糸井重里
・「最後はもう精神力なんだと思う」と、よく聞く。
スポーツの試合なんかで言われることが多い。
精神力って、どういうことなのかはよくわからない。
緊張感を持て、とも言われるが、
緊張して硬くなってうまく力が発揮できないこともある。
じゃ、リラックスしていたらいいのかと言えば、
それだと瞬発力みたいなものが生まれないのかもしれない。
わからないです、わしのようなものには。
だいたい、実力が伯仲している上級者たちの世界では、
ちょっとしたちがいが、大きな結果の差になるのだろうが、
だいたいの競争は、実力に差のある人が混じっている。
精神力も、かもしれないが、その前の
実力にすでに開きがあったりもするものだ。
ぼくも、スポーツ界のプロで活躍してきた人に、
いろんな話を聞いてきたけれど、プロの選手たちが、
プロの中でも伝説的な人たちのことを語るとき、
「いままでの自信を、すっかり失ってしまった」
という言い方をすることが多い。
「トップクラス同士の力の差は、
素人とプロの差以上に開きがある」と言う人もいた。
なんとまぁ、恐ろしいことではある。
そうだった、精神力のことだ。
精神主義でなんとかなるという考えは、旧い。
旧いばかりでなく、たぶんまちがっているようにも思う。
ただ、この精神力ということば、というか概念、
本人よりもファンとか応援者とか、
やっていない他人が言うことがほとんどなんだよねー。
戦っている本人が「精神力の勝負になる」とか言うなら、
それは「精神力」というよりもっと実行可能な、
科学に近いものになるのではないかなぁ。
本人でもないのに「精神力が足りない」とか、
強く言うのはやめたほうがいいと思っている。
◆質問no.043「勝負した、ということはありますか?」。
どうだろう?考えて、よかったらメールに書いてください。
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