『安心社会から信頼社会へ』(8月24日)

・大震災があったのちに、山岸俊男さんの
 『安心社会から信頼社会へ』という本が、
 あらためて重要になっているのではないだろうか。
 
 やがて、震災から、半年になります。
 それまで以上に「安心」ということばを
 よく目にするようになったのですが、
 それはまるで、語られれば語られるほど、
 追いきれない夢を追うようなものに見えます。
 ほんとうに完全な「安心」とは、
 主観のなかにしかあり得ないものですから。

 逆に「信頼」は、もうすでに、
 「あり得ない」もののように語られてりしている。
 限りなく「信頼」がなくなったら、
 呼吸することさえも、困難になります。
 
 そんないま、もういちど、
 この本に戻ってみたくなりました。
 「ほぼ日」をはじめたころに、よく引用したのが、
 「正直は、最大の戦略である。」ということばでした。
 どれほど険しい崖を上るにしても、
 「信頼」の手がかりになる突起は、
 「正直」という材料でできています。
 新しい時代をどう生きるか、というような本が、
 次々に発売されましたけれど、
 昔に書かれた『安心社会から信頼社会へ』のほうが、
 なんか、いま読むべきもののように感じています。

・ほんとうに気まぐれに、実に少なくしか
 返信を出してはいないのですが、
 「ほぼ日」にメールをくださる方々、
 ほんとうにありがとうございます。
 用事があるとか質問があるとかじゃなくて、
 近所のひとに話しかけるように書いてあるメールから、
 ぼくらのいる場所に、すうっと風が入ってきます。
 ちりんりりんと風鈴が鳴るように、
 ぼくらの耳に、あなたの近くの音が聞えてくる感じです。
 ここで、あらためてお礼を言いたくなりました。
 メール、ありがとうございます。

今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。
クロネコヤマトの話、知ってるのに、また感心しています。

「今日のダーリン」より