経済の記述と立場
――スミス・リカード・マルクス

  • 時間

    85
  • 音質

    「日本大学に来るのは2度目で、
    1度目はバリケードのあいだを
    学生さんに案内された」
    という挨拶からはじまる。
    広い講堂の講演を客席から録音。
    ノイズも入り、音質はよくない。

  • 講演日時:1984年11月2日
    主催:日本大学三崎祭実行委員会
    場所:日本大学経済学部7F大講堂
    収載書誌:弓立社『超西欧的まで』(1987年)




現在の経済学的な範疇、あるいは概念は、
たぶん〈物語〉も〈ドラマ〉も
なくなっているんじゃないかと思われます。
そこではさまざまな考え方がありうるわけですが、
かつてスミスが自然の〈歌〉から緻密に経済学的な範疇、
あるいは概念をつくりあげていったというような
過程を見ることができません。
そういう過程にある、強固さとか、
道具を積み重ねる厳密さとかは
まずまず見ることができないのです。
いまはどうなっているのか、いまをどうするのかとか、
いまの状態から
経済学的な範疇をつくるとすればどうなるか、
という問題だけではじまりそして終わるほか
ないんだということです。
そこでは、どんな〈物語〉も〈ドラマ〉も、
もうつくることができません。
そこに、現在の経済学的な考え方が
ぶつかっていると思います。