死を哲学する

  • 時間

    80
  • 音質

    主催者提供だが、
    客席から録音されているため
    周辺のノイズが入っており、
    音質はあまりよくない。

  • 講演日時:1986年9月11日
    主催:本郷青色申告会
    場所:本郷青色申告会館
    収載書誌:弓立社『人生とは何か』
    (2004年)




「人間は必ず死ぬ」といういい方と
「私は必ず死ぬ」といういい方のなかには
ぜんぜん違うところがあります。
その違うところが誰にとっても
あいまいになっているわけで、
もちろん宗教にとってもあいまいになっている。
そのあいまいになっている部分に、
「死とは何か」という問題の精神が関わる部分が
該当するだろうといえます。
物質的あるいは生活的な意味で死の問題が解けたとしても
なおかつ精神的な意味での死の問題は
解けないということが残るとすれば、
「人間は必ず死ぬ」といういい方と
「私は必ず死ぬ」といういい方のあいだにある隙間から、
「死とは何か」という問題がいつでもむくむくと
頭をもたげてくるといえるのではないでしょうか。