糸井重里
・岡本太郎は、「芸術とはなにか?」という問いに、
「なんだこれは?!」である、と答えた。
ぼくは、この答えがとても好きで、
ずっと頭の隅にその考えを置いている。
「なんだこれは?!」は、たくさんある。
生まれて間もない赤ん坊にとっては、
目にするもの耳にするもの触れるもの、
すべてが「なんだこれは?!」であろう。
じぶんのイメージするものの外側にあって、
まだ名付けられてないものは、
「すべてなんだこれは?!」だというわけだ。
つまりは、人が「なんだこれは?!」と感じたとき、
その人の世界は、その「なんだこれは?!」分だけ、
拡張されたということになるのである。
それが「芸術とはなにか?」の答えであると、
岡本太郎は発明しちゃったんだよなぁ。
「なんだこれは?!」が芸術なんだということになると、
「あれは芸術か、これは芸術なのか」などと
疑問に思われていることは、ほとんど芸術になってしまう。
そんなことでいいのか、と言う人は当然現れるだろう。
特に芸術に「尊敬されるべき価値」そして
「商品価値」が関わっていると考える人にとっては、
なんでも芸術と認められたら困ってしまうだろう。
でも、岡本太郎に代わって(御免!)ぼくが言うけれど、
「芸術であって、尊敬されるべきでないもの」だとか、
「芸術ではあるが、商品価値のないもの」だとかが、
存在すると考えたら、もうそれでいいのではないだろうか。
大昔から、AI以後のいまの時代にいたるまで、
必死で人間が創り出したポピュラー・ミュージックだとか、
商品パッケージだとかも、みんな芸術(アート)である。
荘厳な寺院建築だとか、王様の肖像画などと同じように、
ロックの名曲も、体操の演技も、漫才やコントの笑いも、
「なんだこれは?!」を生み出したものは、すべて芸術だ。
しかも、そのなかには、1000年残っていくものもある。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
シロウトのカラオケだって、アートだよ。ほめられないけど。
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