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(C)山田玲司/「週刊ヤングサンデー」連載中 |
ほぼ日 |
山田玲司さんは、週刊ヤングサンデーで
「絶望に効く薬ーONE ON ONE」を
連載していらっしゃいます。
その「第58夜」で、永田農法の創始者、
永田照喜治先生が登場するのですが、
永田先生って、その‥‥、
不思議な方ではありませんでしたか? |
山田 |
不思議でしたよ。
ああいう、孤独で、
「思ったらこうやる」タイプの方は、
いらっしゃるには
いらっしゃるんですけれども
なかでも独特でした。
ぼくが取材したときは、なんだか、
ふつうのおじいちゃんの家に
遊びに行ったような感覚でした。
ぼくが難しい話を振ると、永田さんは
フワッとかわしたりするんです。 |
ほぼ日 |
わかります。
この漫画を読んでいちばんに思ったのは、
よく短時間でここまで永田先生に話が聞けたなぁ、
ということでしたよ。 |
山田 |
ハハハハ。もうね、
入り込むしかなかったです!
「わかんないんで、お願いします」
「わかんないんで、お願いします」
「あ、いまのも、わかんないんで」
そればっかり言ってた。
あんなに「間(ま)」が
長い取材もはじめてだったし。 |
ほぼ日 |
質問しても「シーン」としつづけて3分経過、
なんてことは、永田先生相手だったら
ありますものね。 |
山田 |
「こうなりゃオレも
話をぜったいに割らないで待つぞ」
って、決めました。
言ってみれば、永田さんは
禅のお坊さんみたいな人でしたね。
禅のお坊さんのお師匠さん、みたいな感じ。 |
ほぼ日 |
そのまたお師匠さん、ですか。 |
山田 |
そう。すごい境地にいる
お師匠さんみたいな人は、
いきなり来て「仏とはなんぞや?」と
訊ねた人間に対して、
きっとすぐには答えないでしょ?
「ぼくはこんなに悩んでいるんです、
何か教えてください」
と、出合い頭に言ったような人に、
簡単に答えを与えるお坊さんはいない。
名だたるお坊さんは、
真逆(まぎゃく)のことを言ったり
トリッキーなことを言ってしかけたりします。
そんな、いじわるに思えるようなことをしながら
後ろからポンと肩を押してくれているんです。
ふとした拍子に「こういうことか」と悟らせる、
まさにそういう教え方の人なんです、
永田さんという人は。
(C)山田玲司/「週刊ヤングサンデー」連載中 |
ほぼ日 |
そうですね。
たやすく相談して回答を得ても
自分のための答えにはなりにくいですから。 |
山田 |
そういえば、
「何でも相談しちゃうのは、よくない」
というのは、
糸井さんが言ってたことですよ。
相談しちゃうとそこで終わっちゃう、って。
でも、「ほぼ日」のいるインターネットは
スピードの世界だから、
すぐ人に聞ける、というほうに
メディア的には向いているのかもしれませんけど。 |
ほぼ日 |
糸井は、ああ見えて、あんがい考えを
ため込むタイプでもあります。
プロセスをちょこちょこ出したりしますけれども、
何年か越しで、じっとあたためたものを
出してくることが多い。
もともと、あたためているものの数が
たくさんあるようなんですが。 |
山田 |
そうか、ため込むのか。
そうだよ、そうだろうなぁ。
糸井さんは、きっと自分の体が
永田照喜治さんを呼んだんだと思うよ。 |
ほぼ日 |
それはどういう意味で? |
山田 |
糸井さんは、広告の世界に長くいたでしょう。
クライアントがいて、代理店がいて
クリエイターとしての自分がいて、
「これで金を取るんだろ?」
「どうなんだよ?」
というところにずっと身を置いていた。
そんな状況がつづいていたとしたら、
楽しいものも楽しくなくなっちゃうでしょう。
でも、糸井さんの背負っている看板って、
「楽しい糸井重里」なわけです。
「おまえの扱うものは、全部楽しいんだろ?」
と言われることを
全面的に受け入れる仕事をしてきたわけですよ。
それはね、ほんとうに、
えらいなぁ!!と思います。
頭がいいと言われてきた人たちに
たくさん囲まれていただろうし、
そういう人のもっている小賢しさとか保身にも
糸井さんは敏感だったと思います。
だって、あの人は、「頭のいい人」よりも
もーーっと、頭がいいから。
だから、永田さんのつくるような食べものを
自然と、求めていたんだと思います。
ああ、熱くていいな、こんな話、
ひさしぶり! |
ほぼ日 |
あの‥‥。 |
山田 |
はい。 |
ほぼ日 |
山田さんも、どちらかと言うと
「熱い」と言われませんか? |
山田 |
いまはそうでもないんですよ。
昔はね、すごく熱くて
めんどくさい人間だったと思います。
でも、自分のエネルギーが大きくなればなるほど
まわりはつらくなる。
太陽は、あんまり近くにいたらいけないんです。
オレに燃やされて
灰になっちゃう人が出る可能性もあるので、
それは気をつけなきゃな、と思います。 |
ほぼ日 |
大人な発言ですね。 |
山田 |
大人な発言になってきましたねぇぇぇ、やだなぁ! |
ほぼ日 |
この「絶望に効くクスリ」は
毎週連載なんですよね。
考えただけでしんどい!! |
山田 |
しんどいですよ。
昨日も胃カメラを。 |
ほぼ日 |
そうなんですか。 |
山田 |
取材がたてこんで
複数の人について重なって描いているときは、
とにかく苦しいですね。
でもね、こんな経験させてもらっている漫画家は、
たぶん、ぼくだけですから。 |
ほぼ日 |
登場するみなさんが、
すごい方ばかりですからね。
オノ・ヨーコさん、水木しげるさん、
五味太郎さん、河合隼雄さん、‥‥ |
山田 |
すごい人が、会ってくれるんッスよ。 |
ほぼ日 |
話を聞き出すのが難しそうですね。 |
山田 |
いや、人に話を聞くときには、
どんなにすごい人が相手でもおなじです。
まじめに勉強していって、
おごらないで誠意をもって話を聞けば、
だいたいの人が、
そんなに悪い気分にはならないものなんです。
この芸風もね、そもそも、
糸井さんに教えられたんですよ。 |
ほぼ日 |
糸井に? 芸風を? |
山田 |
人をリスペクトする芸風。
糸井さんは、子どものときから
「うわー、すげえなぁ」
と言ってる子だったというし、
いまでも、
いいなと思ったらストレートにほめるし、
この人とこの人をつなげばいいのに、
と思ったらすぐやる。
麻雀の人数が足りなかったら行くぜ、
といういうような生き方をしている。
糸井さんに会ったあと、ぼくは完全に
インタビューが楽になりました。 |
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(つづきます!) |