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ほぼ日手帳

糸井重里

・思考実験というと、ちょっとカッコつけ過ぎだけど、
 いままで考えてもみなかったことについて、
 考えをめぐらせることがある。

 たとえば、こういうことだ。
 よく本気で言っていることなのだが、
 ぼくは年々、忙しく働くようになっている。
 30代の頃だろうか、いかにも「売れっ子」みたいに
 見えていたろうなという時代があった。
 その時代には、たしかに忙しいなぁと思っていたし、
 そういう時期にやっていた仕事の量もそれなりにあった。
 しかし、いまにして思えば、あのくらいの仕事なら、
 その後のじぶんだったら、もっと軽々とこなせると思う。
 自慢ではない、じぶんのことだからわかるのだが、
 そのときには「考えているつもり」ばかりの
 「実はなんにもしてない時間」が、
 ものすごくたくさんあったのです、ほんとは。
 たくさんの時間を、仕事のための助走ということにして、
 遊んだり、他のたのしいことをして過ごしていた。
 それはもう、寝る間も惜しんで、仕事は少しして。
 ただ、いまになってあらためてわかるのだが、
 いまのじぶんという人間の基礎的な力は、
 そんな時代に、そういうムダな時間のなかでできたものだ。
 なにかを発想するときのクセとか、やり方とかは、
 あの、ほんとは仕事してなかった時代に身につけたと思う。

 でもその後、特に「ほぼ日」以後は、たくさんの時間が、
 なにか役に立つことの方に振り分けられていった。
 ほんとに、あらゆる時間がなにかの仕事の助走になり、
 仕事をうまくいかせるための勉強になっていった。
 いつも「もっとやれることがあるんじゃないか」と、
 じぶん自身が監督になって、じぶんを忙しくさせていった。

 ここで、唐突だけど、最初に言った「思考実験」である。
 たとえば、「じぶんの仕事(だと思ってること)を、
 2割減らしたら、2割生産力が上がるんじゃないかなぁ?」
 「仕事を減らすと生産力が上がる」って、逆説が過ぎるか? 
 だけど、いまの時代に、これ、本気で考えてみたいことだ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
労働時間が稼ぎをつくる??AI以降は、ちがってくるよね。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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