まず、カメントツさんは、
もともとこういう人だったんだよね。

はい、そうです。
もともとルポマンガというか、
ノンフィクションものを描いていました。
この連載のときは、
とよ田みのる先生が紹介してくださって‥‥。

そういえば絵がちょっと似てるかも。

そもそもぼくは、
マンガの賞レースに参加してないんです。
というのも、
出版社に作品を持ち込む前に、
すでにネットでマンガを公開していたので。

あぁ、なるほど。

この連載のときも、
「とよ田先生が紹介してくれた人」
ということで、
副編集長がぼくのマンガを見てくれて、
それで小学館の『ゲッサン』で
巻末マンガを描くようになったんです。

そうなんですね。

それで、自分の連載をみんなに
もっと読んでもらうと思って、
ツイッターで宣伝をしたり、
ちょこちょこネタをアップしてたんです。



そういう流れのなかで、
これまでと正反対のもので、
ちょっと実験的にアップしたのが、
『こぐまのケーキ屋さん』でした。

それで『漫画ならず道』と
『こぐまのケーキ屋さん』が並ぶわけだ。

そうなんです。

ぼくも両方のマンガを読んで
「え？ 同じ人が描いたの？」って、
ちょっとビックリしたんです。
しかも、両方おもしろいから、
「この２冊を並行して描くって、
どういう人なんだろう」と。

正直にいうと『こぐまのケーキ屋さん』は、
ギャグのつもりで描いたので、
１話目であんなにウケなかったら、
続きは描いてなかったと思います。



そのとき考えていたのは、
２話目のタイトルを「こぐまのケーキ」にして、
大きくなったこぐまが、
うっかり爪で人を殺めてしまって
刑期（ケーキ）をくらう。
つまり、ダジャレで終わらそうと
思っていました（笑）。

一同

ええーーー！

でも、１話目をアップした時点で、
みんなが「かわいい！」ってなったので、
「あ、そんなに求めてくれるなら、
ちゃんとストレートに描こうかな」って。

つまり、お客さんが育てたんだ。

はい。

じゃあ、単行本の最後の
「こういう前提でした」という話は、
あとで考えたの？

最後の話は、
描いてる途中で思いつきました。
なので、その気配を途中から
チラホラ入れたりしています。

え、そんなところあった？

はい、もうほんとこっそりと。
最後の話につながるような
ツーショット写真が、
こぐまの家に飾ってあったり。

うわぁ、それは知らなかった！

ちょっと待ってくださいね。
（本をパラパラとめくる）
あ、ありました、ここです。

わ、ほんとだ！

これは気付きたかったぁ（笑）。

あと、最後の話は
表紙ともつながっていて‥‥。

あ、思いました！
ショーケースのケーキが‥‥ですよね？

そうです、そうです。
チラシのケーキが、
そのまま表紙で使われているんです。



ぼくのねらいとしては、
単行本を読む前とあとで、
表紙の意味を変えたかったんです。

もう、たのしんでつくってるよね。

すごくたのしかったです。

あと、この本のスピード感を聞いたら、
みんな驚くと思うんだけど、
ツイッターに１話目をアップしたのは、
いつだったか覚えてる？

たしか、去年の11月ごろだったような。

え、11月？　だって、いま３月ですよ？
（※座談会は３月９日に収録しました）

ね、すごいでしょう。

うん、それはすごい。

１話目をアップしたときに、
すでにいくつかの出版社さんから
お話がありましたね。

すご‥‥。

出版社の方々からも
「ネットのスピード感についていこう」
というエネルギーを、ひしひし感じました。

もともと続ける予定じゃなかったマンガでも、
「これでいける」って思ったら、
いくらでも描けちゃいますよね。

全然描けますね。
むしろぼくは、求められたほうが
描けるタイプなので。

じゃあ、単行本の原稿が、
全部できたのはいつだったんですか。
去年のうちとか？

いえ、もっとギリギリでした。
たぶん２月の終わりごろに、
全部そろったような気がします。

え、だって、今日って‥‥９日だよね？
２月の終わりに原稿がそろって、
もう、ここに本がある（笑）。

もう、チームみんなのおかげですね。