糸井 |
岡田さんの『プチクリ』の次の展開としては、
できることなら、
「負け方」というのも知りたいですね。
バンドをやっている奴は無数にいるけど、
バンドやってうまくいかないけど気分がいい、
というコースがあることを
ちゃんと書いてあったら、
正直だな、読みたいな、と思う。
「モデル」と呼ばれる職業の人でも、
チラシのモデル、
ファッションショーのモデル、
いっぱいいます。
チラシのモデルになった人のなかでも
「私はチラシだなあ」と、悲しく思う人と
そうじゃない人がいると思うんだよ。
でもね、ショーに出るモデルがいいんだ、
ということが、これからは
変わっていくかもしれないんです。
これからは「すごいチラシ」をつくる
可能性のほうが
「ある」ことになっていくんだと思います。
最近、いろんなメディアの特性が変わってきたと
よく言われますが、
世の中変わるって、
そういうことだと思うんです。
テレビのコマーシャルをやるのと、
ほんとに効くチラシを作るのとでは、
チラシを作るクリエイティブのほうが
ほんとうはおもしろいんですよ。
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岡田 |
うん、そうですね。
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糸井 |
その背景が変わっていくなかでのプチクリは、
勇気が出ますね、きっと。
「負けるだの勝つだの考えるよりは、
俺が切り開く!」
という気分になります。
プロが恐がって加減しているようなことを、
アマチュアは加減しないですもん。
そういうことが切り開いてきたことって、
これまでに、いっぱいありますから。
『プチクリ』の
「プロは、みんなダメだと言いたがる」
というところ、あそこなんか、
ぼくもそう思います。
ほんと、ひどいですよ。
プロは「どれだけプロが大変か」
という話をしたがりすぎる。
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岡田 |
行ききった人は
「絶対に運だ」とか「楽しいよ」
とか言うんですけれども、
プロになっている人で後悔したくない人は、
必ずキツイことを言うんですよ。
「だって好きなんだもん」とか、
言ってくれないんですよ。
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糸井 |
言っちゃえばいいのにね。
きっと「好きなんだもん」と言うと
「好きなんだったらできるはず」
ということになって、
「好き」を担保にとられちゃうからでしょうね。
それは気分がよくないんだろうね。
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岡田 |
ぼくは、やっぱり、
この『プチクリ』には
なんだかんだ言って、
自信があるんですよ。
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糸井 |
この考えが「つくったもの」がすごくなったら、
ニュースになりますね。
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岡田 |
いま、同人誌の制作をしていて。
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糸井 |
あ! それはおもしろい!
つまり、『プチクリ』の憲法をもとにして
国ができるってことでしょ?
その同人誌がすごかったなら、
それは、いいニュースになりますよ。
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岡田 |
よっしゃよっしゃ。
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糸井 |
しかし、はじめてですよ、
こんなにオタクの人としゃべったのは。
元祖オタクの岡田さんが、
こんなに話をしてくださって‥‥。
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岡田 |
いやいや、ありがとうございました。
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糸井 |
おもしろいなあ。
こういう人がいるのが、
ほんとうにおもしろい。
長い時間、話してくださって
ありがとうございました。
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今日で、岡田斗司夫さんと