ゆとりですがなにか
日テレ系●日曜日午後10時30分
4月17日スタート
あやや
さて、私たちが大好きな
宮藤官九郎先生のドラマ、行ってみましょう。
『ゆとりですがなにか』。
荒井
ゆとり世代って、
具体的には何年生まれの人たちなんですか?
──
ええと、1987年から1989年生まれ。
あれ? 短いですね?
森下
それが第一世代で、
第二世代、第三世代とあるんですよ。
あやや
ゆとり教育って、結局、終わったんですよね?
いまの小中学生は、ゆとり教育じゃないでしょ?
森下
娘、小4ですが、ぜんぜんゆとりないですよ。
荒井
第一世代が、いま20代の終わりくらいか。
あやや
今回の「ゆとり」という切り口、
ドラマのテーマとしてすごく新しいなと思うんです。
ゆとり、ゆとり、ってよく言われるけど、
「ゆとり世代」とひとくくりにしても、
みんなが同じであるわけはないし。
やる気がない、みたいなことを言われるけど、
あんなに一所懸命やってる
AKBの子たちだって、ゆとり世代だし。
そのあたりの、もやもやっとした時代的なものを、
宮藤さんがうまくすくいあげて、
からかったり、はげましたりしながら
描いてくれるんじゃないかと、
たいへん期待しています。
荒井
ちょっと社会風刺っぽい目線も
入ってくるんですかね。
森下
そうかもしれないですね。
このドラマのCMで、
「ゆとり感じたことなんてねえよー!」とか言ってたし。
ゆとり世代なんだけど、実際社会に出たら、
ゆとりなんかぜんぜんなかったみたいな。
あやや
で、ゆとり世代として選ばれた、
メインキャストのみなさんをご覧ください。
柳楽優弥くん、松坂桃李くん、岡田将生くん。
いやぁ、いいところ押さえてきますねぇ。
荒井
ヒロインっぽい人は?
あやや
安藤サクラちゃん。
あと、島崎遥香さんいるね。
荒井
あっ、それに、のぶちゃんですよ。
『あさが来た』で、丸めがねキラーンの人。
──
あっ、ほんとだ、のぶちゃんだ!
あやや
吉岡里帆さんですね。
けっこう、いいメンバーですよね。
これから宮藤さんの味つけによって
どんどんキャラが立ってきそう。
ひとりひとりのキャラクターが
どんどんおもしろくなっていくのが
宮藤脚本の大きな魅力じゃないですか。
『木更津キャッツアイ』のときの
ぶっさんとか、バンビとか、アニとか、
十何年前のドラマなのに、
ぜんぶ憶えてますよね。
それって、すごいことだと思うんですよ。
だから、彼らをどんなキャラに
仕上げていくのか、すごくたのしみ。
森下
『木更津キャッツアイ』は、
草野球チームがあったり、
謎の怪盗団になったり、
話の核がわかりやすかったんだけど、
今回は、そのへんどうなのかな。
──
資料を読んでみると、
登場人物のプロフィールとしては
小学校の先生、居酒屋店長、客引き、などなど。
荒井
「阿佐谷南小学校」とか
「『鳥の民』高円寺店」とか、
中央線沿線が舞台なんですかね。
あやや
なんか、いろいろおもしろそう。
例によって視聴率はどうなるかわからないけど、
おもしろそうな感じがします。
宮藤さんのドラマって、
ドラマファンがおもしろがるものほど、
なぜか視聴率があんまり高くならないから。
森下
視聴率は悪かったけど、
『ごめんね青春!』もおもしろかったよねー。
あやや
ほんとおもしろかったです!
荒井
おもしろいのに視聴率が行かないっていうのが
不思議ですよねぇ。
あやや
ひとりひとりに目を移すと、
柳楽優弥くんが出るのは、うれしいですね。
一時期出なくなっちゃって、
ちょっと心配したんですけど、
いまこんなふうに活躍しているのを見ると、
よくぞ戻ってきた、と感じます。
──
出なくなってたの?
あやや
柳楽優弥くんって、
14歳で是枝監督の『誰も知らない』に出て、
カンヌでいきなり最優秀主演男優賞
獲ったじゃないですか。
でも、子役から大人の俳優さんになっていくのって、
有名な子役ほど難しいから、
入院したり、ちょっと俳優をお休みしたり、
太ったり、いろいろあったんですが、
最近、コンスタントにいい作品に出て、
見事に復活した感じ。
森下
そうですね。
蜷川さんの舞台でもがんばってました。
あやや
いい意味で、ちょっと
エキセントリックになりましたよね。
なんていうか、やっぱり、
「一回洞窟に入って、
なにかをつかんで出てきた人」は
やっぱりいいんですよ。
山田孝之くんなんかもそうだと思うもの。
荒井
うん。いい役者さんって、
キャリアのどこかで、一回、迷い込みますよね。
あやや
それ、必要だと思うんですよ。
もちろん、洞窟入りっぱなしはまずいですけど。
森下
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
「苦労は買ってでもしろ」と言いますしね。
洞窟には何かが落ちてるんだ。きっと。
荒井
ある意味、「しくじり先生」ですね。
あやや
柳楽くんはまさに、洞窟から出てきた組。
だってさ、あれ観ました?
『闇金ウシジマくん』の映画。
森下
観た観た。
あやや
あの柳楽くん、気持ち悪かったですよねー!
──
ほめ言葉です。
森下
ああ、ストーカーの役ね、
あれ気持ち悪かったですね!
──
ほめてます。
あやや
あの柳楽くん、めっちゃ怖かったですよ。
荒井
『アオイホノオ』で主演やってましたよね。
あれ、よかったですよね。
あやや
最高でしたよね!
ほんとにおもしろかった、ホノオくん。
だから、洞窟から出てきたあとの柳楽くんは、
絶対に期待に応えるんですよ。
森下
ちなみに岡田将生くんとか、松坂桃李くんは‥‥
あやや
いまもすごくいいんですけど、
ただ、まだ洞窟には入ってない気がしますねぇ。
森下
そうだねー。
でもまぁ、洞窟に入ってない人の
魅力ってのもあると思うけどね。
荒井
それなりにいろいろあるとは思いますけど、
この2人は、対外的にはある意味、
「洞窟に入ってないっぽい感じ」も含めて、
まさに「ゆとり」世代なのかもしれません。
あやや
だからこそ、この3人に
柳楽くんが混ざるのが重要なんですよ。
そのへんも含めて、たのしみなドラマです。
──
ちなみにこのドラマ、あやちゃんたちが
それほどたのしみにしているということは、
視聴率的には、どうなんでしょう。
あやや
まぁ、数字的には厳しいでしょう。
一同
(笑)
あやや
だって、あの『北の国から』だって、
最初、視聴率よくなかったんですよ。
だから、ドラマって、そういうもんですよ。
おもしろいからって視聴率がいいわけじゃない。
──
なんて乱暴な理屈だ。
森下
しかし、ゆとり‥‥ねぇ‥‥。
難しいテーマに取り組みますねぇ。
荒井
小ネタとして、よく言われる、
「ゆとり世代あるある」みたいなものも
盛り込まれるんですかね。
あやや
あー、ありそう、ありそう。
単純にそれはおもしろそうですね。
森下
いまの新入社員の子って、
ちょっと怒るとほんとに会社
来なくなっちゃったりする子もいるんでしょ?
あやや
ひーー。
荒井
打たれ弱い。
森下
糸井さんは社員を怒ったりするの?
あやや
怒鳴ったりはしないですねぇ。
ただ、軽い調子で、心に重く残ることを、
ひょいと言ったりします。
森下
たとえば?
差し支えなければ。
あやや
たとえば‥‥ある日、こう言われました。
「あやちゃんの話はとにかく長い。
話をもっと短く!」
一同
(爆笑)
──
そんなこと言われてたんだ(笑)。
あやや
まったく直らないんですー。
荒井
まったく直ってないですね(笑)!
あやや
できてないんだけど、
いちおう気にかけてるんです。
森下
でも、あややの話、
短くしたら、おもしろくないよね。
──
あはははは、
脚本家ならではの見解。
森下
あややは、論旨よりも、
枝葉とか、表現がおもしろいので。
だから、純文学みたいなもんですよ。
要点をまとめると、20行くらいで終わっちゃう。
あやや
なんだか、涙が出てきました、
いろんな意味で。
森下
ほめてるんだよ?
話がおもしろいってすごいことなんだよ?
「座持ち」でトップにのしあがる人だって
いっぱいいるんだよ?
かの名作『たそがれ清兵衛』が制作ゴーになったのは、
山田監督の絶妙トークがあったればこそ
って話もあるんだよ!
あやや
よくわかりませんけど、大丈夫です‥‥。
『たそがれ清兵衛』はおもしろかったです‥‥。
会社に来なくなったりしません‥‥。
──
いやぁ、糸井さん、おもしろいこと言うなぁ。
OUR HOUSE〜わたしたちのいえ
フジテレビ系●日曜日午後9時
4月17日スタート
あやや
じゃあ、これ、行きましょう。
『OUR HOUSE〜私たちのいえ〜』
荒井
芦田愛菜ちゃん。
森下
芦田愛菜ちゃん久しぶりな気がするなぁ。
え、中学生?
あやや
実際は、まだ小6みたいですけど。
役としては中学生。
──
あ、エリーだ。
あやや
永田さん、すべての役者さんを
朝ドラの役名で呼ぶのやめてください。
──
たいてい朝ドラで知るからなぁ。
荒井
『マッサン』のエリー役だった
シャーロットさんですね。
森下
これは、日曜9時の枠ですか?
あやや
そう、出直しの枠なんですよ。
荒井
この枠、なんかちょっと
複雑なことになってるんですよ。
──
どういうこと?
荒井
フジが日曜9時の枠でドラマをはじめて、
『マルモのおきて』がブレイクして
けっこう調子よかったんですけど、
ドラマをやめて、この枠は
バラエティをやることにしたんですよ。
で、ドラマの枠は水曜10時に移ったんです。
森下
前のクールで
長瀬智也さんの『フラジャイル』やってた枠ね。
あやや
『フラジャイル』、おもしろかった!
森下
よかったですよね。
荒井
けっこう数字もよかったんですよ。
ところが、あの水曜10時のドラマ枠をやめて
またこの日曜9時に戻ってくるんです。
──
うーーーん、「枠が戻ってくる」とか
「移る」っていうのが、
ほんとによくわからない‥‥。
あやや
ああ、まぁ、たしかに、わかりづらいですよね。
「枠」の話は。
──
いえ、すみません、話を進めてください。
あやや
脚本は野島伸司さんです。
ですから、おそらく、
しっかりしたドラマになるんじゃないかと。
野島伸司さんのドラマって、
ただおもしろく展開するだけじゃなくて、
こう、ちょっとした主張というか、
テーマみたいなものがあるんですよね。
森下
ああ、そうですね。
あやや
テーマがあって、
こういうこと言いたいんだろうな、みたいな、
観てる人に問う部分がある。
荒井
難しいのは、その主張をやり過ぎると、
観てる側がイヤになっちゃうんですよね。
あやや
ドラマによってそのバランスが変わるんですよね。
これは、どうなんでしょう。
森下
この設定で難しいテーマをやるとは
思えないですけどね。
荒井
ドタバタっぽい感じ、とか、
たのしげにするんじゃないですかね。
──
資料によれば、
シャーロットさんが山本耕史さんと
「4人の子持ちだと知らずに
スピード国際結婚する」と。
森下
で、芦田愛菜ちゃんのお母さんになるんですね。
あやや
えーと、芦田愛菜ちゃん、
久しぶりに見たら、成長してますね!
荒井
まぁ、当たり前ですけど、
大人っぽくなりましたよね。
『マルモ』のころより顔が面長になったのかな。
あやや
寺田心くんも出るんだ。
森下
おじいちゃんとかおばあちゃんとか、
好きそうな顔ぶれですよね。
だからこれ、「ホームドラマ」なんですね。
日曜の夜に家族でたのしめるような。
あやや
そうですね。
荒井
野島伸司さんの「家族もの」で、
綾瀬はるかさんが出てたのありましたよね。
あやや
あったあった。
森下
『あいくるしい』ですか。
あやや
『あいくるしい』だ。あれは、よかったよね。
荒井
おもしろかったです。
森下
じつは野島伸司さんって、
『ひとつ屋根の下』とか、
けっこうホームドラマは多いんですよね。
あやや
親子の話とかも
けっこう書いてらっしゃいますよね。
『人間・失格』もそうだし。
荒井
まじめに家族の絆を書くこともあるし、
コメディとして仕上げることもあるし。
あやや
このドラマも、観たらけっこう
おもしろいんじゃないかなと思うんですけど。
ただ、芦田愛菜ちゃん、
シャーロット・ケイト・フォックスさん、
というところで、なんというか、
観る観ないの入口がはっきりあって、
もうそこで決まるかもしれない。
荒井
これが、松潤の弁護士モノとガチンコですよね。
森下
まあ、ジャンルもはっきり違うので、
共存するのかもしれません。
あやや
ドラマ好きとしては、
松潤観ちゃいそうな気もするけど‥‥。
荒井
シャーロットさんは、
どういう人がファンなんでしょうね。
まあ、『マッサン』が大好きだった人は
観ると思いますけど。
あやや
ただ、どうだろう。
シャーロットさんが好きっていう人は
あんまり聞かないですよね。
その、なんていうか、好感はあるにしても、
積極的に好きっていう人がいるかどうか。
荒井
「出てたら観る!」っていうふうに。
あやや
そうそうそう、そのあたりが、
どうなんだろうな、と。
ドラマをつくる側からすると、
どうなんですか、シャーロットさんは?
森下
つくる側からすると、細かいこと言うと、
彼女、すごいラテ欄(番組表の一枠)を
食うと思うんですよ。
実際、どう表記されてるかは知らないんですけども。
日本人って4文字ぐらいじゃないですか。
──
‥‥え? つまり、名前の長さ? 文字数?
森下
そうそうそう。
ラテ欄って、文字数が決まってるから。
──
そんな意見が出てくると思わなかった(笑)。
森下
いや、これ、けっこう大きな問題らしいです。
あやや
シ、ャ、ー、ロ、ッ、ト、
ケ、イ、ト、フ、ォ、ッ、ク、ス、
14文字だ。
──
ナカグロ(・)が2文字入るよ。
あやや
16文字!
荒井
新聞のラテ欄を、
ひとりで1行食っちゃうんですね。
森下
ふつうの日本人が4人くらい入りますから。
──
波瑠さんなら8人入りますよ。
あやや
波瑠さん8人分!
──
いや、ないけれども。
ひとつのドラマに波瑠さんが8人出ることは。
森下
杏ちゃんなら‥‥。
あやや
16人! 杏ちゃんが16人!
──
出ないから。杏ちゃんはひとりだから。
森下
だから、「波瑠 杏」、
これでまだ3文字ですから。
あやや
そんな豪華な顔合わせでまだ3文字!
森下
じゃあ、そこに「瑛太」さんを入れて。
荒井
「要潤」さんも。
あやや
「波瑠 杏 瑛太 要潤」、まだ7文字!
──
そこに「でんでん」さんを入れても
まだ11文字です。
あやや
「波瑠 杏 瑛太 要潤 でんでん」
荒井
名前と名前の間のスペースを入れると15文字。
あやや
「シャーロット・ケイト・フォックス」
「波瑠 杏 瑛太 要潤 でんでん」
ほんとだ! シャーロットひとりのほうが長い!
荒井
「シャーロット」だけじゃダメなのかな。
森下
だってそれは「要潤」さんを
「潤」って書くようなものですよ。
──
「でんでん」さんを
「でん」って書くようなものですよ。
あやや
永田さん、さっきから、
ちょいちょい「でんでん」さん混ぜるの
やめてもらえます?
火の粉
東海テレビ・フジテレビ系●土曜日午後11時40分
4月2日スタート
荒井
早めにはじまってるんですが、
ユースケ・サンタマリアさんの
『火の粉』がおもしろかったんですよ。
あやや
観ました、観ました。
おもしろかった!
ユースケさん、めっちゃ怖いんですよね。
荒井
怖い。めっちゃ怖い。
森下
へーーー。まだ観てない。
あやや
ユースケさんって、
自分でよくネタで暗いって言ってますけど、
その「暗さ」が、めっちゃ出てるんですよ。
その、「演出なのか素なのかわからない暗さ」
みたいなのが。
森下
ああ、なるほど、なるほど。
荒井
よくできたドラマでしたよ。
あやや
細かいことを言うと、
東海テレビ制作のフジの昼ドラがなくなって、
「オトナの土ドラ」ということで、
ここに移動させたらしいです。
森下
ああー。
荒井
でも昼ドラっぽさはなかったですよね。
前に仲間由紀恵さんで
『美しい隣人』というのありましたけど、
ドラマの構造としてはあれに近い。
隣に変な人が引っ越してくる、という。
あやや
そうそうそう。
ただ、仲間由紀恵さんって、
ご本人がすごくピュアで、なんというか、
「得体の知れない感じ」というのが
そんなにないじゃないですか。ご本人に。
だから、ドラマとして落ち着いて
観ることができたんですけど、
それをユースケさんがやると‥‥。
──
ほんとにイヤな感じが。
あやや
そうそうそう。
荒井
だって、じぶんちの隣に
ユースケさんが引っ越してくるんですよ。
森下
あああ、ちょっと不気味ですね。
いえ、ドラマの話ですよ、もちろん。
荒井
しかも、そのユースケさんが
殺人罪に問われていながら無罪になった、
という人なんで。
──
ドラマの話ですけどね、もちろん。
あやや
ユースケさん、バラエティでしゃべってても、
ときどき暗さがすごい出るじゃないですか。
森下
目が笑ってないときがあるよね。
あやや
あります、あります。
──
これはほんとの話だな。
あやや
だから、そういうユースケさんの
「素の怖さ」をそのまま出してるから、
キャスティングした人がすごいなと思う。
──
うわ、しかも、ユースケさんに
無罪判決を下した元裁判官の家の隣に
引っ越してくるんだ。
森下
おもしろそうー。
あやや
原作が雫井脩介さんですね。
森下
けっこう売れてる人ですよね。
あやや
これ、おもしろいです。
荒井
うん。
優香さんも追い込まれる役を好演してます。
森下
観てみよっかな。
(次回で最終回。月曜日更新です!)
2016-04-22-FRI