── |
森下さん、
なにか1本、お願いします。
|
森下 |
ええと、じつは録画したまま
まだ観ていないんですけれども、
『名前をなくした女神』って
気になっていて。
|
あやや |
あ、フジの火曜9時ですね。 |
名前をなくした女神 |
フジテレビ系 |
毎週火曜日午後9時
|
|
森下 |
っていうのは、
私も、こういうテーマを
おもしろいなと思っていて。
原作ものでも、オリジナルでも、
なにかできないかなと考えてたんですよ。
これ、1回目、観ました?
|
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あやや |
初回は観ました。けっこうよかったです。
|
森下 |
あ、そうですか。
|
あやや |
はい。なんていうか、観る前は、
いわゆる「ママ友」の世界って、
ちょっと特殊な、自分とは遠いものなのかな
と思ってたんですけど、
ぜんぜんそうじゃなくて。
とくに女性は、こういう世界って、
高校生のときに経験してる子もいるし、
大学生のときに経験してる子もいるし、
社会人で経験してる子もいるし。
|
森下 |
ああ、なるほどね。
|
あやや |
まぁ、乱暴にいってしまえば、
要するに女の人たちの見栄のはりあい
みたいなことですからね。
で、それぞれ、ほんとは
内面に抱えてるものがあって‥‥っていう。
|
森下 |
つまりその、リアルな世界。
|
あやや |
リアルですね。
|
荒井 |
顔ぶれとしては、
木村佳乃さんがママ役というのが
ちょっと新鮮ですね。
|
森下 |
セレブママ担当?
|
あやや |
セレブママ担当‥‥
というか、怪演担当。
|
荒井 |
へぇー。
|
森下 |
怪演(笑)。
|
あやや |
木村佳乃さんの新たな持ち味だと思います。
やっぱり、結婚して、
なにかひとつ、突き抜けたなと。
|
|
森下 |
軸が決まったのかもしれないですね。
いままでポジショニングが
ぼんやりしてましたから。
主役をやったり、脇にまわったり。
こう、どっちにも行ききらないというか。
|
あやや |
ああ、たしかに、たしかに。
だから、この「怪演」を突破口にして。
|
── |
すいません、質問ですけれども、
その「怪演」というのは、
どういうことを指すんですか。
|
あやや |
ええと、例えば、男でいうと
昔の佐野史郎さんみたいな。
|
荒井 |
冬彦さんですね。
|
森下 |
この人が出るとサスペンスフルな音楽が流れる、
みたいな役どころですよ。
|
── |
ああ、なるほど。
|
荒井 |
木村佳乃さん、そんな役なんですか?
|
あやや |
そうです。けっこう不気味です。
|
荒井 |
へぇー。
それはちょっと観てみたいな。
これ、重かったりするんですか。
要するに、ママ友のあいだで
いじめみたいなことがあったり?
|
あやや |
あ、ありますよ。
なんといっても、ドラマのコピーが
「ようこそ、ママ友地獄へ。」ですから。
|
|
荒井 |
うわぁ。
|
── |
うわぁ。
|
森下 |
うーん、やっぱり観たいな。
|
あやや |
わたしもこれ、観ちゃうと思います。
|
荒井 |
これ、女性の受けはいいかもしれませんけど、
男の視聴者は、あんまり観ないかも‥‥。
|
森下 |
あー、たしかに。
それは、しょうがないかも。
|
あやや |
女の人って、この手の世界を、人生の中で、
一度は経験してる人が多いですからね。
|
荒井 |
「ああ、わかる」って感じなんですかね。
|
あやや |
あ、でもね、
「どろどろだろうな」「エグいだろうな」
って思って観ると、意外にそうでもないですよ。
実際、私もそういう暗めのドラマは
そんなに好みではないので、初回は、
ある種、義務のようにして観たんですけど、
すごくおもしろかったですから。
|
荒井 |
あ、そうですか。
|
あやや |
だいたい、主役が杏ちゃんだから、
いじめられないんですよ。
いじめられても、悲壮感がないというか、
強いんですよ、なんか。
だから、エグくなりきらない。
|
|
森下 |
なるほどね。
そういうセーフティネットな感じは
大事かもしれない。
|
あやや |
あと、男の人のことでいうと、
つるの剛士さんがすごくいいですよ。
子煩悩なダンナの役なんですけど、
ご本人が役にフィットしてて
とってもいいです。
|
森下 |
あと、気になるドラマを
もう1本挙げていいですか。
|
あやや |
もちろんです。
|
森下 |
『リバウンド』。 |
|
あやや |
ああ、ダイエットの話。
|
森下 |
そう、なんていうか、設定が
いい意味でくだらないんですけど。
|
あやや |
主人公の相武紗季ちゃんが
大失恋をきっかけに37キロ痩せた
っていう設定なんですよね。
ところがケーキ屋さんに行って
速水もこみちさんが演じる
イケメンのパティシエに恋をする。
だから、彼に会うには、
ケーキを食べなきゃいけない。
|
荒井 |
それで、リバウンド。
|
あやや |
リバウンド。
うーーん、なんて、ツラい響き。
|
── |
あやちゃんもわりと自在だよね。
|
あやや |
自在、自在。ってコラーーー!
|
|
森下 |
恋する相手に会うと体重が増える。
そういうわかりやすくもばかばかしい葛藤が、
たいへんおもしろそうだなと。
|
あやや |
そうですね。
|
森下 |
あの、ダイエット番組ってあるじゃないですか。
けっこうあれ、泣けたりするんですよね。
|
あやや |
あー、わかるわかる。
|
── |
共感できる、と。
|
あやや |
そうなんです、もう、泣けて、泣けて。
ってコラーーー!
|
|
荒井 |
相武紗季さんともこみちさんって
しょっちゅう共演してますよね。
|
森下 |
あ、そうですね。
|
荒井 |
『絶対彼氏』もこのふたりだったし‥‥。
|
森下 |
もうひとつ‥‥テレ朝の‥‥
ああ‥‥なんだっけ!
|
あやや |
あれだ、『レガッタ』。
|
森下 |
あーー、『レガッタ』!
(ゴチン!)
|
|
── |
うわ!
|
あやや |
だ、大丈夫ですか。
机に、おでこを、もろに。
|
荒井 |
すごい音がしましたよ。
大丈夫ですか。
|
森下 |
大丈夫です(笑)。
|
── |
森下さんはリアクションが
「机に突っ伏し」系なので、
いつかやるんじゃないか、
とは思っていましたが‥‥。
|
森下 |
イタタタタ、だ、大丈夫です‥‥。
|
荒井 |
ええと、なんの話でしたっけ。
|
あやや |
相武紗季ちゃんともこみちさんの
組み合わせが多いと。
|
荒井 |
ああ、そうそう。
わかりやすいコミカルなドラマに
なりそうな感じですね。
|
森下 |
うん。けっこう期待してます。
|
あやや |
勝地涼くんも持ち味を発揮しそう。
あとは、栗山千明さんもいます。
単なるコメディー、と思わせておいて
キャスティングはかなり
いいところを押さえてます。
あ、若村麻由美さんも出るじゃないですか。
若村麻由美さん、いいですよ。
田村正和さん主演の『告発〜国選弁護人』、
観てました?
|
荒井 |
はいはいはい。
|
森下 |
あのときの、若村さん、
めちゃくちゃよかったんですよね。
|
あやや |
よかった!
|
|
森下 |
若村麻由美さんはほんとに上手ですよね。
『リバウンド』、期待しちゃいますね。
おもしろいといいなー。
|
荒井 |
ドラマ自体は軽そうですね。
|
あやや |
でも、脚本は遊川和彦さんですよ。
なにか、一本、ピシッとした
筋が通りますよ、きっと。
|
森下 |
ああ、そうですね。
遊川さんは、たぶん、
「これが言いたいがために」っていう
なんらかの主張があって
ドラマを書く方だと思うんですよ。
|
あやや |
菅野美穂さんの、
こないだのドラマもそうでしたよね。
|
森下 |
『曲げられない女』。
|
あやや |
そうそう。
だからやっぱり、
遊川さんが書くということは、
コミカルななかにも
なにか、ちゃんと筋が。
|
森下 |
と思いますけどね。
あと、まったく関係ないですけど、
うちの甥っ子が、すごく
相武紗季ちゃんに似てるんです。
|
── |
‥‥‥‥そうですか。
|
あやや |
しかし、相武紗季ちゃんも
働き者ですよね。
|
森下 |
いまは、だんだん
似てなくなってきたんですよ。
相武紗季ちゃんに。甥っ子が。
|
|
── |
‥‥そうですか。大丈夫ですか。
さっきのおでこゴチンの影響ですか。
|
森下 |
いくぶん腫れもひいてきました。
ハイ、相武紗季ちゃん、働き者ですね。
|
あやや |
しかし、あれですね、この人も、
戸田恵梨香さんと同じで、
主役をやると大当たりがないというか‥‥。
で、脇をやってすごくよくて、
主役にまた戻ってくるという、
ドラマ界の働き者サイクルで。
|
荒井 |
もうそろそろ、大当たりが
出てもいいような気がしますよね。
|
あやや |
『絶対彼氏』とかはよかったですけど、
大当たりではないんですよね。
|
荒井 |
10パーセント代の前半とかですね。
|
森下 |
ハイ! あと、もこみちくんは料理が上手い!
|
あやや |
‥‥‥‥ええ。
|
|
荒井 |
‥‥そ、そうなんですね。
|
── |
大丈夫ですか、森下さん。
おでこゴチンですか。
|
森下 |
だいじょぶです。
いくぶんハレもひいてきました。
|
── |
ええと、ぼちぼちエンディングに
向かっていこうと思いますが、
ほかにありますか?
|
荒井 |
『遺留捜査』、『ハンチョウ4』あたりは、
このコンテンツで言うところの定食ですね。
|
森下 |
はい、定食ですね。手堅いです。
|
|
|
あやや |
とくに『ハンチョウ』はおもしろいですよ。
あ、もう、「シリーズ4」なんだ。
そりゃ、おもしろいですよね。
|
荒井 |
『遺留捜査』もきっとおもしろいですよ。
|
森下 |
そうですね。まちがいない。
|
あやや |
ここまで鉄板で定食だと、
語られないんですよね、この場では。
|
荒井 |
そうですね(笑)。
おもしろい、以上、みたいな。
|
あやや |
ですからこのあたりは
リスペクトをこめて、
語らずパスさせていただいて‥‥。
|
|
森下 |
そうですね(笑)。
|
あやや |
最後に、これ、行っておきましょうか。
『グッドライフ』。反町隆史さん。
ええと、白血病と闘う息子を献身的に看病する
親子の哀しい運命を描くヒューマンドラマ。
韓国のベストセラーが原作。 |
|
森下 |
まぁ、なんていうか、
絶対泣ける話なんだろうなぁ
って思うんですけどね‥‥。
|
あやや |
そうですね。
|
荒井 |
正直、わりとダメなんですよね。
このタイプ、やや苦手なんです。
その、バッドエンドが
最初に明かされちゃってるのと同じでしょう?
それを観ていくのは、ちょっとつらいですね。
|
あやや |
ほんとに亡くなる話なんですか、これ。
|
森下 |
「死にゆく息子に父親ができること」って
資料には書いてありますけど‥‥。
|
荒井 |
サブタイトルが
「〜ありがとう、パパ。さよなら〜」
ですからね。
そうなるのがわかってるお話を
ずっと追っていっしょに哀しくなりたくない
っていうのが個人的な気持ちですね。
|
── |
まぁ、ドラマのよしあしとは別のところで。
|
|
荒井 |
そうですね。完全に別です。
こういうお話を求めてるお客さんも
ちゃんといると思いますし。
|
あやや |
あの、『1リットルの涙』とかは、
みんな、バッドエンディングが
わかってたけど、でも観たわけですよね。
|
森下 |
ああ、うーん。
|
あやや |
で、こっちを観る気がしないっていう
荒井先生の気持ちも私はわかるんです。
それ、なんなんでしょうね。
|
── |
‥‥「子ども」だから?
|
荒井 |
それは、あるかもしれないですね。
ふつうは、未来が
いっぱいあるはずなのに‥‥。
うーん、すいません。
|
あやや |
いえいえ。
ええと、見方をがらりと変えて、
主演の反町隆史さん。
最近、この手のドラマから
車のCMにいたるまで、
「いいお父さんやってます」みたいな役が
ぜんぶ、反町さんに集中しちゃってますね。
|
|
荒井 |
ああ(笑)。
|
森下 |
そうですね。
|
あやや |
要するに、20代のころ、けっこう
かっこよくて、やんちゃだったけど、
結婚して、子どもができて、
いまは家族を大切にしてます、
みたいなポジションにはまるのが、
いま、反町さんしかいないんですよね。
|
── |
(ひそひそ声で)
あやちゃん、あやちゃん、
また怒られるようなこと訊くけどさ、
反町さんは、実生活でもパパなんだっけ?
|
あやや |
ひーーー、そんなこと訊きますか!
ふたりの女の子のパパです。
奥さんは誰だが知ってるでしょうね?
松嶋菜々子さんですよ?
|
|
── |
‥‥知ってるよ。
|
あやや |
ほんとですか?
|
── |
‥‥糸井重里いわく、
「オレが『知ってるよ』って言うときは、
たいてい知らないときである」。
糸井重里は、いいこと言うなぁ‥‥。
|
あやや |
なにブツブツ言ってるんですか。
ええと、ともかく、私としては、
いまの日本の芸能界において、
この、「反町さん的パパ」のポジションが
かなり手薄になっているということを
ぜひとも、指摘したい。
|
森下 |
年齢とともに、ふつうに環境を変えて、
成熟していく男性像を。
|
あやや |
そうです、そうです、そのとおり!
|
|
── |
あやちゃん、デカい、声が。
|
森下 |
まぁ、そんな感じで‥‥。
|
荒井 |
だいたい拾いましたかね。
まぁ、例によって駆け足でしたけど。
|
── |
駆け足といいつつ、
たっぷり3時間経ってます。
|
あやや |
でも、駆け足なのはほんとですよ!
ほんとはもっともっと時間をかけて
ゆったり、ねっとり、語りたいのに!
|
── |
ともかくまとめましょう。
さぁ、みなさん、おすすめのドラマを
いつものように3本選んでください!
|
あやや |
『JINー仁ー』は殿堂ですね?
|
── |
『JINー仁ー』は殿堂です。
それ以外でお願いします。
|
あやや |
わかりました。
でも、ほんとは『JINー仁ー』なんですよ。
ほんとは『JINー仁ー』なんですけどね。
|
森下 |
ありがと、ありがと(笑)。
|
あやや |
どうしようかな‥‥3本‥‥。
朝ドラも入れたいけど‥‥よし!
『BOSS』、『ハガネの女。』、
『生まれる。』、これで!
|
|
荒井 |
うーん‥‥そうかぁ‥‥。
よくそんな簡単に決まりますねぇ。
うーん‥‥ちょっと待ってくださいね‥‥。
|
あやや |
じゃ、荒井先生が選んでるあいだに
ひとこと、言ってもいいですか?
|
── |
どうせ言うんだから、言いなさい。
|
あやや |
『ハガネの女』に斎藤工くんっていう
俳優さんが出てるんですよ。
‥‥この人は、なかなかいいです!
|
|
森下 |
イケメンチェックだ(笑)。
|
あやや |
ハズレるかもしれないですけど、
いまのところ、いい予感がします。
こんなキレイなルックスで
モデルとかやってたんですけど、
なかなか深みがあります。
|
森下 |
へぇー。
|
あやや |
若いときの時任三郎さんを
かっこよくしたような感じです。
この人は、いま、
どの役をやらせてもいいです。
|
荒井 |
うーん‥‥まず『BOSS』ですね。
木曜10時。
|
── |
なるほど。
|
あやや |
あっ! 永田さん!
もうひとつ、言いたいことがあった。
言ってもいいですか。ダメですか。
ダメですよね。すいません。
でも、言っていいですか。
|
── |
あやちゃん、
この場が終わりかけてるから
謎のラストスパートかけてるね。
|
あやや |
そうなんです!
わたしの至福が終わってしまう!
その前に言いたかったのは、
「フジの木10は、えらい!」
っていうことなんです。
|
|
── |
ふじのもくじゅう。
フジテレビの木曜日10時からの
ドラマ枠のこと。
|
あやや |
そう! フジの木10は、
ほんとうに質の高いドラマを
コンスタントにつくってるんです。
たとえば、前回の『外交官 黒田康作』、
あと『不毛地帯』も好きだったし、
それから『GOLD』も私は好きで。
正直、視聴率的には苦戦してるんですけど、
どれも、すごくいいんですよ。
|
森下 |
うん。本格派が多い。
|
あやや |
そうなんです!
ですから、ドラマファンとして、
「フジの木10」という枠で
ドラマをつくっている人たちに、
「がんばってください!」と
この場を借りて、
お伝えさせていただきます!
がんばってください!
いつも観てます!
|
── |
荒井先生、ぼちぼちどうでしょう。
|
荒井 |
2本目は、『遺留捜査』にします。
|
あやや |
おー。
|
森下 |
定食、行きましたか。
|
── |
荒井先生はいつも
独自の1本を入れますね。
|
荒井 |
で、3本目が『鈴木先生』。
|
あやや |
あっ! 忘れてた!
『鈴木先生』、『鈴木先生』!
永田さん、わたし、今回4本にします!
|
── |
‥‥傍若無人。
|
森下 |
じゃ、私ですね。
でも、3人とも似ちゃいますね。
私は『BOSS』と『生まれる。』と
『鈴木先生』の3本にします。
|
あやや |
あっ、すごい、3人ともほとんど同じ。
|
── |
『BOSS』と『鈴木先生』を
3人とも選んでらっしゃいますね。
|
あやや |
ってことは、
『鈴木先生』じゃないですか?
|
荒井 |
そうですね、
『BOSS』はシリーズ2作目ですから、
やっぱり、新規のドラマに。
|
森下 |
そうですね。
|
あやや |
賛成。 |
── |
じゃあ、『鈴木先生』。
ああ、久々にすっきり決まりました。
「春の連ドラチェック2011」、
我々がおすすめするのは、
『鈴木先生』です!
テレビ東京、毎週月曜日午後10時!
|
|
森下 |
ありがとうございましたー。
|
荒井 |
ありがとうございました。
|
あやや |
いやーーー、また、終わっちゃった!
森下さん、荒井先生、
どうもありがとうございました!
そして、最後まで読んでくださって
どうもありがとうございました。
今回も暑苦しくてすいません!
でも、たのしかったー!
(おしまい) |