糸井重里
・たぶん、ぼくはしばらくの間、このことについて
考えること書くことが増えると思います。
それは「主観」ということです。
いま毎日、連続で「読者へのインタビュー」として、
いろんな質問を投げかけています。
ぼくが聞くのは、その人の「主観」に関わることです。
まぁ、例えばの話、今日、この文章を書き終えたら、
「最後にさよならと言ったのは?」と質問します。
誰もが、ごく気軽に「さよなら」と言ってると思います。
「さっき、誰それに言ったな」とかいう感じでもいいです。
「そういえば、わざわざさよならと言うことは少ないな」
と思い出す人もいるかもしれません。
「言ったさよならより、言われたさよならを思い出す」
という人だっているかもしれない。
じぶんの身に実際にあったことを思い浮かべるわけです。
で、特に、わざわざ聞かれたら、どれを答えるのかなとか、
このことについては思い出したけど、隠しておこうとか、
じぶんだけしか知らないことを、じぶんで判断して、
じぶんだけのために記したり、メールで出したりします。
正解があるわけじゃない、アンケートでもない、
じぶんがなにを考えたかを、考えて書き留めておく。
その元になっているのは、じぶんが生きてきた記憶です。
簡単です、やれば誰にでもできる、浅くも深くもできる。
するりと質問をはぐらかすことだって、ご本人の自由です。
すべて「主観」のままに考え、書けばいいだけです。
しかし、これは、「AI」にはできないんですよね。
テキストの上で、「さよなら」を言うという
やりとりはしたかもしれないけど、
「さよなら」を言う場面で、それを言っただけなのです。
「さよなら」を言いたくて言ったわけではないのです。
人間がそうしている形式を、再現しているのです、
「主観」を言いにくい場面が増えていくと、
「主観」は霧のようになって、隠れていってしまいます。
「主観」がある、ということを、もっと覚えておきたい。
あなたという人は、他の誰でもない主観を持つあなたです。
◆そう。no.011「最後にさよならと言ったのは?」です。
ほんの5分でも思い出して、考えてみましょうか。
よろしければ、メールにも書いて送ってください。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
野中郁次郎先生は、ほぼ日手帳には「主観」を書くのだと。
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