速度を落とします。(4月21日)

・むろん、片づいていない問題はいくらでもありますし、
 いまでも一刻を争うようなことも、
 あるにちがいないことはわかるのですが、
 ぼくは、この時期に、
 「とにかく急いで」という速度重視の動き方と、
 いったん距離をおくことにしました。
 
 急いで逃げる、急いで手を伸ばす、急いで届ける、
 急いで知らせる、急いで直す、急いで‥‥急いで。
 それは、もちろん必要なことでした。
 しかも、どこでどのくらい急ぐべきかが、
 電波の速さで、日本や世界を伝わっていきました。
 ほんとうに、そのおかげで助かったことが、
 しつこいようですが、いっぱいあると思います。

 そこを理解したうえで、ぼくらは速度を落とします。
 あっちだ、こっちだ、ここだ、どこだ、というふうな
 声のする方向に向って息を切らせて走り回るのでなく、
 じぶんたちの、いちばん力を出せる速度で、
 生活したり、つくったり、考えたりしていきます。
 
 「おちついて行動しましょう」と、
 じぶんでも言っていたはずなのですが、
 どこからか、助けを呼ぶ声の波紋に、
 きょろきょろしては、
 できることの少なさを知ってまたあわてる、
 というような循環に入りつつあったように思います。 
 
 この時期、これまでに多くの救援活動をされてきた
 ボランティアの方々と連絡を取り合うことがあります。
 そして、経験者たちの仕事の考え方や
 仕事の手順などを、知るようになったのですが、
 やはり、ものづくりと同じように、
 手順と整理をしながら、落ち着いて目を配っています。
 
 陶器をつくるにしても、土がかたちになっても、
 それを乾かさなければ窯に入れて焼けません。
 その乾かす時間のようなものについては、
 ネットの世界にわるく慣れてしまうと、
 「なんだそのむだ時間?」と思ってしまいます。
 そうじゃないんですよね。 
 ぼくらは、いままで持っていた時間を、
 こころに取り戻しながら、仕事していきます。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
例のショップ、クレモンティーヌさんライブ‥‥どっちも!

「今日のダーリン」より