「別の概念」(5月19日)

・ブータンは、島根県くらいの人口だそうです。
 そして、九州くらいの広さの国土で、
 70%以上が森林だといいます。
 あらゆる場所が、坂だらけで、
 運んだり歩いたりするだけで負荷がかかります。
 
 これが、これから「じぶんの国」として
 どうやっていくかという問題だったら、
 悩んじゃうだろうなぁと思うのです。
 「えっ、そんな条件で、幸せになっていくって?」
 難問に見えるだろうなぁ。
 だけど、それは、
 仮に立てられた問題だから、なのかもしれません。

 現実にブータンに生まれ、ブータンに生きていて、
 ブータンをどうするか考えている人たちは、
 「条件きついなぁ」なんて思ったとしても、
 そこから現実的なことを考えていくわけです。

 「国民総幸福量(GNH)」を軸にして、
 国の進み方を考えて行く、ということも、
 現実の厳しい条件があったせいで、
 生まれ出た考え方だったのだと思います。
 昨日、ブータン首相とお会いする機会があって、
 とてもリアルな「国民総幸福量(GNH)」についての
 考え方を聞くことができました。
 話を聞いていて、ぼくは、
 「つまり、GNHの考えからつくる道路がある、
  という言い方もできるんですね」と言いました。
 そうです、と、首相は言いました。
 経済的な発展を目的にした道路も、
 国民の幸福を目的にした道路も、同じように道路です。
 でも、たぶん、どこかにちがいはあるのです。
 そこのところが、おもしろいなぁと思います。

・ブータンにいて、日本のこれからのことなども、
 ぼんやりと考えたりもします。
 特に大震災のあとの復興、いや再構築って、
 東北を先頭にした経済的な繁栄以外の
 「別の概念」で進んでいくことも、あるんじゃないか?
 「国民総幸福量(GNH)」のような‥‥ねぇ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
東京、ブータン、ギアナ、いろんな場所からお届けです。

「今日のダーリン」より