっかりな!の意味も含めて 「ま、いいか」と、着てた。 (このすぐあとに、 フランスは予選リーグ敗退が決まりましたね、 慶一さん・・・) ──で、試合はいかがでした? 場所はたしか、神戸でしたね。 村祭りみたいで楽しかったよ。 観客席全体が関西のノリで。 スウェーデンは、チームに 同じ名前の選手が 「スベンソン」と「アンデション」で 3人ずついるんだよ。 スベンソンに交代して またスベンソンが出てきたりするから(笑)、 「なんやー、同じ名前やないかー」 って、野次が飛ぶ。 ツッコまざるを得ないんだよな、 関西の人って(笑)。 同じやんかぁ! スウェーデンの「鈴木」みたいなもんかぃ! ──鈴木とか佐藤とかね(笑)。 そういうお客さんがいると、ホッとしますよね。 いやぁ、笑ったよ。 前のイングランド戦とはぜんぜん雰囲気がちがう。 やっぱり、イングランドがらみの試合は特殊なんだね。 いろんな試合を見てる知り合いが言ってたけど、 スタジアムにイングランドサポーターが 100人でもまじってると、 雰囲気がちがうらしい。 ナイジェリア&スウェーデンだと、 そんなにピリピリしてなかったのだ。 ──ああ、楽しめたようで、よかったですね。 Tシャツはまちがったけど。 明日はスウェーデンVSアルゼンチンですから (この取材は6/11におこなわれました) スウェーデンのTシャツを、こんどこそ 着ていきますか? いやいや、地味に、地味に(笑)。 アルゼンチンが負けたらね、帰りがもう、 大変なことになるよ。 (引き分けましたね、慶一さん・・・) ──今から帰りの心配ですか! こわいよ。もうアルゼンチンのサポーター、 地面にごろごろ寝るらしいんだから! ──寝る? ほんとですか・・・? じゃあ、スウェーデンがわに座っていても、 心はアルゼンチンを応援するんですね。 うん、アルゼンチンを応援したいですね。 こわいというのもあるけど、 アルゼンチンはやっぱり、予選突破してほしいし。 ほんとはイングランドもスウェーデンもね。 ──その試合ですべてが決まりますからね。 ですから、よけいアルゼンチンに 勝っていただかないと困りますよね。 ロシアじゃ死人が出てるし。 でも、日本人も暴れてるねぇ。 ──千駄ヶ谷の駅なんか、すごいですよ。 やっぱりさぁ、年寄りのサッカーファンが 若者の暴走を抑えないとだめね。 おれぁ、やだけど。 ──え? 慶一さんのような方に 鎮圧していただかないと・・・。 海外は全世代でサッカーを支持してるけど、 日本の年寄りは野球で発散しちゃってるしな。 年長者がここはひとつ、見せてやらなきゃな。 おれぁ、やだけど。 ──神戸で試合を見たあとは? ホテルに帰って、 あの「因縁の対決」と言われた イングランドVSアルゼンチンをテレビで見た。 ──ホテルで。 どちらのチームを応援していたんですか? ・・・そいつはむずかしいね。 ──テレビなんだから、べつに思いっきり応援しても いいのでは!? これだけ混戦してますから、 優勝候補の予想は、変わりました?。 (6月7日の時点では イタリアの優勝を予告していらっしゃいました) うーん、わかんなくなったね。 こんな波乱万丈は、かつてないよ。 いたいとこで負けたよなあ、イタリア。 ネスタがケガしたのに なかなか交代できなかったでしょ。 あれがかわいそうだったねぇ。 ──もう予選リーグも終わりですが、 ここまでご覧になって、どうですか? 今回のワールドカップの結論はもう出たよ。 ──え、早っ! まず、 1.番狂わせが多い。 ──フランスが最初に負けたときアレ?って 思いましたけど、 強豪がすべて、つまずいていますからね。 順調に勝ってるのはスペインだけだな。 あ、あとブラジルもか。それに、今回は 2.東アジアがよくがんばっている。 ──日本、韓国、中国・・・。 でも、アメリカが意外に強いですよね。 そうなんだよね。 アメリカじゃ、誰も見てないだろうに(笑)。 体が強いしな、アメリカは。 ──身体能力高いですからね。 そもそも、出てるんだもんな、ワールドカップに。 予選を勝ち抜いて、ちゃんと。 必ず出てんだよねぇ。 それから、 3.審判に文句がある選手は 多いだろうな、と。 ──ミスジャッジがある、ということですか? 審判を敵にまわしちゃ負けなんだけど、 オフサイドやファウルのとりかたも ちょっと目につくことが多いかも。 あと、今回もっとも特徴的なのは、 4.ゴールポストや クロスバーにあたった シュートの数の多さ。 いままででいちばんだろうねぇ。 ──そういえば、多い。読者のかたからも こんなメールが届いてましたよ。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 今までの大会より シュートしてもクロスバーにあたったり、 ネットの上にボールが行ってしまうことが やたら多いような気がします。 気のせいでしょうか? 今回から特殊なボールだそうですが それに関係あるのかな〜? とっても不思議です。 東京:デルピ出てね より ■■■■■■■■■■■■■■■■■■ せまくなったのかなぁ、ゴールポスト。 毎回あるよね。 あんなには、バーにあたんないもんだよねぇ! ボールは確かにね、使った事あるけど、 なんかフニャフニャしている。 ソフトな感じってっていうかな、 回転つきやすいっていうか、 ドライヴかかりすぎっていうか、 アマチュアにはやりやすいけど。 ──ロシア戦の、中田のシュートも惜しかったです。 あのシュートは、あのまま下にいくと キーパーにはじかれてたかもしんないけどね。 ま、今大会の結論としては、この4つだ。 ──日本代表チームのなかでは、 どの選手がお好きですか? 服部だな。 ──はっとり。あ、メンバーチェンジで出てくる人ですね (よくわかってない言い方で、本当にごめんなさい)。 おれ、シメオネっていうアルゼンチンの選手が好きなの。 日本のシメオネは、服部ってわけだな。 顔で決めてんだけど。 ──顔ですかぃ! 同じポジションってわけじゃないんだ。 どんな顔でしたっけ、シメオネ? シメオネはネズミ男って言ってるけどおれ、そんなかんじ。 服部もシメオネも、プレーが粘り強くていいね。 あっ、あと、柳沢も好きだよ。 批判されたりしているけどね。 「柳沢かえろ」って、試合中に 誰かがぜったい1回や2回、言うでしょ。 ──言います、言います。野次の8割がそうです。 柳沢は富山のラーメン屋さんの息子なんだけど、 日本海側のね、 「おれは目立つよりいいアシストをしよう」 っていう姿勢に満ちてるわけだよ。 みんなで観てると 「あ、柳沢、ばかやろう、なんでシュートしねえんだ!」 って声が上がるんだけど、 おれはぜったい柳沢の批判はしないよ・・・。 ──したことはないよ、と。 うん。ないよ。 あいつは、テレビで見てるだけではわかんないプレーを ぜったいしてるはずだ、と。見えないところで。 ──このまえのロシア戦で 稲本がゴールしたときのアシストは ばっちりわかりましたよ、私にも。 あれは柳沢が、 もうほんとにワンタッチでちょこんって出してねぇ。 ──よく見えてるんですね、人とボールが。 よく見えてるよねぇ。 あれ、パスがちょっと遅れたらオフサイドだし、 早いと稲本が走ってくるのが間に合わないし。 ・・・そういうフォワード なんだよ、柳沢は (つぶやき声で)。 ──フォワードっていうと、 ボンボンボンボンシュート入れるもんだと 思ってましたけど。 ああいうフォワードが出てきたのは ここ最近ですか? うん。ああいうタイプはあまりいないね。 惜しむらくは、 自分でもたまにはシュートを打てばいいのにねぇ。 去年、イタリアと日本代表の親善試合のときに とてつもないシュート決めてんだよ。柳沢。 パーンてきたボールをボレーで入れたのよ。 あんなビューティフルゴールはなかったわ、 ってくらいのやつ。それを世界中が見てた。 だから、けっこう柳沢の評価は高いんだよ。 でも、それ以降、ないんだよな(笑)。 おれね、できるのにやってない と思うよ。 ──なんでも、トルシエ監督の作戦に 純粋に従っているのが柳沢選手らしいですね。 そーそーそー。 おれは鹿島ファンだから言うわけじゃないが、 柳沢と、あと、鈴木って、 「お前、なんでここまで戻ってるんだ!」って ツッコミたくなるくらい、前後に動くフォワードなの。 チェイスするフォワード。 それは、鹿島のサッカーのスタイルなのよ。 それとトルシエとが合ってるんだろうね(遠い目をして)。 柳沢は、インタビューで答えてたんだけどね、 「自分が目立つことよりも、 アシストする喜びもすばらしいんです」 もう涙が出そうになってね。 ──慶一さん、父の顔になってますよ。 ディフェンスについてはどうですか? フラット3。 だいたい2トップが多いからね、フォワードは。 それにひとりずつがカバーリングする。 3バックだとひとり余らせておいて、 ケアをするわけだよ。スイーパーシステムだな。 フラット3は、特にマンマークしない。 3人が一直線になって、上げたり、下げたりで オフサイドを狙いつつ敵のフォワードをケアする。 で、それとは違って、 4人でカバーする4バックっていうのがあって、 センタリングする敵をサイドバックが、 敵フォワードを真ん中ふたりが それぞれカバーする。乱暴に言うとね。 これのほうが、ほんとは日本はいいと思うな。 なーんちゃってな。 ──鈴木監督としては! 日本は4バックでいったほうがいいなあ〜。 なんかそのほうがいいなあ〜。 3人で守るのは、体力がいるんだよ。 いま、日本でいちばんこわいのは、 中田浩二がケガすること。 左のディフェンスは、 ほかに代わりがあんまりいないから。 なんかおれ、鹿島アントラーズの選手ばっかり 味方しているけども。 中田がケガさせられたら、と思って、 いつもハラハラしてる。 「あー今日もやられなくてよかった、 今日はやられなくてよかった」って。 ──そんな父のような気分で見てるんですか・・・。 ああ、明日でもう観戦は終わりなんだな。 でも最初は チケットが当たるとは思ってなかったからね。 ──どのチケットも抽選でしたもんね。 そうそう。インターネットで申し込んでさぁ。 やっぱり予選はおもしろいわ。 日に日に情勢が変わるもん。 アッコちゃん(矢野顕子さん)から 「日本って引き分けたけど、 引き分けって勝ちなの?」 ってメールが来て(笑)。 ──むずかしい! (笑)、ちゃんと説明したけど。 勝ち点っていうのがあってね、って。 勝つと3で、負けるとゼロ、引き分けで1、 足してって出す。 今度は中国にいる友人から 「勝ち点並んだらどうなんの?」 ってメールが来た。夫婦で、 中国であんまり情報のないところで見てるから、 「だんなが言うには、ファウル数の多いほうが負けだ」 って。 ──わー!「言うには」って! オレルール。 あれ、6段階になってんだよね。 最後は抽選になっちゃうんだよ。 抽選になっちゃったら、せつないぜ〜。 でも、この混戦模様からすると、 抽選が出そうなかんじがするなぁ。 いろんな人からメールで サッカーのこと聞かれてたいへんなんだよ、もう。 ──さすが、インタビューで 最近何してるんですか、と訊かれて 「ワールドカップ」と答えた だけのことはありますね。 だんだん仕事が入ってきちゃってね(笑)。 サッカーばっかり見てられなくなってきちゃったな。 ──お仕事のほうも、大事にしてくださいね。 今日はありがとうございました。 ------------------------------------ この翌日、アルゼンチンにビビリながら 仙台へ旅立った慶一さん。 ご心配だったとおりに、アルゼンチンは予選敗退。 そのときのお話を、またチャンスがあれば うかがいたいと思っていますよ〜。 つぎは「起きベッカム」で、来てくださいね!
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2002-06-17-MON
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