ほぼ日 |
「菜園手帖」の中でも
丹治さんの本領発揮と言いますか、
「これだけでも
一冊の本になるんじゃないか?」
と、いうくらい力の入った
永田野菜レシピ集についてうかがいます。
今回、全部で何種類くらいの
レシピをつくったんでしたっけ。 |
丹治 |
51種類の野菜に対して
72のレシピを開発しました。
本当はもっとつくったんですけど、
厳選して72にしぼり込みました。
レシピを考えてくれたのは、
料理家のたまごというか
スター候補生のような料理家たちです。 |
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ほぼ日 |
ヤクルトの青木選手みたいな人たちなんですね。 |
丹治 |
野球に詳しくないんで
その例えはわからないんですけど、
そういう人たちです。
まず、その料理家たちを
浜松の永田先生のところに連れていって
例の「永田先生のオケに入った野菜」を
食べることからスタートしました。
次に、近所のお好み焼きやさんで
その野菜を料理してみたんです。
みんな、料理が大好きな人たちなんで、
そんなすごい素材に出会ったことで、
もう、目が輝いているんですよ。
それはすごく印象的でしたね。
みんなでレシピを考え始める前に、
まずはコンセプトをしっかり伝えました。
今回のレシピは、
「野菜を使っていればなんでもいい」
というのではなくて、
自分の家にベランダや庭に
畑があると想定してつくりましょう、
ということでした。
スーパーで売ってる、
いつとってきたか
わからないようなものじゃなくて、
もぎたての野菜を使うことが前提です。
つまり、とれたての味わいを
ぜったいになくさないような
レシピにしたかった。
こね繰り回して、
「なんとか風」とか「なんとかがけ」
みたいなものじゃなくて
シンプルに味わえることを
大切にしようと、伝えました。
あとは、買うと高い野菜ってありますよね? |
ほぼ日 |
バジルとか、ですね。 |
丹治 |
そう。バジルも、今回は
自分で収穫したものになるわけだから
原価を考えずに
たっぷりと贅沢に使えるわけですよ。
あえて、積極的に、
「何かをたっぷり使う」料理を
つくってみよう、と思いました。 |
ほぼ日 |
収穫するときは
たっぷりできてしまうわけだから、
その視点は重要ですね。 |
丹治 |
そうそう。
人にあげるくらい
たくさんできちゃうわけだからね。
ですから、保存食に近いようなものも
積極的に考えたかったんです。
「とれたてを使う」「たっぷり使う」
そのふたつを考えて
レシピをつくりました。 |
ほぼ日 |
72のレシピの中で
いい意味でひどいなと思ったのは、
「農家のトマトジュース」というレシピ(笑)。
これは代表選手だと思うんですけど。 |
丹治 |
あははははは。 |
ほぼ日 |
これは、永田野菜ならではのレシピですよね。 |
丹治 |
ほんと、そうなんですよ。
永田農法のトマトジュースは、
もともと有名ですけども、
それに近いものができると思います。
あとね、ごはんものをたくさん入れました。
チャーハンに野菜を合わせるもの。 |
ほぼ日 |
きゅうりのレシピだ。 |
丹治 |
きゅうりとたまごのチャーハンは、
これもほんとにおいしいですよ。
あとね、ズッキーニが入った
トルコのお好み焼きというのを
提案してるんですけど、
ズッキーニって、買うと
そこそこ高いんですよ。
とれたものを使うというコンセプトじゃないと、
ここまで贅沢に使えないんです。
あとはね、そうだ、
ぜひ、みなさまにおすすめしたいのは、
バジル醤油。
こんなの、聞いたことないでしょ。 |
ほぼ日 |
ええ。
もう、字面がおかしいですよ。
「バジル」と「醤油」って
ありえない組み合わせですし。 |
丹治 |
これは、どこもやってないと思う。
バジル醤油はおいしいですよ。
レシピでは冷奴にかけましょう、
チャーハンに使いましょう、
という提案をしてるんだけれども、
ちょっと料理のできる人だったら、
このバジル醤油を使って
「あれをつくりたいなぁ」とか、
いろいろ想像が膨らむと思います。
あとね、意外とおいしいのは、
丸ごとコーンスープ。 |
ほぼ日 |
ああ!
これは試作しているのを
飲ませていただきましたけど
とんでもなく旨かった。 |
丹治 |
でしょう(笑)。
トウモロコシの芯でダシをとって
コーンを浮かべるという
本当にシンプルな料理なんですけどね。
永田野菜のトウモロコシって
生でもほんとにおいしいでしょう。
たぶん、普通のとうもろこしでやっても、
ダシが出ないと思うんですよ。
どうしてこのレシピを思いついたの?
と、料理家に聞いてみたら
彼女はトウモロコシをゆでて食べたときに
芯をずっと
ちゅうちゅう吸ってたらしいんですね。
「ずっと甘いなぁ。
もしかしてダシに使えるかも」
と思ってつくってみたらドンピシャ。
成功だったってことらしいんですよ。 |
ほぼ日 |
なるほど。
永田野菜だからこそ
うまれたレシピばかりなんですね。 |
丹治 |
そうですね。
タマネギを丸焼きにした
レシピもありますが、
普通のタマネギだと
あんなに甘くはならないし。
こんなふうに、野菜が主菜になるようなレシピが
たくさんつくれたんですよ。
家庭で献立を考えるときには、どうしても
「主菜は肉か魚で」というふうに考えがちです。
もちろん肉が食べたい人は、
肉を食べていいんだけれども、
何がなんでも
肉や魚がなきゃいけないってことじゃなくて、
野菜だけでもじゅうぶん主役になる。
こういう意見は、みんなから出てました。
野菜はすごい!ほんと(笑)。 |
ほぼ日 |
野菜はすごい! |
丹治 |
この仕事を通じて
そのことを改めて実感しました。
このレシピをみなさんが
再現してくれるのも
もちろんうれしいんだけど、
今回のレシピはみんな
レシピとして完結してないというか、
「終点」というふうには、してないんです。
たぶん、普通の主婦の人だったら
みんなそうだと思うんですけども、
「これがありだったら、こっちもありかも?」
というふうな展開が、
考えやすいようなものをつくりました。
72のレシピを紹介してますけども、
これをネタにレシピを増やしていったら、
もっともっと広がっていきます。
そういう使い方を
ぜひしてもらいたいと思っています。
野菜をつくるだけでなく
収穫して食べるところまで
楽しんでもらいたいからね。 |
ほぼ日 |
「家に帰るまでが遠足です!」
みたいなことですね。 |
丹治 |
そうそう(笑)。
ってそうかなぁ?
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(おしまい) |