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ほぼ日手帳

糸井重里

・地球の歴史を、時計の24時間でたとえれば、
 人間の祖先のホモ・サピエンスが登場したのが
 23時59分56秒ごろだという話。
 気が遠くなるけど、つい、ぼくらは頭のなかで、
 奈良時代も、ピラミッドの建造も、ずいぶん昔で、
 それよりももっとすっごい昔に人類が誕生していて、
 さらにさらに昔に恐竜がいて‥‥なんて、
 見渡せる範囲での年表を想像しちゃってますけど、
 もう「比較できるようなもんじゃない!」んですよね。

 「星の数ほど」って詩的に言ったりもしてるけど、
 肉眼で見える星の数なんて、それほど多くもないでしょう。
 「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」
 って、これも数え切れないほど多いってことだけれど、
 おちついて考えたら、たいしたことないような気がします。
 浜辺の砂だって数えられるよ、がんばれば。
 というようなことは、前々から思っていたのですが‥‥。

 最近、「ことば」っていうものは、
 宇宙全体で(とりあえずは地球上で)
 どれくらいあるんだろうと考えたんですよね。
 日本語とかギリシア語とかの体系的な「言語」じゃなくて、
 砂粒みたいに「語」の数をぜんぶ足し算した「語彙」。
 戯れにAIと相談してたんですけどね。
 辞書収録語という限定的な数え方をしても、
 ひとつの言語ごとに何十万語とかで、
 言語の種類もおよそ7000とかあるらしいので、
 何千万語、多くみたら1億とか2億語だよというんです。
 しかも、新語もいつでも生成できるから無限である、と。
 いかにも「多いぜ」っていう答えです、AIの立場からも。
 でも、「地球の時計」のたとえで、ぼくは知っちゃった。
 何億であろうが、人間が生まれてからのことばの数なんて、
 たかが知れてるでしょうが!(黒板五郎っぽく言う)。
 人工も天然自然も含めて、ことばになっていない
 「現実のモノやコト」のほうが圧倒的に多いんです。
 ことばは、どこまで行っても「現実」には届かない。
 ほんの一部を、限られた絵の具でスケッチするだけ。
 ま、これもぼくのことばの遊びではあるんですけどね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
いばるな人間とも言えるし、いばるなことばとも思うのだ。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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