── | おしゃれって思われてる人が、 意外とおしゃれじゃないことってありますよね。 ブランドものを着ていても、 そのブランドだけで「もう、決めた」という人よりも、 いろんなブランドを見て、 シーズンごとにマメにチェックして、 組み合わせてる人のほうが やっぱりおしゃれだと思うんですよ。 |
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岡戸 | そんなことはしたくないのよ。 決めるとラクなんだもの。 |
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── | 「ラク」への道ってありますよね。何でも。 コーヒーはこれとか、オリーブオイルはこれだとか、 少しずつ決めていくと、どんどんラクになっていく。 |
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伊藤 | でも、着るものって、自分とセットになるから、 それこそ加齢によって、 首の下辺りから腰の下あたりまでが ぼやけたりとかするじゃないですか。 |
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岡戸 | うまい。確かにぼやけるわ(笑)。 |
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伊藤 | 「あれ? これ、この前までは似合ってたはずなのに、 なんとなく、おかしくない?」みたいな。 |
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岡戸 | ありますよ。 |
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伊藤 | といって、それを維持するための努力も 全然したくないし。 |
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岡戸 | しない、しない。 服を変えればいいんだもん(笑)。 「隠せばいいのよ」みたいな。 ‥‥どうしよう。 おしゃれじゃないっていう話になっちゃってるよ。 でも本当なんです。年を重ねて、 「何も服が似合わない」 「着る服がない」って、 ますますみんな言ってるわけです。 共通の知人にSさんていうかたがいてね、 伊藤さんよりすこし年上なんだけれど、 「服がない、服がない」って、 30代の末くらいからずっと言ってるわけ。 でも、伊藤さんの格好見ると、 「これでいいいんだ!」とも思うんですって。 |
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伊藤 | いやいや、それは‥‥。 |
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── | 人を見て「これでいいんだ」 って思う気持ち、わかりますよ。 この人は決めたんだって見えるんです。 |
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岡戸 | 「変わっていくのが楽しい」という人も、 おおぜいいるのかなぁ? |
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伊藤 | 先日、マガジンハウスの男性編集者と話をしていて、 「伊藤さん、マニュキュアとかしないんだ」って。 だって、お化粧とかも面倒なのにって答えたら、 「え?」ってすごく驚かれました。 「女の人って変わっていくのが嬉しいから、 化粧するんじゃないの?」って。 私にとっては、お化粧は、 「仕事だからしょうがないか」。 |
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── | 最低限しておこう、という伊藤さんタイプもいますし、 毎朝メイクに3時間くらいかけて それが「楽しい」と感じている人もいますよね。 |
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伊藤 | その男性編集者、 女は全てそれだと思ってたのかな? |
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岡戸 | そうなんじゃない? |
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伊藤 | 彼はそういう女性とばかり つきあってきたんですね‥‥(笑)。 |
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岡戸 | 言ってみて。 「女をそういうふうに思ってるんでしょう、全て」って。 |
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伊藤 | さんざん「伊藤さんっておもしろいよね」って言われて! でも、岡戸さんも、お化粧はしないじゃないですか。 それもすごいなぁと思って。 |
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岡戸 | そうね。なんでだろう。 自信もないのに。見られたくもないのに、人から(笑)。 |
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伊藤 | そして、イヤリングを必ずしている。 ミキモトですか? |
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岡戸 | そう、会社から一番近かったから。 粒の大きさもずっと同じです。 7.5ミリという小ぶりのサイズ。 |
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伊藤 | ということは何個も持っている? |
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岡戸 | 失くしては買い、失くしては買い、同じものを。 私、仕事で、 「小ぶりなパールが大人に見える」という提案に、 「そうだよ」と思って、買ってみたんですよ。 |
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伊藤 | 見ていいですか? |
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岡戸 | どうぞ。 |
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伊藤 | かわいい! 例えばレストランに行く時は どういう格好をするんですか? おしゃれ。 |
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岡戸 | ジャケットを着ますね。 |
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伊藤 | いまの格好の上に? |
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岡戸 | そう、ジャケット着ちゃう。 |
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伊藤 | どういうジャケットですか? |
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岡戸 | 普通のテーラードですよ。 これに似合うようなジャケットを買ってるんですね、 きっと自然と、無意識に。 |
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── | 白いシャツは好きでも、 「クリーニングに出さなきゃいけないのが面倒くさい」 という人もいますよね。 |
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岡戸 | 手で洗えばいいじゃない? Tシャツ洗うのも一緒よ。 アイロンだけ頼んでもいいんだし。 |
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── | あと「着こなせるかどうか自信がない」 という人も。 白着てる人って、かっこいい印象があって。 シュッとしてる。 ダラダラできない気がしちゃうっていうか。 |
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岡戸 | わたしも、『大人はおしゃれ 着る?』(ku:nel別冊) という本を作った時に、 「白いシャツの似合う人って、どういう人なのかなぁ?」 ということを考えたんです。 自分は全然好きとは思っていなかった。 伊藤さんに言われるまで、 「え? そんな、私、白いシャツ多いかな?」 と思ったくらいで、自分は違うと思ってました。だから、 「自分ではない人の、白いシャツの似合う人って、 どういう人なのかなぁ?」 と思って、取材を進めたところ、 やっぱり白いシャツが似合う人はね、 おしゃれな人が多くて、ジャストサイズを知ってる人。 自分の体を知ってる人。特に男の人。 ホンマタカシさんと、チューブのデザイナーの 斉藤久夫さんに取材をしたんです。 斉藤さんは、古着を買って、 自分サイズに、全部作り替えてるのね。 |
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伊藤 | へぇ! |
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岡戸 | ホンマさんは、アーツ&サイエンスで買った服の裾を、 必ず、2センチカットするんだって。 |
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伊藤 | えぇ?! |
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岡戸 | 自分に合わないからって。 男の人は、特にジャストサイズっていうのが すごくカッコよく見えるじゃない? |
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伊藤 | なんか男の人のそういうこだわりって、 ハンパない感じがしますよね。 |
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岡戸 | 斉藤久夫さんのこだわりったら、なかった。 「あぁ、でも、パンツもそうだけどね」って。 古着のパンツも自分サイズに作り替えてる。 すごいおしゃれさんでしたね。 |
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伊藤 | それを聞いた時の岡戸さんは、どう思ったんですか? |
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岡戸 | 「すごい」と。 わたし、そこまでじゃないんです。 「着やすいほうがいいなぁ」と思うし、 「シャツのダブダブだけはちょっと」くらいな感じで。 |
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伊藤 | そういえば、試着しますか? シャツ買う時。 |
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岡戸 | あぁ、しませんね。 もうみんな知ってるから、試着する必要がないわけですよ。 アーツのシャツは、初めてのとき試着したのに、 間違えて大きいの買っちゃったけど。 |
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伊藤 | なんで(笑)。 |
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岡戸 | 間違っちゃったのよ。 |
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伊藤 | だから同じブランドを買う。 |
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岡戸 | そうそう。ね、早いじゃない? |
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伊藤 | わたし、ジーンズがそうです。もう。 |
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岡戸 | どこのジーンズですか? |
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伊藤 | ドレステリア(DRESSTERIOR)なんですけど。 |
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岡戸 | もう試着する必要がないって感じなのね。 カットは? |
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伊藤 | カットは、前のを持って行って、 「これと同じ長さにしてください」。 |
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岡戸 | 試着するのが苦手なのね。 |
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伊藤 | そうそうそう! |
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岡戸 | なんでしょうね。 「恥ずかしいから、早く出ちゃおう」 っていう感じよね(笑)。 |
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伊藤 | なぜだか恥ずかしさがつきまといますよね、買い物って。 (つづきます) |
2013-03-21-THU
写真:有賀傑 |
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