「共に歩んで行こう」(5月23日)

・「損と得があるとしたら、
 人は必ず得を取ろうとする」ということになっている。
 たしかに、そういうケースが多いのはわかる。
 
 しかし、そればかりではないということも、
 「不思議なこと」だと思わずに、
 おおいにあり得ることとして知っておきたいものだ。
 人の心というものは、
 それほどわかりやすい損得で動くものではない。
 
・ぼくが帰ってきたばかりのブータン。
 この国に旅行する費用は、この先も下がらないという。
 「安いから行こう」の人たちが急増しても、
 ブータンのためにならないということで、
 政府が公定料金(200ドル/日)を決めているからだ。
 むろん、観光のための施設やらインフラなどは、
 他の観光国に比べて、ちっとも優れていない‥‥よ。
 しかし、ブータンに行きたい人は、
 損だからいやだ、というふうにはならないだろう。
 
 たいていの安楽は、ほとんど完備されてない。
 それでも、「来てよかった」というものがあればいい。
 もっとお得な旅ができる国と、競争してはいないのだ。
 ブータンより楽しくて、ブータンより安あがりな観光は、
 いくらでもあるだろうけれど、
 残念ながら、そこはブータンじゃない。
 
・ぼくがブータンにいる間も、ずっとネットで見ていた
 「被災地応援ファンド」にしても、
 利回りも未定、払込の金額の半分は寄付という条件では、
 投資としての損得を考えたら、
 非常識だと思われていたかもしれない。
 申し込みのときの契約事項など読んでいたら、
 リスクのことばかり強調されて、やめたくなりそうだ。
 でも、ただの寄付でもなく、儲けのための投資でもなく、
 「共に歩んで行こう」という気持ちで参加するためには、
 この「へんなファンド」が、いいというわけだ。
 
 どちらも、変わり者の選択だと思う人もいるだろう。
 でもね、こういう変わり者って、バカにできない数だけ、
 世の中に増えてきているんだよね。

今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。
ブータン帰りですが、休み休みにがんばってみるです。

「今日のダーリン」より