糸井重里
・100人が100人同じことを考えているなんてことはない。
じぶんがこうだと思っていることにしても、
それと同じように思っている人が世の中の5割いたら、
これはけっこういるんだなぁと思っていいだろう。
「おでんといえば、だいこんだよね」と確信を持ってても、
「だいこんです」同感ですという人が、どれだけいるか。
それはもう「たまごです」にしたって同じだ。
おでんの代名詞みたいな「こんにゃく」だけれど、
これをじぶんの好みのナンバーワンにあげる人は、
それほど多くないようにも思う(ご近所調べ)。
「おでんといえば?」という問題について、
絶対にみんな一致する正解なんてものはないのである。
だから、自信たっぷりに「みんなたまごが好き」とか
思いこんだまま、皆さまに問いかけたりすると、
「しらたき」だとか「ちくわ」とかの声に、
ありゃありゃと驚いてしまったりするだろう。
了見の狭い人なら「なんと非常識な」と怒ったりもして。
再々言いますけどさ、100人が同じことを考えてるなんて、
絶対にあり得ないと、知ってなきゃいけないんですよね。
みんなもこんな世界を望んでいるんだろうなとか、
人はこう考えるものだと思うよ、とか決めつけられない。
とんでもない意見も、まさかという考えも、
よくも悪くも、絶対に世の中には存在するんだから。
よく「エゴサーチ(じぶんのことを検索する)ことは、
精神的によくないからやめたほうがいい」と言われてる。
それは、じぶんが傷つくような情報を、
わざわざ探しに行くようなものだからだ。
わざわざ裏道や路地まで探しに行けば、
もともと必ずあるものなのだから、必ず見つかる。
そして、そこに気をとられて心の重心が狂うこともある。
同感同感同意同意の渦に巻き込まれるのも危ういけど、
壁の黒いシミにばかり目が行ってしまうのも大変だ。
いまは、100人どころか100万人の考えが、
見に行こうと思えばいくらでも見られる時代だ。
それは、ほんとは人間にとって変なことなのかもしれない。
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