ほぼ日 |
ミッキーとミニー、ふたりは年を追うごとに
どんどん変わってきていますよね?
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神田 |
そうですね。彼らのスタイルというものは、
1928年に誕生してから現在に至るまで
数限りなく存在するんです。
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ほぼ日 |
はい。
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神田 |
いちばん左が誕生したころのミッキーです。
最初のころからよく動いていましたが、
身体が棒っぽいせいか、動きをつけると
どうしても堅い動きになっていたんです。
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ほぼ日 |
ほぉ。
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神田 |
しばらくしてディズニー社内で
キャラクターを躍動的に描く手法が生まれました。
体積が一定の中で、
身体を伸ばしたり縮ませたりすると
すごくスピーディーで
おもしろい動きが表現できる、というものです。
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ほぼ日 |
体積が一定で???
伸ばしたり縮ませたり???
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神田 |
たとえば‥‥解りやすい例えで言うと、
走りながらカーブを曲がろうとしたときに、
身体がギューンと伸びて戻る、みたいなシーンを
ご覧になったことありませんか?
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ほぼ日 |
あぁ、ありますあります!
ギューンと伸びたあと、
パチンと戻るの見たことあります!
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神田 |
あれです。
あれがその手法です。 |
ほぼ日 |
ははぁ、なるほど。
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神田 |
その手法が発見、使用され始めたのが左から2番目、
ちょうど今回のカバーに使われた
ミッキーのころです。
で、その隣りが1940年代、
『ファンタジア(※1)』のころのミッキー。
※1ファンタジア
1940年公開のミッキーの長編映画。
セリフがなく、クラシック音楽に合わせて物語が進んでいく。
ミッキーが扮するのは「魔法使いの弟子」。
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ほぼ日 |
帽子で『ファンタジア』だってわかりますね。
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神田 |
これまでのミッキーは黒目だけだったんですが、
この時代から白目がハッキリとついたんです。
これは、ウォルトの「より深く感情表現させる」
という意図が込められています。
笑った感じ、悲しい感じ、そういった表情を
作品内でしっかり見せたかったんですね。
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ほぼ日 |
『ファンタジア』、スゴイですもんね。
あれがいまから70年前の作品とは‥‥。
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神田 |
それ以外にも、
ミッキーの耳の内側を描く、という挑戦を
している時期なんかもあるんですよ。
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ほぼ日 |
耳の中をですか?!
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神田 |
耳の中がグレーで塗られているんです。
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ほぼ日 |
わ、ほんとだ!
あんまり見たことないかも。
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神田 |
『ファンタジア』のすぐ後、
1941年ごろのものです。
こんなふうにアニメーション技術の進化や
作り手のより良い作品への欲求などがあったりして、
ミッキーのデザインは変わっていきました。
その一方で流行を追いかけることもあったんです。
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ほぼ日 |
流行、ですか?
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神田 |
1950年代にイラストレーター、
メアリー・ブレア(※2)の作風が
流行った時期があるんですね。
※2 メアリー・ブレア
『不思議の国のアリス』や『シンデレラ』などを
手がけたイラストレーター。
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ほぼ日 |
はい。
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神田 |
その作風全盛のミッキーのスタイルは、
少し直線的で平べったい印象なんですよ。
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ほぼ日 |
へぇー!
ミッキーにも流行とかあるんですね。
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神田 |
ありますあります。
もっと言ってしまえば、
商品においては、ミッキーの顔が国ごとに違う、
なんていう時期もあるんです。
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ほぼ日 |
えぇっ?!
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神田 |
1929年のミッキーのイラストの話のときに
アイラインのところを眉毛だと思った、
とおっしゃってましたが、
日本のミッキーは1990年代後半くらいまで
眉毛のあるミッキーだったんです。
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ほぼ日 |
あ、ほんとだ。
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神田 |
日本人にとって、
このミッキーがすごくかわいく見えたんでしょうね。
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ほぼ日 |
たしかにすごく馴染み深い感じがします。
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神田 |
このようにそれぞれの国の
趣味や嗜好の違いによって
ミッキーの顔に少しずつ違いが生じていました。
でも、この事態を重くみたディズニー本社が、
「ミッキーマウスはこういうキャラクター」という
世界共通のレギュレーションを決め
1冊のバインダーにまとめたんです。
それが「standard character guide book」、
通称「バイブル」です。
(今日はここまで! 明日もお楽しみに!) |