山田 |
聞くところによると、
男の人は畑仕事が
最も向いているそうなんですよ。
女の人は体の循環がよくてリセットできるけど、
男の人はそれがうまくできないから、
体を動かしていくしかない、と聞きました。
からだと頭を、同時に、
やや頭を動かさないくらいの加減で、動かす。
それがいちばん合っていて、
長生きするらしいです。 |
ほぼ日 |
頭を動かすより
体を動かすほうが、人間に向いている。 |
山田 |
頭や心なんか、バカにすればいいんです。
だってさ、腹が減ったというだけで
怒ったりするんだよ。
そんな心を信じてどーすんの?
ということなんです。 |
ほぼ日 |
あてにならないですね。 |
山田 |
ちょっと甘いもん食っただけで
機嫌がよくなったりする
そんないいかげんな心みたいなもんを
信じてもしょうがねぇ。
だったら、体だろう、と。
それはけっこういろんな人から
くり返し教えていただきました。
女の人って、すごいですよ。
理屈を通り越す、すごさがあると思う。 |
ほぼ日 |
私なんかはときに、
理屈がない場合もありますので。 |
山田 |
だから、本来は、そうなんですよ。
理屈なんてものは、未熟な人類が、
ちょっとサルから進歩して
ああだこうだえらそうに
言い出しただけのものなんです。
幼稚園の男の子が
「先生、さっきこう言ったじゃーん」なんて
小さな理屈を言うでしょう。
あの程度の知恵なんですよ。
それに比べると、
「今日は桜がきれいだから帰る」って
席を立っちゃう女の子が
いちばんレベルが高いんじゃないかな。
それこそが、この世界の、
何かしら大きなものと連動している、
自然な流れなんです。
漫画でも書いたんだけど、玄侑宗久さんに
「山田さん、渡り鳥は会議してから旅立ちますか」
って言われたもん。 |
ほぼ日 |
でも、男性でも女性でも、
その理屈の嵐の中を
歩ききった人、というのが
いらっしゃいますね。 |
山田 |
ああ、いますね。
理屈で考えることは、
おろかな人間の宿命ですから、
おろかな宿命をやりきって、
ゲームセット!となったときに、
やっと女の人みたいになれるんですよ。 |
ほぼ日 |
それはすごいなぁ! |
山田 |
そこに行った人たちは、立派ですよ。
永田照喜治さんがおっしゃったことで、
とても心に残っているのは、
ぼくが畑で
「こんなに土は浅くていいんですね」
と聞いたときに
「深く掘るのはバカなんです」
とおっしゃったことなんです。
あれはすごい。
どこまで掘ったの、あなたは?
どこまで掘ったら、
そんなことをサラッと言えるの、あなたは!!!
浅くしか掘ってない人の
セリフじゃないですよ、あれは。 |
ほぼ日 |
聞きたいですね、どこまで掘ったのか。 |
山田 |
うん、ぼくもその話を聞きながら
「ちょっと待ってくださいよ、
それはどういうことで?」
と思ったんだけど、
野暮すぎて、聞けませんでした。
(C)山田玲司/「週刊ヤングサンデー」連載中 |
ほぼ日 |
聞きたくなるんですけどね‥‥、
つい、聞いちゃうんですけどね。 |
山田 |
聞いちゃったりするよね! |
ほぼ日 |
でも、すごい妖怪のような方々というのは、
そういうことを聞かれるのを、
すっごく、嫌いますよね!! |
山田 |
それは、あほに見えるんだろうね! |
ほぼ日 |
あほに見えるでしょうね! |
山田 |
ハハハハ。
永田先生やすごい人たちからは
オレなんかホントに
虫みたいに見えてるんだろうな、と思いますよ。
それでもみんな、
ちゃんと話をしてくれたりする。
「まあ、わかるんだったら持って帰ってもいいよ」
というような口ぶりで(笑)。 |
ほぼ日 |
でも、そうやって山田さんの世代が
受け取られることがあって、
また、それをちがう世代が読み取って、
ということが重なっていく、
ということなんでしょう。 |
山田 |
そう。自分がこのタイミングでこの人に会えて、
こういうところを感じることができた、
ということが大切なんです。
こういう微妙な年になって、
いよいよまわりが見えてきてるからこそ
そういうチャンスがもらえてるんだと思う。
よくサッカー選手が
「夢はワールドカップ優勝ですか?」
なんていう質問に、
「いや、一試合一試合。
というか、毎分毎分。
ひとつひとつのプレーを」
と答えるでしょう? あれですよ。
とにかく、目の前のことを、
ひたすらやってくしかない。
とにかく永田照喜治という試合に
出ることができたんだったら、
全力でいくしかないんです。 |
ほぼ日 |
それしかないですね。 |
山田 |
若い奴が発言をしている裏には
こういう気持ちがある、ということは、
もうぼくたちにだって、
わかってきてるんです。
「こいつ、おもしろいから
ケガするまで泳がしておこう」
とか、思うこと、あるでしょ? |
ほぼ日 |
うーん、そうですね、そうですね。 |
山田 |
ということは、ですよ?
いままで、バレていた、ということなんですよ。
バレてて、
言わせてもらっていたんですよ。 |
ほぼ日 |
‥‥そうですね。 |
山田 |
思い直すと、えらい人ほど
あまりモノを言ってくれない(笑)。 |
ほぼ日 |
永田先生のような人の前では、
もう、じたばたするしかないですね。 |
山田 |
言ってみれば、永田さんには
オレがトマトにされた、と
こういうことですね。 |
ほぼ日 |
どういうことですか? |
山田 |
水もらえない、
情報もらえない。 |
ほぼ日 |
はははは‥‥そうか。
(C)山田玲司/「週刊ヤングサンデー」連載中 |
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(つづきます!) |