ほぼ日テレビガイドシリーズ

秋の連ドラチェック2015

あややとふたりのプロフェッショナル
まずは、森下さんの大河ドラマの話を(再来年ですが)!

相棒 season14
テレビ朝日系●水曜日午後8時


あやや
じゃあ、行きましょう!
まずは、そうですねー、『相棒』の話から!
森下
お、「新相棒」ですね。
あやや
そうなんです、シリーズを重ねてseason14。
「新相棒」が発表されました。
荒井
初代が寺脇康文さん、二代目が及川光博さん、
そして、三代目が成宮寛貴さんで、
四代目が誰になるのかと話題になってましたが‥‥。
あやや
四代目の相棒は‥‥反町隆史さんです!
森下
うん。
荒井
女性になるんじゃないかとか、
いろんなウワサがありましたが、
結果的には反町隆史さん。
あやや
はい。反町隆史さんの相棒に
私ね、けっこう期待してます!
なぜなら‥‥。
──
ヤンキー好きだから。
あやや
そう、ってコラ!
荒井
ええーっ! それは知らなかった。
──
ヤンキーというと失礼ですが、
あやちゃんが妙に贔屓している役者さんは
そこはかとなくヤンキーっぽさがあると思う。
あやや
そう、それは否定しませんが、
今回、反町さんに期待するのはそこじゃない。
ずばり、反町さんの相棒は
初代の「亀山薫ちゃん」の方向性に
戻るんじゃないかな、と思って期待してるんです。
荒井
あー、なるほど。
──
やっぱり、なんだかんだ言ってみんな、
初代の相棒が好きなの?
あやや
やっぱ、軸は初代ですよ。
ドラマの構造としてもね、
クールな右京さんと相棒の
ギャップが激しければ激しいほど、
おもしろいと思うんですよ。
だから、ダブルニヒルとか、ダブル知的より、
ちょっと「脳みそ筋肉です」みたいな。
でも、目大きいです、みたいなほうが
おもしろいと思うんですよね。
森下
でも、キャラクター設定に
「法務省キャリア官僚」って書いてあるよ。
あやや
そうなの、そうなの!
森下
キャリアだよ、官僚だよ。
荒井
叩き上げの亀山型ではないっぽいですね。
あやや
だから、私、ちょっと言いたい。
反町さんキャスティングしておいて、
法務省のキャリアって、それはないんじゃない?
森下
間違って法務省に入っちゃった
亀山型ってことはないかな。
あやや
そうだといいなぁ。
個人的には、やっぱり、亀山薫ちゃんが
いちばんおもしろかったからなぁ。
だって、初代の薫ちゃんがあったからこそ
『相棒』がここまで続いてるわけで。
荒井
亀山に戻せ、と。
あやや
もう、戻してもいいんじゃないですかねぇ。
やっぱり、シリーズを重ねるからには、
いろいろ変えていかなきゃいけない、
それはわかるんですよ。
だから、寺脇さんの脳みそ筋肉から
ミッチーのインテリ、
成宮くんのお坊ちゃんと変わっていった。
その流れはいいと思うんです。
でも、ここらで一回戻してもいいのでは。
でも‥‥官僚なんだよなぁ。
──
資料によると
四代目相棒、反町隆史さんが演じる
冠城亘(かぶらぎ わたる)は、
法務省から警視庁に出向した
「変わり者の官僚」だそうです。
あやや
うーーん、どうなんだろうなぁ。
まぁ、でも、おもしろい方向へ
裏切ってくれるのはもちろん大歓迎です。
森下
ところで、season13の成宮くんの最終回は、
禁じ手ギリギリというか、
けっこう話題になったじゃないですか。
あやや
あーーー、はいはい。
まぁ、ファンはみんな知ってると思うので
言っちゃいますけど、
相棒だった成宮くんが
最後に犯罪者で終わったんですよね。
荒井
あれは、ないですよ。
個人的には、やっちゃいけないと思ったなぁ。
あやや
びっくりしましたねぇ。
森下
やっぱり、これだけシリーズを重ねると
チャレンジしたくなるんでしょうね。
もう、あらゆる方向を検討するというか。
あやや
だって、映画もひと通りやって、
六角さん主演の映画までつくっちゃったし。
森下
でも、すごいですよね。
season14まで続けて燃え尽きてないというのは。
なにしろ、やり続けてるわけじゃないですか。
そこが、すごいなぁと素直に感動します。
あやや
しかも、単に続いてるというだけじゃなく、
実はけっこう、またおもしろくなってきてて。
season13は終わり方が賛否両論で
そこだけすっごい注目されてますけど、
全体におもしろかったんですよ。
森下
そうそう、ラストまではおもしろかった。
あやや
視聴率もあいかわらずいいですし。
森下
いいですよー。
いま、14、15パーセントって、
キラキラして見えますよ。
あやや
キラッキラですよね!
荒井
すごっ! とか思っちゃいますよね。
高視聴率保ってて。
昔はもっととんでもない数字取ってましたけど。
──
荒井先生は、
「岸部一徳が数字を持っている」説を
むかしからおっしゃってますが。
荒井
ええ。やっぱり『相棒』は岸部一徳さんの
小野田官房長がいたときがおもしろい。
数字は「岸部一徳」が持っている説です。
我ながらしつこいですが(笑)。
あやや
小野田官房長は死んじゃったから、
岸部一徳さんはもう出ないんですよねぇ。
荒井
それっぽい人が加わればいいんですけどね。
あやや
石坂浩二さんがそれに近かったですかね。
──
水谷豊さんの右京さん以外は、
役者さんもスタッフの方も
だいぶ入れ替わってるんですか。
あやや
脚本家もどんどん新しくなってますよね。
荒井
毎回違うんですよね。
森下
4、5人いるんじゃなかったかな。もっと?
前は古沢良太さんとかいたんですよね。
season12までかな。
荒井
古沢さんって、変わったものを書くんですよ。
たまに、トンデモ回みたいなのがあって
あやや
あーー、ありますね、時々。
荒井
霊的な回とかあるんですよ。
あやや
そうそうそう、あるあるある!
荒井
ドラマの前半、車に乗せた女の子と
右京さんが会話してるんですけど、
じつはその子はだいぶ前に‥‥みたいな。
──
え? それじゃ怪談じゃないですか。
だいぶ前に亡くなった子だと思いきや、
なんかのトリックだった、とかじゃなくて?
荒井
いや、そのままでしたね。
オカルトっぽいんですけど、感動を呼ぶ不思議な話。
そういう回があるんです。
──
へーー!
あやや
荒井先生って、
けっこうディープに『相棒』観てますよね。
荒井
まぁ、ずっと観てますね。
あやや
何代目の『相棒』が好きですか。
荒井
やっぱり、初代の亀山じゃないですかねぇ。
一番コントラストがあったような気がする。
──
やっぱりそうなんだ。
あやや
ほんとにそうなんですよ。
右京さんとのギャップがあったほうが
おもしろいんですよね。
まあ、でも今回も、いろいろ言いましたけど、
かなり期待してますよ。
荒井
うん。観ますね。
あやや
観る観る、絶対観る!
森下
反町さんの演じる「変わり者官僚」が
どういう「変わり者」か、気になります。
あやや
キャラクター設定、大事ですからね。
そこは、脚本というよりも
演出ががんばってほしいなー。
やっぱりたのしみなんですよ、『相棒』。
荒井
新シリーズ、期待してます。

デザイナーベイビー
NHK総合●火曜日午後10:00

あやや
つぎは、NHKのドラマ10なんですけど、
『デザイナーベイビー』。
これ、なんとなく気になってるんですよ。
森下
黒木メイサちゃん。
荒井
ええと、すみません、どこに載ってます?
あやや
あ、ごめんなさい、今回用意した雑誌だと
記事の扱いが小さいんですよ。
ほら、ここの、小さい紹介コーナーに
ひっそりと『デザイナーベイビー』。
NHKで火曜日の夜10時。
荒井
デザイナー? ベイビー?
どういう話なんですかね。
森下
ふーむ、つまり、遺伝子を操作して、
赤ちゃんに優秀な能力を持たせるってこと?
言ってみれば、優生思想みたいなことですか。
あやや
そうだと思うんです。
森下
こわーい。
でも、もしそうだったら、
ドラマとしてはおもしろそう。
荒井
あ、自分の子どもをデザインするってことか。
あやや
そうそうそう、そうなんですよ。
ちょっとおもしろそうじゃないですか。
森下
だって、自分の子どもを見てて
「もしも、こうだったら」と思うことって
ふつうにあるじゃない?
あー、ここは私に似なくていいのにー、とか、
ここは旦那に似ちゃったんだー、とか。
あやや
あー、あるあるある。
森下
そのへんのことを軸に展開するのは、
ちょっとおもしろそう。
荒井
これは、わりとシリアスですよね。
サスペンスなのか、ヒューマンタッチなのか。
──
ええと、資料によれば、
「父親はノーベル賞候補の物理工学博士、
 母親は元陸上選手という著名な夫婦の子」。
あやや
わ、すごい赤ちゃんだ。
森下
すでにデザインされてるじゃん。
──
でも、その説明のあとに、
「赤ちゃんは3時間おきに
 水分を与えられなければ命の保障はない」
って書いてありますよ。
あやや
ってことは誘拐されるの?
荒井
つまり、ノーベル賞候補の博士と
陸上選手のあいだに生まれて、
両方のいいところを引き継ぐように
遺伝子をデザインされた赤ちゃんが
誘拐されちゃうってことですか。
森下
やっぱり、おもしろそうですね。
企画が締まってる感じがするなー。
あやや
気になるんですよー。
荒井
ちなみに、原作がありますね。
岡井崇さんの同名小説。
あやや
ありゃ? ありゃりゃりゃりゃ?
──
どうした、どうした。
あやや
ひょっとして『デザイナーベイビー』って、
この座談会がコンテンツになってるころには
ドラマが終わっちゃってるかも?
森下
え?
あやや
だって、NHKのドラマ10って、
5回くらいで終わっちゃうときがあるんですよ。
9月22日にスタートだから、
永田さんがちんたらちんたら編集してるうちに
最終回まで行っちゃったりして?
──
誰が、ちんたらちんたら編集だ、
‥‥と、つっこみたいところですが、
正直、その可能性はありますね。
荒井
あ、でも、全8話だそうです。
あやや
じゃ、大丈夫かも!
──
ふぅ、よかった、よかった。

洞窟おじさん完全版
NHKBSプレミアム●木曜日午後9時

森下
すみません、私、
この、ちっちゃい記事のコーナーのところで
気になるのがひとつあるんですけど。
あやや
はい、なんでしょう。
森下
『洞窟おじさん完全版』。
両親の虐待から逃れ、山奥の洞窟で暮らし続けた、
通称洞窟おじさんの壮絶人生。
これ、実話なんですよ。
荒井
えっ。
あやや
ええーーーっ、興味深い!
森下
じつは『洞窟おじさん』の
スペシャルドラマがこの夏あったんだけど、
私、見逃しちゃっってて、
それの完全版がこれで、4回シリーズみたいです。
おじさんを演じるのは
リリー・フランキーさんなんですけど、
若いころのおじさんをやるのが中村蒼くんで、
洞窟で暮らしてるっていう役だから、
もうものすごい見た目で話題になってたんですよ。
あやや
おもしろそう。
え、これ、ほんとに?
森下
43年間洞窟で暮らしたおじさんがいるんですって。
子どもの頃から。
あやや
ああー、事実としては重いというか
もうなんか泣けますね。
森下
そのなかで知り合う犬との話が
すごい泣けるらしいんですけどね。
荒井
43年間、社会とほとんど接触せずに‥‥。
すごい話ですね。
あやや
これ、いつごろの話ですか?
──
ええと、昭和34年、とある農村で、
家出して洞窟に隠れ住んで‥‥
「発見されたとき平成15年」って書いてあるよ。
あやや
平成!
へぇー、大昔の話とかじゃないんだ。
ものすごい話ですけど、
なにしろ実話だから説得力ありますね。
ドラマとしてもおもしろそう。
なんか、この話自体に興味が出てきますね。
森下
そうそうそう。
──
記事が小さいので、
これ以上は知りようがありませんが。
荒井
うーーん、最近、
われわれの興味のあるドラマが、
ちっちゃいコーナー、ちっちゃいコーナーに
行ってるのは気のせいかなぁ。
森下
あーーー、あるかも!
あやや
あるかも、あるかも!
そして、また、私、
この、ちっちゃい記事のコーナーに
気になるドラマを見つけました。
森下
なに?

おかしの家
TBS系●水曜日午後11:53

あやや
TBSの深夜、『おかしの家』。
これ、ちょっと、観たいです。
森下
深夜の30分ドラマ。
荒井
この枠は、いままでなかったですね。
あやや
はい、たぶんはじめての枠なんですけど、
まず、枠自体のコンセプトがいいんですよ。
──
ええと、資料によれば、
今クールからスタートする『水ドラ!!』枠は、
「深夜帯ならではのエッジのきいた企画への挑戦」
「次世代クリエイターの発掘と育成」を
目指して、つくられたそうです。
あやや
ね、いいでしょ?
荒井
観てみたいですね。
あやや
ただね、「次世代クリエイター発掘」のわりには、
その第一弾が映画監督として
すでに十分、才能を発揮している
石井裕也監督っていう‥‥。
だから、挑戦っていうよりは
すごいテッパンな感じがあるんですけど。
『おかしの家』では脚本、演出をやるのかな。
森下
若手ではあるけど。
あやや
新人っていう感じじゃないですよね。
映画『舟を編む』で賞を
たくさん獲ってらっしゃいますし、
あと、満島ひかりさんのだんなさまでもあります。
荒井
あっ、そうなのか。
あやや
ね、これテッパンじゃないですか。
コケる要素あります?
森下
コケるも当たるもあまりないような‥‥。
あやや
え。そういう問題じゃない、と。
森下
っていうか、たぶん、
実力ある監督さんだからこそ、
深夜の30分枠っていう条件をうまく活かして
チャレンジされると思うんですよね。
あやや
あーー、なるほど。
それは逆に、観るほうも動機になりますね。
森下
でも、この深夜の時間帯って、
そもそも1パーくらいですからね。
だからこそ、思い切ったことが
できるんじゃないかと思うんですが。
あやや
そうですね。
深夜のドラマで、ちゃんといいものをつくって、
おもしろいってなれば、いいわけですよね。
『モテキ』とか『孤独のグルメ』とか、
ちゃんと評価されてますもんね。
森下
ね。
荒井
具体的な内容としてはどういう感じですか。
──
人情的な下町の駄菓子屋
「さくらや」で繰り広げられる
小さいけれどあたたかな物語、とあります。
森下
「駄菓子屋」で「笑いと涙と人間味」。
いまとなっては逆にファンタジーですね。
あやや
たしかに。
──
「大切なものを見失っていた人間たちが
 己自身の過去に、夢に、痛みに向き合う場所、
 それが、さくらや」。
荒井
これだけじゃわからないですね。
森下
「いい作品」は「いい作品」なんだろうなぁ。
あやや
そう! そうなんですよ。
私は期待してます。
あと、やっぱり、枠自体の心意気がいいですよね。
注目していきたいです、「水ドラ!!」。
荒井
たしかに、大きく紹介されているものより
「どうなんだろう?」っていうところも含めて
魅力がありますね。
あやや
やっぱり、今クールは、テレビ雑誌でいうと、
小さい記事で紹介されているドラマに
気になるものが多いですね。
──
『洞窟おじさん』も『おかしの家』も
新ドラマのメインの記事としては扱われてないね。
あやや
これは、どうなんでしょうね。
あの‥‥すみません、言ってもいいですか?
荒井
言うんですね。
森下
言うんでしょ。
──
言いなさい。
あやや
その、えらそうなことを
言うつもりはないんですが‥‥
テレビ雑誌が取り扱うドラマが
ひょっとしたら‥‥。
森下
ちょっとずれてきている?
あやや
そう!
荒井
ほう、それは話として新しい切り口ですね。
森下
または、私たちが老いてきている。
一同
(笑)
森下
そのどちらか。
あやや
どっちだ!
森下
どっちだ!
荒井
どっちだ?
あやや
あのね、後者だと思う。
森下
‥‥うん(笑)
荒井
そうッスね。
──
まぁ、そうだよね。
メインストリームはそっちを見てるわけだからね。
荒井
でも、そのメインストリームのドラマの
視聴率が悪いわけじゃないですか、最近は。
あやや
そう! そう! そうなんです。
──
お、ちょっと意義を感じる話の展開になってきた。
荒井
だって、メインのドラマの数字が
一桁だらけなんですよ。
森下
だから、そういう意味でいうと、
じつはどの枠でやろうが
あんまり変わらないんじゃないかなぁ。
あやや
そう、そうなんですよ!
いいドラマは観るし、そうじゃないと観ない!
──
たしかに、いまは、録画もふつうだし、
ネットの無料配信もDVDもあるし、
枠でとらえることの意味が
どんどん薄れてますよね。
あやや
そう、そうなんですよ!
だから、つまり、
いいドラマは観るし、そうじゃないと観ない!
森下
2回目。
荒井
2回目。


(そして、もちろん、つづきます)
2015-10-07-WED
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