うらやましいなぁ。 この広さだったら、食事は何人かわからないけど、 ただ人を入れるだけだったら300人いけますよ。 |
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そうですね。 |
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こういうスペースを作るときには 目的があって、 「これがどういうふうにいいのか」ということを 説明しなきゃならないでしょう。 人と会うことが大事だとか、 いろんなことを理由に挙げることになるけど、 ほんとうは何も言わないほうが いいような気がするんですよね。 ただ作っちゃった、というのがほんとうはいい。 「ただそれだけ?」 「社員食堂なだけ?」 ということなら、逆にみんなは 「それでいいんだろうか」と言って、 何かをやり出すんだよね。 「密接にコミュニケーションできる場として 活用したい」 なんて言うと、活用を強いられる気がするし。 |
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そうなんですよ。 稼働率とか、気にしたり。 |
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以前、友人が 自分の会社にぼくを呼んでくれて、 社員のみんなに感想文を書かせて 集めてくれたことがありました。 すごくありがたい経験でした。 でも、逆にその友だちを「ほぼ日」に呼んだときには、 ぼくは社員に感想文は書かせませんでした。 だって、めんどうでしょ? あとで感想書かされると思って話を聞くのもいやです。 「脱目的」という部分があっても、 目的は達成できるような気がするんです。 目的がないと、外の人にも説明できないし カッコつかないですが、そこのところは 「目的なんてよそうよ」と言ったほうがいいです。 裏に置いとくのはいいのかもしれないですけど。 |
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あえて出さないんですね。 |
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うん。社員のみんなには ただ「ここを使ってくれ」と言ったほうが いいような気がします。 社員研修旅行だって、 「研修」成分をわざと入れるけど あれも、ないほうがいいですよね。 そうすると、自然に研修したくなるものです。 ぼくは年寄りだから、つい こういうことを言いたくなると思うんだけど‥‥。 あとは、あれですね、 ぼくはここに、ランドマーク的なものをひとつ 置いたらいいんじゃないかな、と思います。 守り神みたいな、空間をピリッとさせるもの。 |
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Yahoo! JAPANができて、今年で18年かな‥‥ ネットの中では、古い会社なんです。 たいていの会社は21世紀なんですけど、 ぼくらは20世紀からやっています。 だから、そのころに使っていた何かを、 ここに置きたいな、とは思っていたんです。 しかし、ヤフーもそうですが、 残念ながらこの業界は、何にも残さないんです。 第1号のサーバとか、 最初のオフィスで使ってた椅子とかソファーとか、 捨てるんじゃなかったな(笑)。 そのへんに、創業のときに座っていた ソファーとかあるといいなぁなんて 思ったりしていたんです。 |
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いいですねぇ。 創業時の社員のメモでもいいんじゃない? |
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まったくないですね。 |
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それは惜しいなぁ。 探せばなんかあるんじゃないの? |
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うーん‥‥見事に、ないですねぇ。 ぼくは1997年に入ったので 在籍が長いからいいんですが、 最近入った人は、 昔のことを知りたいという思いもあるようです。 ぼくが入ったときは、箱崎で できたばかりのオフィスでした。 そこの壁を削ろうかとか、そういう話をしてました。 |
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1997年って、ぼくがコンピュータを はじめて買った年です。 その翌年が、「ほぼ日」のスタート。 |
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そうですね。 「ほぼ日」も20世紀の会社ですね。 |
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司会の 皆川さん |
盛りあがっているところにお邪魔します、 うちの社員から、質問が来ておりまして、 ここでうかがってもよろしいでしょうか。 |
埋蔵金は出ませんよ。 |
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皆川 | 埋蔵金は出ない‥‥。 |
会場 | (笑) |
皆川 | 質問、読みあげさせていただきたいます。 よろしくお願いいたします。 「ジェネラリストを選ぶか、スペシャリストを選ぶか、 よく議論される内容かとは思いますが、 糸井さんはこれから、 個々が社会に価値を与える人間として 成長するためには どちらに重きを置くべきか、もしくは両方なのか、 お考えをお聞かせ願いたいです」 |
それは、なっちゃうだけなんじゃないかな、 と思います。 結果としてスペシャリストになったり、 ジェネラリストになるだけで、 ジェネラリストになろうと思ってなる人も、 スペシャリストになろうと思ってなる人も、 いないのではないでしょうか。 「俺はいつもひとつのことになっちゃうんだよな」 という人はスペシャリストだし、 そうじゃない人はジェネラリストかもしれない。 どっちになるべきかとか、 どっちが大事かではありません。 犬は棒を投げると取りに行っちゃう、 そういうことなんじゃないのかな。 |
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皆川 | 宮坂さんは、スペシャリストか ジェネラレラリストか、どっちでしょう。 |
ぼくはけっこう気が散るほうなんで、 スペシャリストになれないですね。 |
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ぼくもおなじく、なれないですね。 でも、「飽きる」のスペシャリストって、いると思う。 それかもしれないね。 「ぼく、分散スペシャリストです。 ものすごく飽きるんです」 と、売り込みするやつが出てきたりして。 |
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皆川 | ありがとうございます(笑)。 会場で、質問のある方がいらっしゃったら‥‥はい、 どうぞ。 |
男性 | 糸井さん、お話ありがとうございます。 ぼくはいま、新規のサービス企画の仕事をしています。 サービスを作るときに、 人にびっくりしてもらったり、 「なんだこれ?」と思ってもらえるようなサービスを 作りたいと思っています。 糸井さんが最近びっくりしたことや、 すげぇと思ったことがあれば教えてください。 |
しょっちゅうしてます。 びっくりの大安売りです。 ぼくはほんとうに しょっちゅうびっくりしています。 「おお、びっくりした」って、毎日言ってます。 伝えやすいことでびっくりしてることもあるし、 無意識でびっくりしてることもあります。 食いものとかでもびっくりします。 |
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たとえば、何を食べたときにびっくりしました? |
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しょっちゅうだからな‥‥。 |
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会場 | (笑) |
思い出せないような、 小さなびっくりの積み重ねなんですね。 |
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気が弱いんでしょうか? たえずびっくりしてます。 |
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皆川 | 逆に我々は糸井さんに びっくりさせていただくことが多いんですが。 |
どちらかというと、いまのぼくは、 びっくりさせようなんて思ってもいないんです。 びっくりさせることの先に、 「びっくりさせてどうしたいんだ?」ということが あると思うから。 相手をびっくりさせたあとに 「びっくりした?」と言うときは、うれしいですよね。 そうなると、「びっくりさせること」より 「うれしいこと」がやりたいのだと思います。 となると、うれしいことだったら 「びっくり」じゃなくてもいいんですよ。 ただ「いいね」というのでもいい。 ですから、びっくりさせることは、 ひとつの方法にしかすぎないのではないかと思います。 |
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皆川 | そろそろお時間になってきましたが、 あらためて、このBASE6について お伺いしてもいいでしょうか。 |
この食堂の、山や階段を作ったのは、 作ろうと思ったのが先なのか、 「それって視点を変えるっていうことにもなるよね」 というのが先なのか、どっちなんだろう? ぼくは、「こうしたい」というのが先で そこから「視点が変わることにもなるよね」 という理由があとづけになったほうがいいと思う。 空間を考えるときには、 からだの直感が先になったほうが、やっぱりいいです。 夏になったら大冒険して、ここにいちど砂を入れて‥‥ |
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ビーチみたいに。 |
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秋になったら、砂をどけるとか。 稼いだお金をそうやって使えばいい。 |
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会場 | (笑) |
糸井さんのおっしゃるとおり、 空間は直感であるといういこと、よくわかります。 言葉で先に説明しつくさないほうがいい。 |
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先に頭が「やれ」というのは、 体重の比から言ったって、おかしいですよね。 首から上は、役人でしょう。からだは大衆。 大衆の動きに合わせて役人が いい政治をしていくのです。 頭が先に考えて、 からだに「おまえらこうやれ」と言ったら、 大衆は怒りますよね。 |
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でも、仕事をしてると、どうしても 砂を入れることの説明は‥‥(笑)。 |
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砂、いいですよね、寝られますし。 |
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「なぜ砂を入れるのか」という項目を 書類には書きたくないんですよ。 会社って、そういうもんですよね。 だけど、そういう余計なことを すごく言われちゃうから。 |
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なんでそうなっちゃったかね。 |
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砂は気持ちいいじゃないかといって 通ればいいなぁ。 俺が通すしかないんですけどね。 |
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まず「砂を入れる」と 思いつくところがスタートだから。 |
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そうですね。 |
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なければ、そのままです。 まぁ、全身からの五感をとか、 感受性がなんとかかんとかで、 あとで嘘つくしかないのかな。 |
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やっぱり、今日糸井さんとお話したなかで、 ぼくがいちばん印象的なのは「毛」という言葉です。 いまはもう頭の中、毛しかないぐらい 濃厚になっちゃってます。 無目的なもののよさを大事にしたいなと思います。 会社で働く場合には、 やはりその仕事の目的が決まっていることが多い。 その目的を達成するために、 マシンのようにやるわけです。 その一方で、なんかわかんないけど、 「砂、いいよね」みたいな 懐の広いところがある。 ひょっとしたらそれがこれからの 働くことのきっかけかな、なんて思いました。 |
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その感覚は、社員の方々だけじゃなく お客さんが喜ぶような気がします。 価値を生み出すのは、結局人しかいないから。 機械が生み出すわけでもなければ、 自然が生み出すわけでもない。 つまり、天然のダイヤモンドは 価値そのものじゃないわけで。 すべての価値は、とにかく人が生み出すのですから、 人は大事にされるべきだと思います。 それは働き方を考えるときの土台じゃないかな。 「ほぼ日」がそうしてるかどうか知りませんよ。 けっこう、蹴飛ばしたり、 タバコの灰なんかおしつけて、 「根性ねぇんだよ」とか言ってるかもしれない(笑)。 そういう嘘をつくのもね、人の価値ですからね。 どんどん嘘をついていこうと思います。 |
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(笑)今日は、ありがとうございました。 |
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たのしかったです。 ありがとうございます。 |
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(おしまい) |
2014-03-28-FRI |