ほぼ日テレビガイドシリーズ

秋の連ドラチェック2017

あややとふたりのプロフェッショナル
ああああ、ほんと、すみません。
またしてもこんなに遅れてしまい‥‥おや?
意外にみなさん、平然としてますね?
え? どうせ遅れるだろうと踏んでいた?
ありがとうございます。すみません。
いろいろ言わずにはじめましょう!
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今クールの連続ドラマについて語ります。
脱線たっぷり、っていうか、基本、脱線。
雑談の中にときどき有意義な話が。
とても長くなると思いますので、
どうぞのんびりおたのしみください。
進行は、ドラマのことはまったくの素人、
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストは、
「沼のハナヨメ」でお馴染み、
「気仙沼のほぼ日」のサユミが描きます。
それでは、はじめましょう。
沼のハナヨメ
ああああ、ほんと、すみません。
またしてもこんなに遅れてしまい‥‥おや?
意外にみなさん、平然としてますね?
え? どうせ遅れるだろうと踏んでいた?
ありがとうございます。すみません。
いろいろ言わずにはじめましょう!
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今クールの連続ドラマについて語ります。
脱線たっぷり、っていうか、基本、脱線。
雑談の中にときどき有意義な話が。
とても長くなると思いますので、
どうぞのんびりおたのしみください。
進行は、ドラマのことはまったくの素人、
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストは、
「沼のハナヨメ」でお馴染み、
「気仙沼のほぼ日」のサユミが描きます。
それでは、はじめましょう。


  • あやや

    ほぼ日刊イトイ新聞随一のテレビッ子。
    どんなに忙しくても
    録画したドラマは必ずチェック。
    毎週発表される
    視聴率なども無意味に把握。
    幼少期から蓄積された
    テレビの知識は無尽蔵。
  •  荒井清和

    漫画家・イラストレーター。
    ほぼ日刊イトイ新聞にて
    『TVウォッチャーの逆襲』を
    超不定期連載中。
    「写真より似てる」という
    高品質な似顔絵には定評が。
    ドラマ、スポーツ、
    バラエティー番組などが好き。
  • 森下佳子

    脚本家。『JIN-仁-』
    『世界の中心で、愛をさけぶ』
    『白夜行』『天皇の料理番』など
    名作ドラマを生みだす。
    NHK朝ドラ『ごちそうさん』で
    向田邦子賞を受賞。
    2017年の大河ドラマ
    『おんな城主 直虎』を書き終えたばかり。



第1回
まずは、森下佳子さんと、
『おんな城主 直虎』の話を!
あやや
さぁ、まず、『直虎』の話をしましょう!
──
早い、早い、まずはご挨拶を。
森下
よろしくお願いします(笑)。
荒井
よろしくお願いしますー。
あやや
‥‥それでは、森下さんに質問です。
──
だから。いきなり質問するなって。
あやや
森下さんにうかがいます!
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の
脚本は、もう書き終えたんですか?
森下
はい、私は脱稿しました。
現場はまだ続いてるけど。
一同
おおおーーー!
(拍手)
あやや
きゃー、そうですか、そうなんですか。
‥‥で? 死ぬんですか?
──
だ・か・ら! 
荒井
出たー! 先の展開を聞くのが平気な人。
あやや
平気、平気、あたし、ぜんぜん平気。
森下
私もけっこう平気だからなあ。
荒井
だめだめだめ。
──
ダメダメダメ。
あやや
んもー、人間がちっちゃいなあ。
──
そういう問題じゃない。
あやや
ええと、物語としては、これから最終章というか、
「虎松」が主役になっていくわけですが。
(※この座談会は9月中旬に収録されました)
森下
まぁ、あくまで主役は直虎さんですが、
菅田将暉くん周りの描写はガッと増えますね。
あやや
「ダースー」の時代ですね、いよいよ。
ファンのみなさんはそう呼ぶんですよね。
ダースーですよ、ダースー、ダースー。
ガースー、ガースー。
──
なんでガースーにしちゃうの。
森下
それじゃ、ガキ使の菅さんになっちゃうよ。
あやや
黒光り学園。
──
黒光りとか言うんじゃありません。
あやや
でもね、ダースーですよ。
いま、芸能界で、
いちばん勢いがある人は誰かって言ったら
私、思うに、菅田将暉くんですよ。
どんな役をやってもすばらしいし、
神がかってるとすら言えます!
黒光ってるとすら言えます!
──
最後の一文を削除しなさい。
あやや
ともかく、これからはきっと、
菅田将暉さんが、
井伊家を盛り上げていくんですよ!
──
そんなの、わかんないぞ。
あやや
わかってますよ、だって、
井伊家は「桜田門外の変」のころまで
つながっていくわけですから!
──
そんなの、わかんないぞ。
つながってないかもしれないじゃないか。
ドラマなんだから、解釈は自由なんだから。
荒井
‥‥ああ、永田さんは、
先の話をしたくない姿勢が極端すぎる。
あやや
つながってるって!
森下さん、つながってますよね!
井伊家は、桜田門外まで!
──
答えなくていいですよ、森下さん!
森下
あの、ええと、たとえば、
虎松のお母さんである、しのさんも
松下家にいつ嫁いだか、よくわかってなくて。
今回は、わりと前に嫁いだことにしましたが、
それをどういうふうに展開するかが、
ドラマ、というわけでして。
だから、まぁ、いろんな史実や逸話があるなかで、
こういうふうにしたんだなと思って
楽しんでいただければ。
荒井
ほどよいお返事を、ありがとうございます。
あやや
でもね、私はね、歴女的に、
すごく思うところがあるんです。
──
誰が歴女やねん。
あやや
井伊家の今後は明るいと私は思ってます。
なぜかというと、あの人の存在ですよ、
阿部サダトラさん!
森下
‥‥?
荒井
‥‥???
──
‥‥ま、まさか。
森下
「阿部サダヲ」さんのこと?
荒井
「サダトラ」って誰だ(笑)。
あやや
あ、失礼失礼(笑)、
阿部サダヲさんです、もちろん!
──
もう、ほんと、かんべんして‥‥。
それ、文字にして読むと、
「編集者がおもしろくしようと思って
 ネタつくってるな?」としか思えないから。
あやや
てへへ、「直虎」と混ざっちゃった。
荒井
「阿部サダトラ」(笑)。
森下
でも、ちょっとマジでいそうな気もする。
武将・阿部サダトラ。
──
もう、ほんと、かんべんして。
あやや
もとい、阿部サダヲさん!
阿部サダヲさん演じる徳川家康は、
『直虎』がはじまってから
ずっといい人じゃないですか。
あと、奥さんの瀬名殿も。
つまり、この物語のなかの徳川家は
ずっと安定したものとして
描かれているわけです。
森下
うん、そうだね。
あやや
それでね、やっぱり、歴女としては‥‥
──
誰が歴女やねん。
あやや
徳川家と井伊家の絆が、
ドラマの太い縦軸として、
描かれているのだろうなあと思うわけです!
森下
まさに、その草創期の話が
最終章では展開されていきますので、
ぜひ、おたのしみに。
あやや
で、最後はどこまで描かれるんです?
荒井
それは訊いちゃダメです。
──
つまみ出すぞ。
あやや
あー、もう、なに話せばいいんですか。
荒井
これまでの回に訊きたい場面が
いろいろあったじゃないですか。
──
そうそうそう、これまでの『直虎』の
名場面についてうかがう
絶好のチャンスじゃないか。
あやや
ああ、なるほど! わかりました!
森下さん、びっくりしましたよ、
政次に、槍がぐさり!
──
うわあ。
荒井
うわあ。
森下
槍ドンね。
──
「槍ドン」て!
でも、よし、その話、しましょう、ぜひ。
荒井
いやあ、ほんとうにびっくりしました。
直虎が、政次の胸を、槍で!
森下
ねえ、ほんとに。
あやや
すごかったです、あれ。
──
しかもね、森下さん、
去年、ぼくらが取材したときに
断言してたじゃないですか。
「直虎は刀は抜きません」って。
だから、まさか、もう、
いろんな意味でびっくりしましたよ。
森下
うん、言いました。
でも、あれは、ほら、槍だから。
荒井
ええーーー!
──
そ、そういうこと!
あやや
たしかに! 刀じゃない!
森下
刀じゃない(笑)。
いやいや、でも、ほんとのところを言うと、
私もはじめ、直虎が槍で刺すということは
考えてなかったんですよ。
──
そうなんですか。
あやや
え。なにそれなにそれ。
荒井
そう、こういう話を聞きたい。
森下
はじめは、直虎がそこでお経をあげて、
政次は最後のお経を聞きながら、
ふたり、目と目を見交わして、
笑う、そして、死ぬ‥‥
みたいなことを考えていたんですよ。
──
つまり、処刑された政次が、
死ぬ間際に直虎がお経をあげて。
森下
そう考えていたんだけど‥‥
直虎さんってね、
「これ以上はもうやめとけ」とか、
「ややこしくなるからあきらめろ」とか、
そういうところで、とにかく、絶対に
あきらめなかった人なんですよね。
あやや
そう、そうですよ。
森下
そんな人がね、
このぎりぎりの状態になったときに、
ほんとに何もしないだろうか?
という疑問が浮かんできて。
あやや
あーー。
荒井
ああ。
──
はーー。
森下
彼女はきっと何かするんじゃないか、
というふうに考えたあげく、
たったひとつできることがあれだった、
という結論なんです。
あやや
ああーー。
荒井
たったひとつできることが‥‥。
──
あれだった。
森下
はい。
「井伊を守るためにお互いを最大限利用する」
ということが、二人の誓いだったから。
──
‥‥そうだった。
あやや
そう考えると、政次も、
本望だったのかもしれない。
ほかの人に殺されるより。
森下
そうですね。
荒井
そう解釈するしかないですよね。
あやや
そう。
あれは、ほんとに‥‥愛ですよね!
森下
まぁ、そうですねぇ。
きっと、そうとしか言いようのないものですよね。
──
はーーー。
荒井
とはいえ、あの場面はやっぱりショッキングで、
軽くトラウマになりましたよ。
しばらく何日も、ダメージを引きずってました。
森下
そういう人も多かったみたいですね。
あやや
私も、すっごい泣きましたけど‥‥。
翌日はぜんぜん平気でした。
森下
ははははは。
──
平気だったのかよ。
あやや
ドラマはどんだけ没頭しても、
翌日に引きずらないタイプです。
荒井
まぁ、そのへんが男女の違いかも。
森下
(笑)
──
でね、ぼくがすごいなと思ったのは、
その翌週ですよ。
そのあとの丁寧な展開こそ、
森下脚本の真骨頂と思いましたよ。
つまり、驚くような展開は、ある意味、
やろうと思ったらできるかもしれない。
でも、森下さんはそのあと、
「やったからには」という
物語の落とし前をちゃんとつけるわけです。
あやや
そう、直虎が受け止めきれなくて、
ちょっと壊れる寸前までいっちゃう。
荒井
ふつうじゃいられないでしょう?
というところまできちんとやりましたね。
森下
そうですね、代償がね。
──
しかも、そのどん底から戻ってくる
きっかけが龍雲丸の生死、という展開。
あの2話は、ほんとに見事だなと思いました。
あやや
あれ、高橋一生さんがインタビューで、
森下さんの脚本をものすごく
褒めてらっしゃいましたよね。
森下
ありがたいことです。
あやや
だって、あれは、役者冥利に尽きますよ。
──
だって、いままさに死ぬという間際に、
井伊家に反する立場を「演じる」わけだからね。
それを役者として「演じ」て、
二重に「演じながら」死ぬわけだから。
荒井
強烈なシーンでしたよね。
あやや
あのシーンは忘れないですよ、森下さん。
森下
そう言ってもらえると、私も、本望です。
柴咲さんも、高橋さんも、たいへんだっただろうし、
覚えててもらえれば、きっと、うれしいと思う。
──
でも、あやちゃんは、翌日には忘れてた、と。
あやや
そうそう、ぜんぜん平気。
じゃなくて、
引きずらなかったというだけです!
荒井
ウーン、正直、思い出すとまだ‥‥。
──
荒井先生は引きずりすぎ!
あやや
そしてこれからは、
菅田将暉くんが表に立っていくわけですね。
森下
まぁ、虎松が表、直虎背後に控える、
みたいな配置ですね。
あやや
でも、菅田くん、いま大人気ですけど、
ブレイクは森下さんの
『ごちそうさん』からですよね。
荒井
高畑充希さんも『ごちそうさん』から。
あやや
これはもう、森下組といっちゃっていいのでは。
森下
そんな泥舟に乗ったらダメです(笑)。
でも、高畑充希さんはたしか
オーディションで来てくれたんですよ。
でも、じつは芸歴すごい長くて。
菅田将暉くんは仮面ライダーの後? くらい?
でも、すでに映画とかもやってたような。
そもそも、そこそこ出てきていた人たちなんです。
菅田くんに関してはプロデューサーの岡本さんは
早くから注目してた、かな。
あやや
へーーー、そうなんですね。
いいなぁ、そういう世界。
あああ、私も誰かを見出したい!
──
ないから、見出す必要。
あやや
誰か、私に、見出させてくれないかな。
永田さん、私、見出しましょうか?
──
けっこうですし、意味もわからない。
あやや
ああ、キャスティング、してみたい
させて、誰か、キャスティング。
荒井
森下さんはどのくらい
キャスティングに関わっているんですか?
森下
聞かれれば「誰がいい」とかは言いますかね。
ちょっと自慢していい?
今回のキャスティングで、
高橋一生さんをぜひ『直虎』に呼んでほしい
と言ったのは私です。
なぜなら~、貝原ファンだったから!
あやや
わぁーー、すごい!
『民王』の貝原、ミステリアスで
かっこよかったです。
結果的に、よかったですねぇ。
森下
はい、大正解でした。
受けてくださってほんとありがたかったです。
あやや
高橋一生さんの人気もありますけど、
今回の大河の『直虎』って、
若い女性のファンが多いですよね。
森下
あ、そうなんです。
それはデータにも現れてるらしくて。
60~70代の層は減ったけど、
30~40代の比較的若い層が見てくれてるという。
あやや
たぶん、大河はこれまで観てないんだけど、
『直虎』は観てるっていう人いっぱいいますよ。
やっぱりね、女性が観てたのしいですから。
イケメンがたくさん出るっていうのは
もちろんですけど、その相手役が
柴咲コウさんっていうところが絶妙なんです。
──
そうなの?
あやや
そこはとても重要です。
イケメンが出るだけではなく、
イケメンに囲まれているのが誰か?
そこはとても重要です。
荒井
2回言いましたね。
あやや
だって、そこはとても重要なんです。
あの‥‥言ってもいいですか?
森下
言うんでしょ。
荒井
言うんでしょ。
──
言うんでしょ。
あやや
三浦春馬さん、高橋一生さん、菅田将暉さん、
たくさんのイケメンに囲まれるのが、
『直虎』の場合、柴咲コウさんなんですが、
柴咲コウさんはね、正直、
見ていて、ラクなんですよ。
──
ラク?
あやや
ちょっと次元が違うから。
見てる側と半端につながってると、
妙に感情が入ったり、違和感があったりして、
見ていてたいへんなんです。
きれいな女優さんは
いっぱいいらっしゃいますけど、
柴咲コウさんは、
ちょっと世間にいないタイプの美人だから
イケメンに囲まれていてもラクなんです。
森下
へんに嫉妬しないんだよね、
別次元で美しいから。
あやや
そうそうそう、
嫉妬しない、文句の言いようがない。
あと、柴咲コウちゃんって、
儚げなところもあって、
見事に合ってるんですよ、直虎のイメージに。
完璧なんだけど、完璧すぎないっていうか、
強いのに脆そうなところもあるのもいい。
あと、ご本人も気持ちのいい方なんじゃないかと。
森下
ご本人、さばっと、からっとしていて、
現場でのトラブルとか聞かなかったです。
みんな、ほんと、殿のこと大好きで。
座長としてもすばらしかったです。
あやや
わぁ、わぁ、すばらしい!
森下
みんな魅力にやられてますよ、殿の。
あやや
ゆきのじとかも‥‥。
森下
そうそうそう、
矢本悠馬くんなんか、
やられっぱなしですよ(笑)。
あやや
なんか、想像ですけど、
みなさん、仲がよさそうですよね。
小林薫さんとか、年上の人が、
おおらかそうな感じもするし。
森下
薫さん、若い人たち連れて、
ご飯食べに行ってくれたりとか。
もともと『Dr.コトー診療所』で、
柴咲コウさんと薫さんが
顔見知りだったということもあって、
現場の雰囲気はとてもいいんですよ。
あと、ムロツヨシさんの存在が大きい。
あやや
あ、やっぱりそうなんだ!
森下
みんなをムロ鍋でフォローしてくれるという。
荒井
聞いたことあります、ムロ鍋(笑)。
森下
とにかく、面倒見がいいんですよ。
かくいう私も酔っ払って、
ムロちゃんと杏ちゃんに
囚われた宇宙人状態で
送り届けてもらったことが‥‥。
──
なにやってるんですか。
森下
その節はまことにご迷惑を‥‥。
あやや
だって、いろんなトーク番組で
ムロさんのエピソード、よく聞きますもんね。
たとえば、小栗旬さんとか、
小泉孝太郎さんとかが、
芸能界で誰と仲がいいんですかって訊かれると、
ムロさんが売れてないころから、
「ムロツヨシ」って。
とにかく、ムロツヨシという名前を
俺たちは出していくから、って感じで。
もう、どのくらい好かれてるか、っていう。
森下
うん、うん、好かれてますよね。
本人曰く、有名人を使って有名になった、と。
あやや
それくらい愛されてるってことですよね。
森下
ほんとに面倒見がいいし、座持ちが抜群。
荒井
売れるまで、けっこう長かったんですよね。
森下
そうそう、長いんですよ。
あやや
いま40代ですもんね。
いや、いいメンバーが
そろってますね、『直虎』。
森下
ほんとうに、ありがたいことです。
あやや
あとは、言い忘れてることないかなー。
あ、柳楽優弥さん! 龍雲丸!
まさか、殿とくっついちゃうとは思わなかった。
荒井
そうそう、けっこう驚きました。
森下
なにしろ龍雲丸はオリキャラですからね(笑)。
あやや
オリキャラ?
荒井
オリジナルキャラクター。
森下
龍雲丸に関しては、いろんな意見があって。
オリジナルキャラクターと
実在の人物を結びつけるなんて!
という人もいれば、
やっとしあわせにしてくれてありがとう、
みたいに言ってくださる人もいて。
でも、政次が浮かばれないじゃん! イヤ!
とか、いろんなご意見があるんですけど、
私がいま、一周回って思ってるのは、
たったひとり結ばれた人がオリキャラなんて、
なんか、それはそれでしみじみ悲しいなぁ、と。
荒井
あー(笑)。
森下
だって、ほんとは、
誰とも結ばれてないんだよ、彼女は。
荒井
オリジナルってことは架空の人物ですもんね。
──
史実では誰とも結ばれていないんですか。
森下
たぶん。ずっと尼さんなので。
その人生をドラマにしたときに、
たったひとりの恋人がオリキャラって、
ちょっと切ないことをしてしまったなぁ、とも。
あやや
たしかに‥‥。
そういう森下さんの思いからかもしれませんが、
龍雲丸との井戸のシーンは、
とってもラブでよかったですねぇ!
荒井
はいはい、大河とは思えない甘酸っぱさで(笑)。
森下
そっか。架空だからできたのか、わたし(笑)。
──
あのシーンは、かつてこの連ドラチェックで
「どんなジャンルのドラマでも
 ラブの要素がないと最後まで見られない」
と発言していた森下さんならでは。
あやや
そうそうそう。
森下
はははは。
あやや
そういえば、あの井戸の場面、龍雲丸が
「好きな女がいる」みたいなこと言ったときに、
直虎がすごく動揺したじゃないですか。
あれは「わたしのこと?」って思ったの、
それとも「別の人のこと」って思ったの。
森下
「別の人のこと」です。
荒井
おお、即答。
あやや
へーー、やっぱりそうなんですか。
森下
「わたしのこと?」って思う回路は、
直虎の頭の中には存在してない気がするんですよ。
あやや
なるほどー。
──
脚本家に真意を訊くなんて、
なんと贅沢な‥‥。
あやや
いやあ、でも、
ドラマにラブがあるのはいいですよ!
若い女性層が見ているのも
それは絶対大きいと思う。
今後も、ラブ全開で!
森下
ここからは、うーん、どんなラブだろう(笑)。
あやや
まあ、『直虎』にかぎらず、
森下さんには恋愛を
思いっきり書いてもらいたいなあ。
森下
いやいや、
私の書く恋愛はダメですよ。
シンプルに恋愛だけ書いたら、
きっと、うけないと思う。
あやや
あ、わかった。
すんなり結ばせたくないっていう気持ちが
心の底にあるからでしょ(笑)。
森下
そうそうそう、
だって、しあわせな恋愛、
あんまり書く気ないもん(笑)。
──
はははは。
あやや
しかし、『直虎』も、いよいよ、
終わりに向かっていきますねぇ。
荒井
12月に終わるから、あと10回くらい?
森下
そうですねぇ‥‥。
あやや
脱稿したっていうことは、
もう完全に手を離れてる感じですか。
森下
終わった、っていう気持ちはあるけど、
じつは、やり残した感もあるにはあって‥‥。
荒井
おっ。
あやや
どどど、どんな?
森下
これは、言っても大丈夫かな?
じつは、ナレーションを
担当してくださっている中村梅雀さんから、
どこかに出たいとお願いされていたんですよ。
でも、出ていただく場面を上手に
用意できなかったんだよね。
あやや
中村梅雀さんと言えば、
『篤姫』の井伊直弼役ですよね。
つまり、直虎の子孫ですもんね。
森下
そうそうそう、
ずっと気になってるんですが‥‥。
‥‥‥‥。
あやや
‥‥ん?
森下
‥‥‥‥あ! できるかも!
──
え? できるかも?
ここになら出てもらえる、
というのを思いついたってことですか?
森下
そうそうそう。
どうしようかな、いま、メールしていい?
──
ぜひ、ぜひメールしてください。
あやや
してください!
森下
じゃあ、ちょっと失礼して‥‥。
荒井
こ、これは貴重な‥‥。
あやや
うわー、私たち、
決定的瞬間に立ち会ったってことですよね。
──
そう、いままさに。
森下
‥‥よし、と。送りました。
あやや
はーー、終わっちゃうのかぁ。
──
それはそうと!
そろそろ秋のドラマの話をしましょう。
ただでさえ、ぼくの編集が遅れて、
まだですか、まだですかと、
読者の方にせっつかれているんです。
あやや
じゃあ、最後にひとつだけ!
森下さん!
これからの井伊は‥‥明るいですか?
森下
‥‥明るいですよ。
あやや
「明るい」って!
「明るい」いただきました!
荒井
ははははは。
森下
だってさ、井伊はさ、井伊家だもの。
それは史実として明らかですから。
あやや
そうですよ。
ほんとそうですよ、みなさん。
歴女的には、安心しました!
──
誰が歴女やねん。


(お待たせしてすみません。続きます)
2017-11-02-THU

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN