祖父江 | なんだか、何しにきたのか わかんなくなっちゃいましたが こんなことで、いいんでしょうか? |
ミュウゼ | リラックスしちゃって、 なんの話か、どうでもよくなっちゃった。 |
糸井 | いや、みなさん、すばらしい話を どんどんしてらっしゃいますよ。 最後に絵の話をしましょう。 絵をTシャツにしたのは、もう しょうがないと思うんです。 要するに、えつこミュウゼさんの絵は あらかじめ描いてあるものを使うという方法が いちばんおもしろいと思ったので。 |
祖父江 | うん。しょうがないですね、それは。 新たにお願いしても、 何が出るか全く予想がつかないし。 |
ミュウゼ | これ、わかりますか? |
祖父江 | わかりますよ。 |
糸井 | これは卵を生んだんですよ。 |
祖父江 | えっとね、これを生んだこの子(鳥)が あんまりにも遊びたがって、 卵をあっためてくれないから しょうがないといって、 この人があっためようとしてる場面。 |
ミュウゼ | いえ、卵は この「人」が生んだんです。 |
祖父江 | シェー。 |
ミュウゼ | 意味なくお尻に、 鳥を乗っけてるんですよ。 この重さで、生まれてしまったんです。 |
糸井 | 出産Tシャツだったんですか。 ‥‥これ、言わないほうが売れるんじゃないかな。 |
祖父江 | この子、女の子だったんですね。 |
ミュウゼ | フジヨリという名前です。 フジヨリは、中性なんです。 |
祖父江 | 中性ー。シェー。 |
南 | フジヨリ? |
糸井 | 生んだ子の名が、フジヨリ。 |
ミュウゼ | さて、そのフジヨリという名前は どこから取ったんでしょう。 はい、そぶちゃん、お答えください。 |
祖父江 | はいっ。富士山からです! |
ミュウゼ | かわいいですこと(笑)。 あなた、私が富士山から フジヨリとつけるわけがないじゃないですか。 |
祖父江 | わかった、『源氏物語』だ。 |
ミュウゼ | なんで? |
糸井 | 「藤壺」みたいなこと? |
ミュウゼ | あ(拍手)、よくできました。 |
祖父江 | ほんとに? |
ミュウゼ | 違います。 答えは「不条理」です。 |
祖父江 | ‥‥フジョーリ。ダジャレから来てたんだ。 |
ミュウゼ | はい。 |
祖父江 | だから男子でも女子でもいいんだねぇ。 |
ミュウゼ | うん。 |
祖父江 | それにしてもうまいですね、こういう、 あいだあいだに描かれてる、さりげない絵が。 なかなか描けないです、これは。 |
糸井 | 南さん、新鮮ですね、 このキャスティングはやっぱり‥‥ |
南 | あのね、前にぼくが 祖父江さんに会ったときは もうちょっと大人っぽい話を しなきゃいけない状態だったんですよ。 |
糸井 | それはめずらしいケースです。 |
南 | そのとき祖父江さんは ものすごく大人でした。 |
祖父江 | そうでしたね、あのときはみんな大人で しゃべりあいました。 |
南 | そう。装丁家が 3、4人ぐらい集まって。 |
祖父江 | なんだかまじめな話をしましたねぇ。 |
ミュウゼ | 祖父江さんは先日行われた あるトークショーのときもまじめでしたけど、 ちょっと飽きてませんでした? 足とか、ぶらんぶらんさせて、 心配しちゃった、私。 |
祖父江 | ぼく、じっとしてるのが苦手で。 |
ミュウゼ | みんなちゃんとして聞いてるのに ひとりだけきょろきょろしてる。 すっごい目立ってた。落ち着かないの。 |
祖父江 | けっこう我慢してたんだよ。 貧乏揺すりはしないぞ、とか。 |
糸井 | 出前のラーメンは取らないぞ、とか。 |
祖父江 | そうそう。 |
ミュウゼ | 「ふー」とか、言っちゃってたよ。 |
南 | まぁ、今日は まじめな祖父江さんでなく、 ミュウゼさんと祖父江さん、 おふたりの話を伺っててね、とにかく‥‥ |
糸井 | 新鮮でした。 |
南 | うん。 |
糸井 | 渋谷、神泉、東大駒場前。 |
南 | おもしろかった。 ふたりで話してもらったほうが おもしろいんじゃないですか? |
ミュウゼ | でも、ふたりでお仕事の話をするときは 私はとってもまじめに聞いてます。 はい、わかりました、とか。 |
祖父江 | うん、まじめだよね。 |
糸井 | では、南さんとミュウゼさんの 組み合わせもまじめですか? |
ミュウゼ | 伸坊さんは すっごく、話を聞いてくださるんです。 そして博識っていうのかしら、 いろんなことを教えてくださるから。 |
糸井 | おとなの女です。 |
ミュウゼ | いろんな博識を‥‥顔を洗ってはいけないとか。 |
祖父江 | へぇ。 |
ミュウゼ | そういうことをいろいろ教えていただけちゃう。 |
南 | だから今日はかなり飛んでますよ。 |
糸井 | しかも、ご本人だけでなく 絵のほうもすごいから困っちゃう。 |
祖父江 | 描いてるうちに、絵が どんどんひとり歩きしちゃいますもんね。 |
ミュウゼ | 描いてるときは意外に真剣なんだけど 描き終わったらおかしくって、笑っちゃう。 |
糸井 | 上半身だけ描いてあって、 下がなかったりするクマが ときどきいるんだけど‥‥。 |
祖父江 | ああ、ない。 |
糸井 | 下がないのは なぜかクマが多いんですよ。 |
ミュウゼ | ほんとのことを言うと、 描いたらへたくそになるからかな? でも、私としては、下がなくても あんまし違和感ないんです。 |
糸井 | そうなんでしょうね。 だけどぼくは、いつも気になってました、 それはさておき、下は? みたいな感じでね。 |
ミュウゼ | あ、それはさておき(拍手)。 それは、アッハハ、いまのすごく、 私としては、ボロウケです。 |
一同 | ‥‥‥‥‥。 |
ミュウゼ | すばらしいー(拍手)。 |
糸井 | いまのって、褒められたの? まいったなぁ。 いままでの何かで 褒めてほしかった(笑)。 |
祖父江 | いまのどこがおかしかったんですか? |
ミュウゼ | 「それはさておき」です。 絵に対して、それはさておき、って ふつう言わないでしょ。 アッハハハ。涙が出ちゃった。 |
糸井 | 喜ばれた。 |
南 | 今日いちばんウケた瞬間でしたね。 |
祖父江 | るんるるん。 |
ミュウゼ | いやだ、祖父江さん、まわらないで。 |
祖父江 | あのね、前にゾウの絵を 描いてもらったことがあって。 |
ミュウゼ | ゴホッ、むせた。 |
祖父江 | ウケすぎたからね。 |
南 | で、ゾウが? |
祖父江 | 以前、ゾウの絵を描いてもらったら、 途中まで描いて、止まって、 そこに電話番号が書いてありました。 |
一同 | (笑) |
ミュウゼ | すみませーん。 でも、上からもういちどグリグリーって描いて 番号を消しておいたんですよ。 |
祖父江 | そうです。消されてたんで スキャニングで拾って、 出してあげました。 |
南 | ハッハッハッハッハ。 |
糸井 | それは何の番号? |
ミュウゼ | 通販。 |
南 | かけようって思ったんだね。 |
祖父江 | 描いてる途中でそのまま慌てて メモっちゃったんでしょう。 |
糸井 | その商品は何ですか? |
ミュウゼ | えっとね、美容系だと思います。 化粧品系だと思う。 |
糸井 | はい、では、みなさん、 さっきの薬の名前は? |
祖父江 | えーっとね、ネレ、 |
南 | レス。 |
祖父江 | レスベム、ベロ、ベラ。 |
ミュウゼ | レスベラ‥‥ |
一同 | トロール! |
糸井 | はい。正解です。 |
南 | レスだけは忘れなくなっちゃったな。 |
一同 | (笑) |
糸井 | それでは、展覧会をたのしみにしてください。 めずしい組み合わせの 妖精だらけの座談会、 おもしろかったですね。 |
南 | うん。 |
糸井 | 友だちなんだけど、 友だちにあまりいないタイプです。 |
南 | いないですねぇ。 |
(14日からミュウゼさんの作品がTシャツとなって 「ほぼ日」に登場します! おたのしみに‥‥のその前に! 糸井から追記がありますよ↓↓↓) |
『えつこミュウゼ大誕生展~Tシャツをカンバスに~』 |
アーティストえつこミュウゼさんの作品が |
GRAPHIC TRIAL 2011 | |
祖父江慎さん、佐藤可士和さん、 名久井直子さん、山本剛久さんの、 4人のアートディレクターが オフセット印刷の可能性をさぐる展覧会です。 この展覧会で、祖父江さんは えつこミュウゼさんの描いたわんちゃんの絵を 印刷していらっしゃいます。 (しかも、ターメリックとか、 酢とかで‥‥すごいです。) ぜひ、足をお運びください。 |
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■GRAPHIC TRIAL 2011■ 2011年8月7日まで 印刷博物館P&Pギャラリー 入場無料 くわしくはこちら。 |
2011-07-13-WED |