TONIGHT THE NIGHT!
バースデー記念スペシャルイベント
“ありがとうが爆発する夜”まで、
あと6日!
昨日にひきつづき、
徳光和夫さんのインタビュー(後編)です。
20代後半で矢沢ファンになった徳光さんが、今日まで
30年ちかくもファンでいられたということは、
逆に言えば、憧れの対象になるアーティストが
その期間ずっと現役で輝いていたということですよね。
20代後半からずっと矢沢ファンを続けてきて、
何年も前に50代になった徳光さんには、
今50歳をになろうとしている矢沢さんが
どのように見えているのでしょうか。
僕と矢沢さんの年齢差、8歳の差は
出会いの時からずっと将来もあるわけですよね
(徳光さん1941年生まれ、矢沢さん1949年生まれ)。
今の若い人が8歳下のアーティストのファンになって、
それを30年後もそう思えているかっていうと、
おそらくそういうアーティストはなかなかいないでしょう。
番組で出会って挨拶をされた、その瞬間から
矢沢さんに対しては年齢差はなくなってますね、
消えましたね。
なんか、矢沢さんって不思議に老いがないんだよね。
永ちゃんは老いがないんだよなぁ。
どういうことなんだろうなぁ……。
あのね、初めて会ったときからあんまり
変わってないような気がするもんね、永ちゃんは。
僕が無条件にね、憧れちゃう人には、
なるべく接近しないようにしてるんですよ。
「長嶋さん、長嶋さん」って僕言いますけど、
それほど親しく接近したことはないわけですよ。
それは、憧憬の対象であるからなんですよ。
矢沢さんに家庭があるのかも、
子供がいらっしゃるのかも知りませんけれど、
それでいいんですよね。
いつまでもステージ上であの独特の歩き方をしながら、
ブルースやバラードを歌うときのあの切ない、
なんともいえない切ない声でね、
聞きとれないような切ない歌い方なのに
歌詞がはっきりわかるっていうね……
僕のなかではいつまでもあの矢沢さんなんだよねぇ。
あと、永ちゃんファンはおそらくみんなそういう気持ちに
なったことがあるんじゃないかと思うんですけど、
永ちゃんの話をするとですね、
不思議なことに……なかなか語れないんですよ(笑)。
うまく言葉にできないというね。
で、思いつめたようにどちらからともなく、
「ほーんとにいいねぇ」
「カッコいいんだよなぁ〜、永ちゃんはなぁ」っていう、
その言葉が何度でてくるかわからないですね。
ウチに広島県出身の30代のスタッフがいて、
永ちゃんは郷土の誇りだし、日本の誇りである
くらいのことを彼は言ってるんだけど、
彼と永ちゃんの話をすると
永ちゃんのどこがいいとか、
ここがどうのこうのって話ではなくて……、
会話が続かないんですよ。
なんかお互い放心状態みたいな感じで、
ときどきふたりで
「ほーんと、カッコいいんだよなぁ」
って言うだけになっちゃうんですよ。
「たまんないよなぁ」ってね、
こんな言葉ばっかりなんだよねぇ、
会話にならないんだよ(笑)。
結局、無条件にいいってことが、
五臓六腑にしみわたってるんだろうなぁ。
ちょっと空腹時で、体調のいいときに、
ほんとーにうまい酒をのんで、
五臓六腑にしみわたっていく感じなんですよね。
やっぱり永ちゃんのステージ、
永ちゃんの歌にはそれがいつもあるんだよなぁ、
なんていう話になりますよね。
「徳光さん、それですよ、それ!」
なんて、そのスタッフがいつのまにか
矢沢さんになって僕に言うんですよ。
「そこですよ、それってサイコーですよ!」って(笑)。
でですね、僕は矢沢さんのことを成りあがりだとか、
ツッパってるなんて思ったことはないんですよ。
もう、最初っから矢沢さんの音楽、歌ですよ。
ステージと、歌と。
ひとりで聴くのもいいんだよぉ。
この1枚ってのはなかなかあげられないんですけど、
最近のCDだと「SUBWAY EXPRESS」ですね。
これ、すべての曲、永ちゃんがしみいりますねぇ。
今日家で、昔のレコードとか見て、
懐かしんでたりしたんですけどね、
もしこの1枚って言われたら、今はこれかなって思うし。
僕は「チャイナタウン」ってバラードが
めちゃくちゃ好きなんですよね。
あの永ちゃんがなぁ……。
消え入りそうで消えなくてっていう歌、
永ちゃんはいいよなぁ……。
でもですね、僕は人に「いいだろ、いいだろ」って
矢沢さんの音楽を強要はしないし、
というのは、当然世の中には、歌い方や声が
好みじゃないって人もいるわけじゃないですか、
で、「いいでしょ」って僕が言いながら、
「そうかなぁ?」なんてちょっとでも共鳴しない
ニュアンスがリアクションとして返ってきたときに、
喧嘩しそうになるくらい熱くなるんですよ、心の中で。
そんなわけでですね、人にはあまり言わないんですよ。
カミさんくらいかなぁ(笑)。
糸井さんと矢沢さんの対談、読ませていただきました。
おふたりは50代になってもモテるんだろうなぁ。
ホントに、若い子にモテるってだけじゃなくてね、
30代、40代の艶っぽい人を夢中にさせちゃうような
色気がありますよね。いつまでも男として、
アブナイ感じってのも持ち続けていくんだろうなぁ……。
糸井さんにしたって、50歳すぎて、湖の底から新しいもの
引き上げようとしてる感じしますものねぇ。
まあ、50歳だからモテるとかじゃなくて、
ああいう人たちは、モテるんですよ(笑)。
今回の“ありがとうが爆発する夜”にしたって、
僭越ではありますが、見事なコピーだもの。
あのコピーは、納得させるとか、説得するとか、
そういうコピーじゃないんですよね。
永ちゃんを見てる人たちすべての世代を網羅して、
感覚的に「これだっ!」っていうものがグッと来ますよね。
「あ、糸井さんも永ちゃんファンなんだな」って、
僕、嬉しかったし、ホッとしたし、心強かったし。
正直言って、あれですね、
矢沢さんについてのインタビューっていうのは、
なんでしょうねぇ……語れなくなるので、イヤですね。
文字になるとね、僕の内臓にたぎるね、
その……「あと何日で横浜だ!」とかね、
そういった少年のような心にさせてくれる、
楽しみってあるじゃないですか。
そういうふうに1日1日の時間を噛みしめながら、
当日を待つ気持ちとですね、一方では、
「早く1日が終わらないかな、
早く当日になってほしいな」っていう気持ちが、
文字ではなかなか伝わらないんじゃないかな
って思うんですよ。
かといって、僕がこういうことをテレビで話したって
きっと途中でチャンネルかえちゃう人が
たくさんいると思うんですよね。
だって、矢沢さんについては、
語ろうと思えば思うほど言葉はなくなるし、
自分のなかではどんどんふくらんでいっちゃうし、
ふくらんでいくものを言葉巧みに説明できないし、
説明しちゃったらそれはちがうと思うし、
熱い思いではなくなっちゃうような気がするしね。
逆に、説明できることってのは熱さはなかったりね。
そんなことをグルグルと思い浮かべると、
本来はしゃべりのプロでありながら
だんだん支離滅裂になっていく自分がいて(笑)。
だからね、9月15日はですね、
“ありがとうが爆発する夜”っていうようなことがね、
お互いに伝わればうれしいですね。
それだけ真剣なんですよ。
やっぱ真摯な思いで、矢沢さんのコンサートは
待ち遠しいわけですよ。
(おわり)
だんだん語れなくなっていっちゃうんですよ、と
徳光さんは照れながら話をしてくれました。
しゃべりのプロでありながら、
だんだん支離滅裂になっていく自分がいる、と。
そういうことばから、“無条件で好きなんだ”という
徳光さんの気持ちが、かえって伝わってきましたねぇ。
徳光さん、ほぼ日にいい時間をくださって、
ほんとうにありがとうございました。
横浜で“ありがとう”を爆発させましょうね。
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