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ほぼ日手帳

糸井重里

・まったく「生きてるって、思い出をつくること」なんだ。
 生きていれば、思い出がつくれる。
 逆さからの言い方をすれば、なんとも現実的だが
 「生きてないと、思い出はつくれない」ということになる。
 もちろん、思い出のなかには、うれしくないものもある。
 若気の至りとか、若さはバカさだとかも言うけれど、
 特に若いときの思い出については、
 いまだったらありえないというようなこともある。
 「わたしはそんなことない」という人もいるだろうが、
 ぼくには、ある。
 多いか少ないかはわからないが、恥ずかしいこともある。
 いま、じぶんの前にそのころのじぶんがいたら、
 こんこんと説教してやりたいようなこともある。
 でも、たぶん、いまのぼくが諭したとしても、
 理解してくれないんじゃないかな、そのころのぼくは。

 ちょっとでも「悪いことをしている」と思うようなことは、
 そんな気持ちがもともとあるから、歯止めもきくだろう。
 あるいは、ただ「調子づいてる」ようなことにしても、
 心の奥に思い当たるところもないじゃないから、
 いっとき反抗的になっても、いずれはおさまるだろう。
 もともとまちがった考えがあって、
 社会もじぶんも、そのまちがいに染まっていたとしたら、
 そういうことについては、考え直すこともありそうだ。

 それより困るのが、じぶんは正しいことを考えている
 じぶんは正しいことをしていると思い込んで、
 そうでない人のことを見下したり、
 じぶんの考えに合わない人を責めたりするような場合だ。
 じぶんが正しいのだから、それをじゃまする者は
 悪いやつか、遅れたやつだと決めつけたりもする。

 生きてるうちには、いやでもそんな思い出だってできる。
 そういう思い出はずっと忘れないでいたほうがいい。
 ちょっとしたあみだくじの曲がり方しだいで、
 たいがいの可能性はあるんだと、知っている必要がある。
 生きてるって、つまりその、
 思い出が積み重なっていくことでもあるのでね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
思い出と思い出の間に、たっぷりした余白もあってほしいね。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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