宮沢賢治の陰
──倫理の中性点

  • 時間

    159
  • 音質

    音源はクリアに収録されているが、
    前半部には残響音がある。

  • 講演日時:1983年10月23日
    主催:吉本隆明文芸講演実行委員会
    場所:盛岡市福祉総合センター
    収載書誌:思潮社『白熱化した言葉』(1986年)




宮沢賢治の作品は、
詩の作品のなかにも童話の作品のなかにも、
至るところに「陰の言葉」というものが
挟まれていることがあります。
それは小括弧やふつうの鍵括弧でくくられていたり、
二重の小括弧にくくられていることもあります。
宮沢賢治にとって最後の問題というのは、
この「陰の言葉」が
どういう運命をたどったかということがひとつあり、
もうひとつは
宮沢賢治の倫理の世界がどういうふうに展開され、
意味づけられるべきものなのだろうか、ということです。