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ほぼ日手帳

糸井重里

・よく眠れるとか、眠れないとかはさておき、
 目を閉じて身体を横にしているだけでいいんだってよ。
 とは、ぼくも何度も聞いていたことだけれど、
 他の人の口からあらためて聞くと、そのことを思い出す。

 「生活のたのしみ展」、ほんとうにいい感じで幕が開いて、
 それぞれに忙しかったが、おおむね穏やかな1日だった。
 むろん、考えなきゃならないこと下手くそなことも、
 ないはずはないわけで、これも含めてよろこびたい。
 ただ、睡眠が足りなくなっているのは、
 ぼくだけでないはずで、これは別に考えたいことだ。 

 ぬるめのバスタブにつかって、目を閉じて横たわる。
 浴室の明かりは消してある、たしかに気持ちがいい。
 眠っているわけではないが、とてもそれに近いんだな。
 これはきっといいことだ、これが大切なことだ、と思う。

 で、つい、この気持ちよさは、なんなのだろうと、
 また余計なことを考えはじめてしまう。
 「無防備でいられる」ということかなぁと思う。
 そうだ、たいていの時間、ぼくらは「防備」をしている。
 必要だからしていることなのだろうが、
 ずいぶんと緊張感を強いているはずだ。
 これを、解除できる場面をつくって、「無防備」になる。
 安心して眠っているのと、たしかによく似た状態だ。 

 安心しきって、まったく無防備なものを見るのは、
 ぼくら人間の大人たちは大好きだ。
 赤ん坊でも、動物の子どもたちでも、
 これ以上ないくらいに安心して眠っている。
 この無限に見えるような安心の、その同じ世界に、
 ぼくらも生きていると思うと、うれしくなる。
 心配や不安や疑いやら闘争心やらが忘れられて、
 お先に「無防備」になっている弱きものたちに、
 ついていきたくなるような気持ちだ。
 それ、それ、それが毎日ちゃんとほしいものだったな。
 「無防備」を栄養のように摂り入れなきゃ。
 バスタブで目を閉じるくらいでも、ちょっといいのだ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
風呂からあがって、この原稿書いているけど。うう、眠いぞ。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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