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ほぼ日刊イトイ新聞

2025-04-23

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・もともと、ぼくは対談の前の打ち合わせをしない。
 しないと言い切るのもどうかと思うが、
 言い切ってもいいくらいしない。
 どうしようかなぁ、というくらいは考える。
 下ごしらえや構想は、ないわけではない。
 痩せるほど考えることだってないとは言えない、ないけど。
 長年、このスタイルを貫いてきたことは、自慢ではない。

 どうして、そういうことをするのか? 
 その場で話す相手の方と、いっしょに歩きたいからだ。
 たがいに、どういうカードを持っているかについては、
 ある程度わかっていることはかまわない。
 でも、そのカードを段取りに合わせて出し合っても、
 予定が予定通りに進んだということにしかすぎない。
 ぼくは、いっしょに森を歩いて、いっしょに迷ったり、
 いっしょになにかを見つけたりしたいのである。
 このとき、この機会を得て、
 いっしょになにか探したよね、ということがたのしい。
 おそらく、いっしょに歩いてくれる相手の方も、
 その体験をたのしんでくれることがほとんどだと思う。
 インタビューのプロフェッショナルというような方と、
 初対面で話すなんていうこともあった。
 大谷翔平選手のインタビューで知られている
 石田雄太さんとは、初めて会った。
 出番の直前に「ほんっとに打ち合わせしないんですね」と、
 苦笑されていたけれど、始まったら最高にたのしかった。

 いまの時代、インターネットで調べたら、
 「ひと通りの情報」は、すぐにわかることになっている。
 仮に、渋沢栄一に会えるようなことがあったとしても、
 「渋沢栄一」がどういう人だったか、
 あちこちで同じようなことを伝える必要などないのだ。
 だとしたら、「その場で」渋沢さんとなにを話そうか? 
 いっしょに歩きだして、いっしょに探せばいいのだ。
 そのときその場がおもしろいことが、最高の結果なのだ。

 つい先日は、土の「藤井一至」さんと、
 昨日は、『弱さ考』の井上慎平さんと、話した。
 いままで以上に、「その場」を歩き回った気がする。
 本人たちが「おもしろい!」と思った対談が続いている。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「おもしろくしよう」が目的でもない、「おもしろい」のだ。


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