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ほぼ日刊イトイ新聞

2025-04-20

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・作家で劇作家の井上ひさしが言ったという
 「むつかしいことをやさしく、
 やさしいことをふかく、
 ふかいことをおもしろく、
 おもしろいことをまじめに、
 まじめなことをゆかいに、
 ゆかいなことを、いっそうゆかいに」
 ということばは、あちこちで引用されてきた。

 このことばの見事なところは、
 ○○を△△に、△△を□□にと
 しりとりのようにつなげている技術なのだが、
 ○○も△△も□□のどれも否定せずに、
 次々に衣装を替えて別の姿にしているところだと思う。
 「むつかしいことはいけない、やさしいのがいい」とか
 「やさしいのも、ふかくなきゃいけない」とか、
 概念を戦わせているのではなく、改良させているのだ。
 唯一「ゆかい」だけは、そのまま変化させずに、
 「いっそう」と強めるだけにしている。
 ゆかいな創作を続けてきた人らしいなぁと思う。

 この井上ひさしの有名な文を思い出したのは、
 『決定版 一億人の俳句入門』(長谷川櫂)を読んでいて、
 そこに「俳句を詠むとき、大事なこと」があって、
 「わぁ、おもしろいなぁ」と思ったからだった。
 その大事なことというのは三つあって、
 一、わかるように詠む。
 一、すっきりと詠む。
 一、いきいきと詠む。
 であると書かれていた。
 これは、わかりやすいし、わかりやすくない。
 「きっとそうなんだろう」という実感もあるが、
 わからないとも言えるし、もっとわかりたくなる。
 本のなかには、これの説明もあるけれど、
 そう簡単にわかったなんて言えないことが書いてある。
 こういうのが、いちばん「おもしろい」んだよなぁ。
 だいたい「わかるように」だけでも、できているだろうか。
 皮肉なことだが、このぼくが毎日書いている文章にしても、
 この三つの大事なことができているだろうかとか考える。
 考えてるより書かなきゃいけないから、いま書いている。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「やさしく、つよく、おもしろく」も、よくできているなぁ。


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