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ほぼ日手帳

糸井重里

・伝説によれば、サンドイッチという食べものは、
 サンドイッチ伯爵という人が、
 カードゲームをしながら食事をするのに、
 パンになんだかを挟んで片手で食べられるようにした、
 ということになっていますが、たぶんウソだろうなぁ。
 調べてませんが、こういうのはだいたいつくり話ですよね。
 伯爵だの公爵だのを登場させなくたって、
 どうせ、もっとずっと昔から挟んでたと思いますよー。
 でも、サンドイッチが人名から来たものでないとすると、
 なんでそういう名前になったんだ、ということになります。
 それは、知らないです、ぼくは知らない。
 ぼくはなんにもしてません、自然にそうなってたんです。
 ほとんどの名詞の語源は、たぶんわかっちゃいないです。

 でも、世界中のサンドイッチを知っている人は、
 ほとんどみんな「サンドイッチ公爵」の話を知ってて、
 それが由来なんだよなぁと思ってますよね。
 アルキメデスの原理にしても、お風呂に入ってるときに
 「わかった!」と叫んで裸で飛び出したと言われてますが、
 おそらく、そんなこたぁなかったと思いますよ。
 かと言って、本人が否定してくれたわけでもないから、
 そのまま、世界中の人がアルキメデスを裸にしちゃった。
 「ニュートンのりんご」も、ねー。
 たしか、そういう伝説の川には支流も豊かに流れて、
 落ちたりんごの品種まで語られてるらしいです。
 いまさらニュートンに「ほんとですか」と訊けないしね。
 だけど、世界中の人が「ニュートンといえばりんご」です。
 「コロンブスの卵」っていうのもあったし、
 日本にも、「毛利元就三本の矢」だとか、
 「木下藤吉郎の草履」もありますよね
 (これは、『豊臣兄弟!』で最高のネタになった)。

 以上、いろいろ思いつくままにあげてきましたが、
 どの話も、ホントかウソかは問題じゃなくて、
 「そういうことになってる」という伝説です。
 後々まで伝え続けられる「名作」なんでしょうね。 
 で、ぼくは気づくのですが、どの伝説も
 「一枚のポスター」として完成されてるんですよね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
伝説は「ストーリー」だけど、一枚のポスターでもあるのだ。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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