糸井重里
・タダでできることは、けっこうあるものだ。
本を読むというのも、借りたりすれば無料でできるし、
インターネットにしたって、テレビを見ることにしたって、
ほとんどタダでできるとも言えるが、
もっとタダで、もっとやったほうがよくてというのが、
散歩することと、考えることだと思っている。
散歩のほうは、ぼくもシロウトなのであんまり言えないが、
たしかキューライスさんは、ものすごく散歩するらしい。
長い散歩をして、その時間にアイディアを考えるという。
いまもやっているのかなぁ、これには憧れてしまうが、
簡単にまねできるような気はしない。
でも、そんなすばらしい散歩のことはともかく、
「なんか考える」という無料の遊びならよくやっている。
目的なんかあってもなくてもいいのだ。
とにかく考える、それだけで時間はつぶれるし、
それなりにおもしろく過ごせるし、
その内容を憶えておけば後々稼ぎの足しになる。
「なんか考える」は、妄想というのとはちがう。
考える必要のあることも、考える必要のないことも、
自由に、とにかく考えはじめてみるのだ。
ほんとうに「なんか」でいいのだ。
たとえば、いまの季節になると、人は雪のことを考える。
タイヤをどうするとか、豪雪で困っているとかね。
そのまま雪についてもっと「なんか考える」のである。
ほんとうに「なんか」でいい、自由に疑問を探してみる。
なんなら、いまは冬でみんなが雪のことを考えてるけど、
なんで桜のことは話題にしないんだろうとか考える。
3月や4月には、桜のことばかり話してたじゃない。
あんなふうに、桜のことをもっと話そうよ、とか。
いま桜の写真集を見たらどんな気持ちになるか、とかね。
いまが冬だから反対に夏のことを想像する、のではなくて、
春のことを考えるのは新鮮だと思う、タダなんだし。
あの時期あんなに話せた桜なんだから、情報もあるはずだ。
そういえば、そういえばと、考えをしりとりさせていく。
「なんか考える」という一人遊びは、とてもおすすめです。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「考えすぎる」よりも、「なんか考える」遊びのほうがいい。






