倫理と
自然のなかの透谷

  • 時間

    79
  • 音質

    透谷の没後100年を記念した
    全国大会での講演。
    講演者には吉本隆明のほか、
    桶谷秀昭氏や山田有策氏らがいた。
    冒頭の挨拶は佐藤泰正氏。
    音源はクリアに収録されている。

  • 講演日時:1994年6月4日
    主催:北村透谷研究会
    場所:上智大学9階図書館
    収載書誌:未発表




透谷の思想といえるものは、
恋愛、男女の関係ということに尽きると思います。
『厭世詩家と女性』に表現された思想は、
透谷の本格的な、独特な思想だということが
できると思います。
「文学も恋愛だったし、倫理も恋愛だし、
生きるか死ぬかということもやっぱり恋愛なのだ。
恋愛というのはそういう意味でいちばん重要なのだ」
ということを透谷ほど強調し、
理念化して立派につくりあげた人はいません。
あらゆる枝葉とかほかの人の影響とかを
ぜんぶ取っ払ってしまって、
透谷の文学理念、あるいはイデオロギーとしての理念を
最後に持ってくるとすれば、
恋愛ということに
最上の価値と重さをおいたというところに、
透谷の本領があると思われます。
そこが透谷らしい思想の本筋だと思います。