地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子
日本テレビ系●水曜日午後10時
あやや
さあ、残り少なくなってきました。
これ行きましょう、異例の職業ものドラマ、
『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』
主演は石原さとみさんです。
荒井
校閲ですよ、校閲。
あやや
永田さんどうですか、校閲。
──
コウエツって‥‥文字を直す「校閲」?
あやや
そう。
荒井
そうなんです。
──
はぁー、そうですか。
いや、いつもお世話になってます!
しかし‥‥。
荒井
校閲のドラマって、成り立つんでしょうか?
あやや
そうそう。
森下
ねえ(笑)。
──
よくそんな企画が通りましたね。
『重版出来』の影響かな?
あやや
日テレの水曜10時は、
お仕事がんばる系女の子の話ですよね。
『花咲舞が黙ってない』では、
杏ちゃんが銀行員を演じました。
前回は、『家売るオンナ』。
北川景子さんが不動産屋の営業を。
荒井
あれです、
「白洲美加GO!」です。
あやや
「白洲美加GO!」
森下
「ポケモンGO!」
──
‥‥で、今回は校閲がドラマに。
あやや
そもそも「校閲」って、
どういうお仕事なんですか。
──
誤字や脱字、
文章の間違いを正すことはもちろん、
表記の統一、固有名詞や年号なども
逐一チェックしますし、
なんらかの数値がある場合は
元データにあたって確認したり、
小説なんかだと、話の流れで
辻褄が合わないところを見つけたり、
設定から外れてないか確認したり、
まぁ、とにかく、いろいろと、
文字関係の間違いがないかを
チェックして直す人です。
あやや
へぇーー。
森下
あと、商品名が紛れ込んでないか、とかね。
ほら、「宅配便」はいいけど、
「宅急便」はダメだとか。
「セロテープ」とか
「バンドエイド」もダメなんだよね。
あやや
「ポストイット」はダメなんですよね。
付箋って言えばいいのかな。
荒井
とくにNHKはそうですよね。
こないだNHKのある番組のなかで
「コップのフチ子」が
「OL人形」という名前で取りあげられて、
販売元の奇譚クラブの人たちが
それを逆手にとって、商品名を一時的に
「OL人形」に変えたりしてましたよ。
──
(笑)
森下
あとね、ドラマの脚本でいうと、
喫茶店とかに名前をつけなきゃいけないじゃない?
でも、現実に同じ名前の喫茶店があったりすると
いろいろと面倒なことになるので、
「絶対にない名前にしてほしい」
って言われるんだけど、
「現実にはない名前」を探すのって、
すごくたいへんなのよ。
あやや
へーーー、そんなことが!
でも、それって調べようがないですね。
森下
まぁ、実際に探すのは、
ADさんが一所懸命やってくれるんだけどね。
わたしたちはとりあえず
ダミーの名前を書いておくだけ。
あやや
へぇーー、へぇーーー。
そういう実際の話を聞くのって
めちゃくちゃワクワクしますね!
森下
‥‥そ、その、キラキラした目で
こっちを見ているのは?
──
もっと、そういう、
実際の脚本の校閲などにまつわる、
リアルなエピソードはないか、と、
熱狂的なドラマファンは
強くアピールしているようです。
あやや
はっ、はっ、はっ。
──
ベロをしまいなさい。
森下
いや、まぁ、細かくはいろいろありますよ、
前のページで「それがし」って言ってて、
次のページで「拙者」と言って、役者さんから
「私の一人称はどっちですか」と聞かれたり。
でも、実は、わりと一人称って、
そのとき話す相手によって変わるんですよね。
あやや
なるほど、なるほど、なるほど。
森下
「ぼく」とか「オレ」とか、脚本上であえて
使い分けてるときもあるんですけど、
単なるわたしの間違いのときも多々あって。
あやや
ふん、ふん、ふん。
森下
現場から質問が出たら、だいたいは、
「現場の人のよいように‥‥
お好きなものを選んでいただければ」
って感じで答えてます。
ま、いろいろありますよ。
あやや
いろいろあるんだー。
荒井
このドラマ、校閲の専門用語とかも
ばんばん出てくるんですかねぇ。
あやや
たとえば?
荒井
「トルツメ」とか。
森下
あー(笑)。
──
「トルママ」とか。
あやや
「ママハハ」。
──
ちがう。
荒井
「ナカグロ」。
──
「ルビトル」。
あやや
「リビエラ」。
──
あやちゃん、
言えばいいってもんじゃないんだよ。
あやや
いや、でも、そういう専門用語が
びしびし飛び交うとおもしろいですよね。
「そこはトルツメでしょう!」
「おことばですが、ママで!」みたいな。
荒井
でも、校閲って、
基本的には静かな作業だと思うなぁ。
──
そうそう、じっと集中してやる感じ。
あやや
そこを静かにやらないからこそ、ドラマでしょ。
ほらほら、設定によると主人公は
スーパーポジティブなんだそうですよ。
ちょっと空気が読めない感じの主人公に
石原さとみさん。
これ、ハマりそうじゃないですか!
森下
うん。
あやや
ここ数年の石原さとみさんは、
こういうハマり役と出会うのが
ほんとうに上手ですよね。
『シン・ゴジラ』の
カヨコ・パタースン役は
ものすごいインパクトでしたし、
CMとかもいちいち気になるというか、
ハマってますもんね。
唇をぷるぷるぷるぷるさせてた時代から、
ちょっと進んで、なんか、唇だけじゃなくて、
全体に色気モードみたいになってますよね。
で、うまいなと思うのが、
お色気モードのわりには、出さない。
荒井
肌を露出しないってことですか。
あやや
そうです!
そのへんがうまいなぁと。
で、石原さとみさんが一目惚れする
イケメンの役が菅田将暉くん。
『ごちそうさん』にも出てましたね。
森下
菅田将暉くんはね、
実際見るときれいな顔してるんだよー。
あやや
菅田将暉くん、いいですよねー。
俳優としては、どういう方なんですか?
森下
つぎの大河(『おんな城主 直虎』)にも
出てくださるんですけど、
役者さんとしては、すごく熱心。
演技モンスター、みたいな。
最近、いろいろ出まくってるから、
「なんでそんなに出るの?」って訊いたら、
「とにかくなんでもかんでもやりたい」んだって。
あやや
ああ、なんか、わかります。
そういう時期なんですねー。
森下
もう、24時間台本読んでます、みたいな。
あやや
菅田くんって、
長瀬智也くんと麻生久美子さんの
『泣くな、はらちゃん』の弟役ですよね。
森下
「ひろし」ね。
荒井
お姉ちゃんの大事なマンガを
取っちゃうダメな弟。
あやや
そういうダメな弟の役もやるし、
一方で、『ごちそうさん』の長男とか、
真逆の実直な役もやるし、
観るたびに印象が違うんですよ。
演じるたびに別人になっちゃうタイプの
役者さんですよね。
森下
感覚なんだろうなぁ。
あやや
木村拓哉さんとか、天海祐希さんとか、
どちらかというと、
その人自身の魅力をつねに表現する、
というタイプの演技もあって、
それはそれで型としてはすごいんですけど、
菅田将暉さんの場合は、完全に
役によって「憑依させる」タイプですよね。
荒井
ぜんぜんイメージ違いますよね。
森下
まあ、憑依というと大げさだけど、
でも、わかります。
あやや
どのドラマに出ても
しっかりした演技で場を安定させてくれるから、
観る側としては、菅田将暉さんの名前があると
ちょっと安心するところがありますよ。
森下
あんまり出続けてると心配になるけど、
まだ若いんだよね、ハタチちょいだから。
あやや
がんがん出ちゃっていいんじゃないですかね。
『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』、
けっこうたのしみですよ。
荒井
‥‥‥‥はっ!
石原さとみさんの役名の「河野悦子」って
タイトルにするにはやや地味な名前だな、
と思ったんですけど‥‥。
森下
そうですね‥‥あっ、そういうことか!
荒井
そういうことだったんです。
あやや
なになに、どゆこと?
荒井
「コウエツ」ですよ!
──
あーーー、なるほど。
荒井
「河野悦子」さんです。
あやや
‥‥‥‥え? どゆこと?
──
‥‥いや、だから、もう。
レディ・ダ・ヴィンチの診断
関西テレビ・フジテレビ系●火曜日午後9時
あやや
じゃあ、最後です。
吉田羊さん主演、
『レディ・ダ・ヴィンチの診断』
行きましょうか。
荒井
吉田羊さん、地上波初主演なんですね。
ちょっと意外でした。
森下
お医者さんのドラマは
あいかわらず多いですねー。
あやや
多いですね。
まあ、『ドクターX』が当たってますし、
過去にいいドラマも多いですから。
荒井
そんな医療ドラマのなかで
『レディ・ダ・ヴィンチの診断』の特徴は、
個性の強そうな女性医師たちが
そろっているところでしょうか。
あやや
吉田羊さん、伊藤蘭さん、相武紗季さん、
吉岡里帆さん、白鳥久美子さん、
滝沢沙織さん、苗木優子さん‥‥。
派閥争いとか、ありそうです。
森下
火曜9時の枠にしては、
出演者の年齢層が
けっこう高いような気もしますね。
あやや
これまでの、上戸彩ちゃん、波瑠ちゃん、
あたりのイメージからすると、
ちょっと上げてますね。
荒井
「いまドラマを観てる層」を狙ったら、
こんな感じになるのかもしれませんよ。
あやや
あ、なるほど。
なんか、リアルにそのへんを狙うと、
どのドラマもテレ朝っぽくなりますね。
荒井
逆にいうと、テレ朝が安定しているのは
そういう理由かもしれません。
森下
そうですね。
あやや
しかも、女性医師が7人いるあたりも、
ちょっと『刑事7人』っぽい。
森下
ほんとだ(笑)。
あやや
安定路線を狙っていくと、
ドラマはテレ朝化していくのかも?
荒井
しかし、この資料を見る限り‥‥
いわゆるイケメンが少なくないですか。
高橋克典さんだけでは、
女性層のドラマファンを
すくっていないような。
森下
毎回患者がイケメンっていうのはどう?
あやや
いいですね!
森下
診察があるから毎回
シャツの前をこう、はだけたりしてね。
あやや
誰が診察するか、7人の女医が取り合ったり!
荒井
そんな1話完結医療もの。
あやや
いいと思います!
1話完結で毎回患者がイケメン!
──
なんという身もフタもないフレーズだ。
あやや
「1話完結で毎回患者がイケメン」!
「1話完結で毎回患者がイケメン」!
──
うるさいんですけど。
あやや
「1話完結で毎回患者がイケメン」!
「1話完結で毎回患者がイケメン」!
ああ、言ってると気持ちいい!
──
ほっときましょう。
荒井先生、いかがですか?
荒井
7人の女医役のひとりとして、
吉岡里帆さんが出るのはうれしいです。
『あさが来た』に出てた、
丸メガネの、のぶちゃんです。
あやや
『ゆとりですが』に出てた、えつこ先生。
荒井
ゼクシィのCMガールでもありますね。
いま、いい感じです。勢いがあるというか。
あやや
吉岡里帆ちゃんって、モテそうですよね。
倉科カナちゃんがモテそうなのと
同じような理由で。
なにが言いたいかと言うと‥‥
森下
あんなにおっぱい大きいのに清楚な顔立ち!
あやや
そうです!
つまり、男性マンガ誌などにおける永遠の憧れ!
荒井
いいと思います。
ギャップってやつですね。
あやや
ほら、あの、
『きまぐれオレンジロード』とかね。
荒井
古い。
──
古すぎる。
森下
『きまぐれオレンジロード』!
まどか派だった? ひかる派だった?
私、まどか派だったんだけど。
あやや
ええとね、髪の短いほう。
森下
あー、ひかる派ですか。
あやや
あと、『みゆき』とか。
荒井
またしても、古っ!
──
あだち充作品なら
もっと新しいのもあるだろう。
森下
『みゆき』!
鹿島みゆき派だった? 若松みゆき派だった?
私、鹿島みゆき派。
あやや
ええとね、ハツラツとしてるほう。
森下
若松みゆき派だー。
ああー、合わないねぇ。
あやや
じゃあ『東京ラブストーリー』だと、
有森也実さんと、鈴木保奈美さん、どっち?
森下
赤名リカでしょ。鈴木保奈美さん。
あやや
あー、私、有森也実さん!
森下
うわー(笑)、ぜんぶ逆!
すっごい、おもしろいね。
あやや
これハッキリ分かれるんですよ。
女の人に訊くとね。
森下
で、男性に訊くと、たぶん、
むにゃむにゃ言ってはっきり答えない。
あやや
そうそうそう(笑)。
永田さん、鹿島みゆきと若松みゆきと、どっち?
──
そんな、どっちって言われても、
どういう意味で選ぶのかわかんないし、
そもそも若松みゆきは妹なわけで、
結婚式の準備までしてたらもう‥‥。
あやや
えええいっ、むにゃむにゃ言うな!
荒井
たしかに、男性が答えると
そんなふうになっちゃいますね。
──
それはそうと、
『きまぐれオレンジロード』や
『みゆき』ではなくて、
『レディ・ダ・ヴィンチの診断』の話を。
あやや
はいはい、スタッフは、
『チーム・バチスタ』のチームですね。
森下
そうですね。脚本は田中眞一さん。
あやや
『チーム・バチスタ』の
なにがおもしろいかったかというと、
医療の専門的なことも
ストーリーにちゃんと盛り込んだうえで、
登場人物ひとりひとりのキャラクターを
際立たせていたのがよかったと思うんです。
だから、このドラマも、
吉田羊さんの役、伊藤蘭さんの役、
吉岡里帆さんの役、相武紗季さんの役、
それぞれキャストの個性を
際立たせたものになるんじゃないでしょうか。
──
なるほど。
あやや
荒井先生、総合的にみて、いかがですか。
荒井
はい。個人的には、
のぶちゃんが出てるのでいいと思います。
一同
(ずっこける)
2016年秋、おすすめのドラマは?
──
さあ、今回もたっぷり語ったところで、
今クールのおすすめを決めていきましょう。
まず、いつものように、
ひとり3本挙げてください。
あやや
うわー、今回難しいなぁ‥‥
まず、『スニッファー』!
『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』でしょ。
あと‥‥悩むなぁ‥‥。
──
はい、あと1本。
あやや
うーーーん‥‥
『運命に、似た恋』。
──
はい。森下さん。
森下
うーん‥‥。
『スニッファー』。
『家政夫のミタゾノ』。
あやや
おおー!
森下
で、『砂の塔』。
荒井
なるほど。
あやや
あーー、菅野美穂さんね。
──
荒井先生、お願いします!
荒井
『校閲ガール』。
──
ほう。
荒井
『逃げるは恥だが役に立つ』。
で、『家政夫のミタゾノ』。
あやや
ああー、『ミタゾノ』(笑)。
森下
ふふふ。
──
はい、出そろいました。
2票入ったのが、
『ミタゾノ』と『スニッファー』。
あやや
じつは私、『砂の塔』もちょっと気になってます。
森下
『砂の塔』、ふつうに観て、
おもしろそうだなっていう感じ、
けっこうあるよね。
あやや
そうなんですよー。
あと、『逃げるは恥だが役に立つ』とか。
森下
それ、あややが選ぶと思ったのに。
荒井
なんか、今回は最初に選ぶ3本が
けっこう割れましたね。
──
そうですね。
いつももうちょっと重なるかな。
荒井
ここからどうやって絞りましょうか。
あやや
これは大丈夫だろう、という意味で
安全に1本選ぶとしたら、
『スニッファー』でしょうかね。
『ミタゾノ』はちょっと冒険する感じ。
──
『砂の塔』と『逃げるは恥だが役に立つ』も、
みんな気になってる感じですよね。
あやや
ちなみにわたし、5本選んでいいんだったら、
『砂の塔』と『逃げるは恥だが役に立つ』も入れます。
森下
私は『校閲ガール』が、気になるっちゃ気になる。
あやや
あ、『校閲ガール』、気になりますね。
森下
うーん。
──
『ミタゾノ』もけっこう好印象?
あやや
化ける可能性はありますよね。
荒井
最初の3本に選んでて言うのもなんですけど、
『ミタゾノ』って、出落ちというか、
タイトル落ちというか。
最初のインパクトで笑っちゃうんですよね。
森下
わかります(笑)。
──
そこにみんな引っかかってるとも言えますね。
あやや
でも、『ミタゾノ』も『スニッファー』も、
脚本家に安心感はありますよ。
その意味では、『砂の塔』も
『逃げるは恥だが役に立つ』もおもしろそう。
で、安全なのは『スニッファー』ですよ。
森下
そうだよね。
──
NHK、海外で大人気、キャスト実力派。
たしかに、『スニッファー』は安定してます。
あやや
でも、これを選んだら、私たち、
なんか、ちょっと勝負してない感じします?
荒井
どうですかねぇ(笑)。
森下
うーーん、どうしましょう。
──
じゃあ、決選投票しましょうか。
いま悩んでいる、
『スニッファー』、『家政夫のミタゾノ』、
『砂の塔』、『逃げるは恥だが役に立つ』の
4つのうちから、ひとり2本選んでください。
あやや
2本! 待って、待って‥‥。
森下
よし。
──
いいですかー。
荒井
決めました。
──
あやちゃんからお願いします!
あやや
『スニッファー』と『砂の塔』。
──
森下さん。
森下
『スニッファー』と『砂の塔』。
あややといっしょだ(笑)
──
はい、荒井先生!
荒井
『逃げるは恥だが役に立つ』と
『砂の塔』かなぁ。
──
‥‥と、いうことは?
あやや
おー、じゃあ『砂の塔』だ。
──
はい、『砂の塔』に決定しました!
一同
(拍手)
荒井
いいところに収まりましたね。
森下
うん。いいんじゃないですか。
あやや
菅野美穂さんドラマ復帰ということで、
菅野さんが選んだ脚本をわたし信じます!
よかったぁー、これ、堺雅人さん読むかな?
一同
(笑)
──
ありがとうございました!
森下
ありがとうございましたー。
荒井
ありがとうございました。
あやや
ありがとうございましたーーー。
あああ、終わっちゃったー。
森下
(ゴソゴソゴソ‥‥)
──
あ、森下さん。
あやや
さっそく『ポケモンGO』!
( お し ま い )
2016-10-28-FRI