ITOI 糸井重里のWEB革命

なんてったって、いまいちばん流行っているのは
「働くこと」なんだと思う。

去年のいまごろ、ぼくは何をしていたんだろうと考えてみたら、やっぱり釣りをしていたということがわかった。
いやぁ、ちっとも上手じゃないけれど、釣りはよくやったなぁと、じぶんでもあきれているであります。

釣りって遊びは、かなり、相当におもしろい。
いまでも、休みができたら絶対に釣りに行きたいと思っている。
いまは、梅雨の季節で、春の産卵(スポーニングと言います)を終えたバスが、産休の有給休暇をつかいはたした時期だ。

「体調はもどってるんだけど、もうすこし休んでいようかしらね」っていう、ダルなバスと、「ハラ減ったぞっぉお」とばかりに産後の肥立ちもよく活発に餌をとろうとするバスがいる。

梅雨時というのは、雨もあんまり冷たくないし、元気なバスをがんがん釣るには最高のチャンスなのだ。

でも、ぼくは釣りに行ってない。
働いている、というか、いつも引っ越したばかりの「鼠穴」の事務所にいて、若い連中とミーティングをしたり、こうやってキーボードを叩いていたりする、

去年、ぼくのなかで釣りが流行っていたように、今年のぼくのなかでは「働くこと」が流行っているのである。
これはいったい、どうしたわけか?
釣りなみか、釣り以上に、毎日いそがしくものを考えたり創ったりしていることが面白くてしかたないのだ。
そんな自分じゃなかったはずなのであります。

しかも、やってることが、デジタル系みたいじゃあーりませんか。
なんだなんだ、どうしたどうした?
この、自分自身もあきれるほどの「あたしの転向ったら」を、しばらく続けて書いてみようと思います。

1998-06-06-SAT

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