高野 |
いや、僕ね、いちばん聞きたいのは、
宮本とかって、
「ゼルダの世界は、別にないよー」
って言いながらも、
けっこうこだわってるところが、すごい‥‥。 |
一同 |
(笑) |
ほぼ日 |
どういうところに? |
      |
高野 |
僕らにすごく任せて、やっていいよ、
好きなようにって感じで。
春花たちが、この路線で行こうって決めたら、
バーッてラフ・スケッチを描いて、
「こんな感じです」
とかって、見せに行くと、
「違う」って、たまに言われるんですよ。
「こうじゃないよ」とかって。
最初はこれで行けるのかな?
って思ったら、だけどやっぱり「違う」って。
僕らには直接は言わないですけど、
思い描いてる宮本の、
自分の世界っていうのを、
ほんとはどっかに持ってると思うんですよ。 |
ほぼ日 |
例えば、どういうのですか? |
春花 |
ゼルダ姫はそうでしたね。
やっぱり今回ちょっと絵が変わったので、
ゼルダ姫も変えてやろう、って思ったんです。
普通のお姫さまじゃないような格好にした
ラフを描いたんですが、そこはやっぱり、
ちゃんと普通のお姫さまにしてね、って。 |
      |
青沼 |
宮本が、基本的にあるのは、
必然性のあるものは変えてもいいけれども、
必然性のないものは変えなくてもいいじゃない、
っていうことなんです。
お姫さまであるそのイメージっていうのは、
別に変える必要はないでしょう?
そこに変える意味があるんであれば
OKだけど、っていう。
なんでもそういう感覚ですよね。
だから、例えば、操作性とかに関しても、
大きく変える必然性のあることを、
このほうが絶対、分かりやすいっていう、
そういう変え方であればいいんですけど、
逆に変えなくたって
いまのままで操作性はいいよね、
みたいなところを無理に変える必要はないだろう、
っていう感覚ですね。 |
春花 |
僕らもその、新しいところで
欲張るんですけど。
で、区切りのいいところで
宮本に見せたときに、
「これは64のときにできてるものやから、
わざわざ外さんでいいやん」って。
僕ら新しいこととか、
できるだけ盛り込みたいから、
欲張るんですけども。 |
青沼 |
そう、逆に、それが入っちゃうと、
「前と同じじゃない」って
言われそうな気がして、
外したいと思ったりするけども、
それは別にいいじゃない、っていうふうになる。 |
春花 |
「64のときにできてるのに、何でなくなんの?」
とか。難しいなー、って。 |
      |
高野 |
だから、スタッフ的にはもう、
とにかく新しいもんにしなきゃいけないから、
全てを新しく変えようとするわけですよ(笑)。
それをいきなりガーッと変えてしまうと、
「なんでー?」みたいな。
ま、だから、そこでストッパーの役目が
宮本なんです。 |
ほぼ日 |
線引きが、ここが確立されてるもので、
ここから先は新しいのを取り入れても
いいところだ、っていうのの
見極めみたいなものが、
宮本さんが持ってるものになっちゃうんですか?
他の人でも、これは宮本さんだったら、
このままでいいだろうって言うだろう、
っていう判断はつくんですか? |
青沼 |
もちろん判断のつく部分もあって。
なおかつ、そこらへんがどこまで
エスカレートしていいのか、
みたいなところっていうのは、
あるところを越えちゃうと、
延々こう、スゴイとこまで行っちゃうんだけど。
だから、そこのところの微妙な線っていうのは
やっぱり、宮本しか
分かんないところもあったりはするよね。 |
      |
高野 |
スタッフは冷静になれなくなってるから、
それは正しいんだって思って
ガーッてなってくと、
遠くからこう、神のように見てて。
「違う、違うよー」とかって言われて、
はじめてハタと冷静になって、
あ、そっか、っていうのは、多いですよね。
逆に言ったら、宮本はこう言うだろう、って
思ってやってることと違うところを
突いてきたりすることはすごく多いですよね。 |
青沼 |
そう。
もうたいがい最近読めてきてるかな?
と思いつつ、あれっ? そう来たか、
っていう部分が。 |
高野 |
ストーリー関係ないよ、って、
ゲームが面白かったらいいんだよー、
とか言うわりには、
開発者レベルの考え方でやってしまってると、
「ここ、ちょっとおかしいんじゃないの?」
って、もうグサリとやりますよね。
あの、望遠鏡の話とかね。 |