糸井重里
・海外からのお客さまをお招きするにあたって、
日本のどんなものを食べていただこうかと考えたとき、
「寿司、天ぷら」と提案するのがかつての常識だった。
お客さまのほうも、「スシ、テンプーラ、フジヤマ」と、
聞いたこともあるから「食ベタイデース」
ということになっていた。
初手から「納豆はいかがでしょう?」とはならない。
だが、次第に海外からのお客さまにも情報が行き渡って、
「ラーメン、おにぎり、やきとり、たまごサンド」とかも、
なかなかの人気になってきているようだ。
コロナ禍で開かれた東京オリンピックのときに、
日本のコンビニ食のよさが「発見」されてしまったらしい。
「海外からのお客さま」というよそ行きな呼び方も、
いつからか「インバウンド」とか弾んだ感じになったね。
映画界の大スターがラーメンを食べてました、
なんて情報が伝わってくるたびに、
「おお、やっぱりな」なんて、
つくってるわけでもないのに
じぶんが得意気になるのもおもしろい。
最近では、「とんかつ」の店も、
けっこうインバウンド客が入っているとかも聞く。
「とんかつ、やっぱりね」と、これにもうなずいている。
こんな状況になってくると、
これからはなにが人気になるのか想像したくもなる。
納豆ではないような気はするが、同じ大豆からできた
豆腐はすでによく知られているし、
「枝豆」はすでに一般名詞化しているらしいけど
…納豆はむつかしいだろうなぁ、とかね。
予想してもわからないから、じぶんの好みで考えよう。
個人的に推したいのは、「ソース味」の広大な宇宙だ。
「とんかつ」などの揚げものチームにも参加しているが、
まだまだ登場回数が足りてないのではないだろうか。
中華ではないほうの「ソース焼きそば」もいいし、
「粉もん」の魅力はなんといっても「ソース味」だと思う。
外国の知り合いと食事するときには、なにげなく
「ソース味」のものの方に誘導していってほしい。
それで、どんないい結果になるかなんて考えなくていい。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ワイン以上に、ソースの味や香りは多種多様にあるんだよ。
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