恋愛について

  • 時間

    95
  • 音質

    ベルク哲子氏の個展に際して、
    安原顕氏をコーディネーターに
    開かれた講演会。
    音源は客席から録音されたが
    周辺のノイズが入っているほかは
    比較的クリアに収録されている。

  • 講演日時:1988年3月4日
    主催:日仏学院 後援:フランス大使館
    場所:東京日仏学院ホール
    収載書誌:弓立社『人生とは何か』(2004年)




恋愛には、3つの段階と3つの種類があると思います。
ひとつは正常な恋愛です。
1対1で、ひとりの男性とひとりの女性が出会って、
両者のあいだに恋愛感情が起こる。
そういう恋愛を正常な恋愛としますと、
それがいちばん根底的な
恋愛といえるんじゃないかと思います。
その次の段階にくる恋愛は、三角関係の恋愛です。
恋愛というのは対幻想であって、1対1のあいだにしか
起こりえないのですけど、
三角関係というのは3者のあいだに起こるので、
これは矛盾なわけです。
つまり、恋愛における矛盾、あるいは
矛盾としての恋愛です。
3人というのは、共同性のいちばん原型にある関係で、
恋愛感情とか男女の恋愛という対幻想とは、
本来ならば違うはずなんです。
これに対して、さらに段階が進んだ恋愛を
想定するとすれば、直接の接触や関係を
いつも回避されている恋愛というものが
それに当たると思います。
それは、もう少し進んだ高次な段階の恋愛として
存在するんじゃないかというのが、
僕のお話ししてみたいことです。