なんでもしてやろうというじぶん(6月22日)

・いつごろからか、さまざまな商品やサービスは、
 「あなたは、誰の助けもいらない」
 「あなたは、どこへも行かなくていい」
 「あなたは、なにもしなくていい」
 という方向に「進化」してきたように思うのです。

 なんでもじぶんと、「その商品(サービス)」があれば、
 解決できちゃうんです。
 すべては、あなたの部屋から一歩も出ないですみます。
 考えたり感じたりすることさえめんどくさいですよね。
 適当にリストのなかから選ぶだけで、
 それもしなくていいんですよ。
 ‥‥そういうメッセージが、あふれていました。
 ほとんどずべてのことは、
 誰か、それを仕事にしている人か、機械がやってくれる。
 
 冗談みたいですけれど、
 「あなたは、ごはんも食べなくていい」
 「トイレにも行かなくていい」
 「めんどうな恋をしたりも、しなくていい」
 なんて囁かれたら、「お、いいね」と
 反射的に思ってしまう人だって、いるかもしれません。
 ‥‥いないか。
 
 なんか、商品やサービスの
 「便利」やら「機能」の進化ってやつは、
 いつのまにやら、「じぶん」というものを、
 「なにもしなくていい」甘やかされた人間から、
 「なにもできない」人間へと、
 「進化」させてくれたような気がします。
 
 ‥‥というようなことについては、
 ぼくはけっこう前から言ってたのですが、
 これと、「震災後の生き方」っていう問題が、
 なんかからんでくるように思うんです。
 「じぶんのからだを使う」「じぶんの頭で考える」
 「じぶんの足で動く」というふうな、
 「なにもしないでいいじぶん」から、
 「なんでもしてやろうというじぶん」への転換が、
 自然にはじまっているんじゃないかと思うのです。

今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。
ひさびさに、また言おっ。じぶんのリーダーはじぶんです。

「今日のダーリン」より