岩崎 |
だんだんお話をしてるうちに、
記憶が蘇ってきましたねぇ。
いろいろ解決しなければいけない問題が、
日々、つぎつぎと起きていましたし‥‥。
ふつうの仕事だと、
ある日にある問題が持ち上がったら、
その問題をパコンと解決していけば、
プロジェクト・マネジメントはできちゃうんです。
その時は、日に1個とか2個の問題を
解決していけばいいんですけど‥‥インパクは、
見たら、もう目の前に
ドワーッて、100個ぐらいの問題が、
もぐら叩きみたいに、
ピョコピョコ出てきてるんです。
1日では叩ききれないですよ‥‥。
次の日に残すと、また次の日には
別のもぐらたちが出ている。
ちょっと俯瞰すると、
山のようなもぐら叩きが繋がってる感じ。
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田中 |
問題が数珠繋ぎ状態で
いっぱいある感じなので、
ひとつの問題解決すると別の問題でてきてしまう。
これをどうするかって話を
また解決しないといけなかったんですよね。
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岩崎 |
すごかったよね。
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田中 |
しかも、もぐらたちがつるんでたりするから。
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岩崎 |
もぐら叩きの下でもぐらが手を組んでたりするから、
けっこう、おっかなかったりするんだよ。
田中君、稲崎さん、細金さんが、
もう、もぐら叩き尖兵のように(笑)。
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岩崎 |
厄除け、行ったもんなぁ‥‥。
ぼくは、こういうことを
仕事でしたことはなかったのに(笑)。

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ほぼ日 |
厄除け、すごいなぁ‥‥。
4月に総合プロデューサーに就任してから、
おもに、どういうこと考えてましたか?
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岩崎 |
まずは、スタッフの健康です。
120人のかたがたが動いていまして、
誰かが欠けたら大問題でしたからね。
人員は、増やせば問題ない部分もあるんですよ。
だけど、コストの問題で増やせない。
ですから、まず健康が大問題でした。
健康は作業のクオリティにも絡んできますから。
いかにクオリティを落とさずに
時間的な効率をあげられるのだろうか?
そういうことは、いつも考えていました。
人数を増やせない中でみんなでやっていたせいか、
徐々に、「あうん」の呼吸になってきたよね。
運営チームのトップの稲崎さんとは、
おたがいに、ケンカになりながら、
「やる」「やらない」の話しあいを何度もしました。
田中の場合には、彼は、もの静かですから、
ぼくとケンカをしたい思いをぐっと持ちながらも、
うまい案を示してくれましたね。
たとえば、編集長企画の
月別編集長の企画っていうのは、
国のサーバーではやってはダメというものが、
法律的に、多かったんですよ。
その時に逃げ道として
民間のパビリオンさんのコンテンツの一部に
タイアップした形で置いてもらう‥‥
そういう逃げ道も、田中の開発でした。
あのアイデアがなかったら、
編集長企画のほとんどが配信不能ですよね。
それを開発したことで、田中は、
仕事量としては、編集長の方と口をきいて
コンテンツをアップするだけではなくて、
タイアップ先の民間のパビリオンさんとの交渉も
やっていったわけですよ。
そのコミュニケーション能力と言いますか、
仕切りのすごさは、
田中じゃなかったらできなかったと思う。
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田中 |
やりとりは、メールも多かったですけど、
でもやっぱり実際に人に会って
それでいろいろお話して納得してもらったり、
とかいうことが多かったですね。
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岩崎 |
そうそう。
ぼくもインパクの1年間を経験して
電話が増えましたね。
「メールって伝わんねーや」
ってことが、多いんですよ‥‥。
だからメール打ってからも、
どのみち電話しなきゃいけないだろうってことが、
ものすごくわかるようになりました。
「ちゃんと会って話すか、
電話でコミュニケーションとればいいか、
メールでいいか」
とていう判断基準の精度が、
ものすごくあがったと思います。
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田中 |
それは言えますね。
メールって前菜とデザートって感じがします。
会う前に一応あらましの話を入れておいて、
相手の方にもその心の状態を
セットアップしてもらって、
電話っていうのは2番目のお皿。
メインは会ってお話することでしょう。
その後デザートの
「ありがとうございました」メールが‥‥。
そういう意味でメールは非常に便利なんだけど、
会ったり電話したりする方が、
うまく話が通じたりするんですね。
スタッフ内でも喧嘩って
よく起きてたじゃないですか?
あれって何かって言うと、
すべてをメールで済まそうとするからで、
そこでいざこざが起きたりして‥‥。
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岩崎 |
ぼくが4月に入ってすぐの時は、
スタッフ会社どうしがものすごい疑心暗鬼で
どうしようかと思いましたね。
その辺の融和と、みなさんの健康状態を
考えるところから最初スタートしたんですよ。
それでまあ疑心暗鬼の状態を解きほぐし、解きほぐし。
ぼく自身も初動の段階では、スタッフ会社さんと
本当にたくさん、電話で話してましたね。
そのうちに「あ・うん」の呼吸でできるようになると
こちらは先だけ読んで
そのための設計図を作っていくっていう業務に
終始できるように徐々に徐々になっていました。
スタッフ会社どうしの疑心暗鬼が
わりとすっきり取れて
みんなでベクトルが一つになれたのって、
実はけっこう遅かったよね?
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田中 |
遅かったですよね。
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岩崎 |
秋ぐらい。
もう残り3か月とか半年あったら
インパクはもっとものすごい勢いだったかな、
という気がしますし、また反面、ある意味では、
12月31日で上り坂で終われて
よかったという気もしますし、両面ありますね。
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田中 |
最後の方とかは、お国の推進室の人たちとも、
ある仲間意識が出てきましたからね‥‥。
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岩崎 |
出てきたね。
だんだん一丸となってく感じが
最後はすごく味わえましたね。
あぁ、懐かしいなぁ。
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田中 |
懐かしいですね。
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ほぼ日 |
個人的な仕事のスキルとして、
「こういう意味で、自分にとって、
インパクの仕事は大きかった」
という要素は、どういうものですか?
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田中 |
得た能力で言うと、
アイディアを現実化していく基礎体力というか
そのトレーニングみたいな感じになっていました。
それはもう、負荷がいっぱいかかってたので。
負荷がかかったぶんだけ
やっぱり筋肉量が増えたみたいな効果は
絶対あるんじゃないかなぁ。
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岩崎 |
変な言い方ですけど、
ぼくも、インパクの後の仕事って、
全体像を想定できるようになったんですよ。
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田中 |
本当そうですよね。
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岩崎 |
ぼくはいま、
イントラクティブ・コミュニケーション局の
業務推進部でのマネジメントをやっています。
部下はみんな一応、
プロデューサーとして動いていますが、
「あるクライアントの仕事で、
けっこう火が噴きそうです」
みたいな相談があった時でも、
よくよく聞いてみると、
「そんなもん、噴かねえよ!」
と言えるぐらい、相当筋力がアップしました。
ちょっとやそっとのパンチじゃへこたれない、
みたいなところは、たしかにすごく鍛えられた。
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田中 |
「仕事見通し力」というか、
遠くを見る能力も、
身近な人の気持ちを見る能力も、
両方が鍛えられたと思いますね。
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岩崎 |
うん。
自然に鍛えられちゃうんですよね。
しめきりは迫っているから
ゆっくりミーティングしてる時間もないし、
ある種、相手の顔を見て様子を把握して、
「あ、今はこれだけは言おう」みたいな。
話し方とかも、鍛えられたわけですよ‥‥。
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