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時間
80分
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音質
「近代文学研究会」例会
二百回記念講演会として行われた。
ノイズが多く、ホールの残響音もあって
聞き取りづらい。 -
講演日:1980年6月21日
主催:近代文学研究会(雑誌「城」の研究会) 後援・角川書店,佐賀新聞社,佐賀県立図書館
場所:佐賀市民会館
収載書誌:春秋社『新・死の位相学』(1997年)、中公文庫『語りの海3 新版・言葉という思想』(1995年)
講
演
よ
り
「生きていくこと」は、
一般に片道切符だと考えられています。
つまり、15歳の者が5歳になることはできないし、
60歳の者が40歳に戻ることはできないと理解しています。
この理解に対して、もし60歳の人が40歳のことを、
あるいは15歳のことをよく知りたくて
振り返りたい場合には、ふたつの方法があります。
記憶の思い出に頼るというのがひとつ、
それからもうひとつは、
人類の歴史的な遺産としてある記述、
つまり文学や芸術の助けを借りて、
60歳の人間が20歳の人間を理解するとか、あるいは、
20歳の自分というものを
内在的に理解する助けとする方法です。
しかし、もうひとつの方法が考えられるとすれば、
それは「死」というものから逆に
「生」の姿を照らし出し、そして透視することです。