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ガサガサ、ガサガサガサ……。
「おお〜〜〜い、とったぞ〜〜い」
藪のなかからあらわれた、 ナイフを持ったおじさんは でした。
なんでも、シロヤマイグチという ふつうにおいしいきのこなのだとか。 新井さんに教えてもらって とってきたのだそうです。 「俺のお手柄だあ〜」
ふっくらと、ぶあついきのこですねえ。
こののち、このシロヤマイグチは、 きのこチームの長(おさ)の きのこという認識ができました。 つまり、ヌメリササタケは、 さんの。 シロヤマイグチはさん担当。 |
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イグチは漢字で 「猪口」と書くようですが、 このきのこを見て 猪の口の形を連想します? なぜそのような名前がついているのか、 よくわかりません。
猪口とは、きのこ全体を指す古語、 という説もあるみたいですが。
イグチの仲間は、傘の裏が、 シイタケやマツタケのようにひだではなく、 スポンジみたいな 管孔状になっているのが特徴です。
可食とされているきのこですが、 無味無臭なので、 特にありがたみはありません。
(写真/新井文彦) |
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ちゃわん! ちゃわん! これは昨日みたやつです。 (正しくはアラゲコベニチャワンタケ) 昨日見たのだったら なんとか、思い出せるくらいには きのこアイズはストロングに なってきた!
で、これはきのこ汁にいれるのには 適してないんでしたっけね。
「残念ながら。」
‥‥なるほど。 |
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このきのこの形! お菓子の 「きのこの山」に似ているなあ。
写真を整理していて 疑問におもったので、 新井さんにあとで問い合せてみると、 「古くなっちゃっているので、 同定が難しいです。」 とのこと。
そうそう、きのこも 生えてから時間が経つと 枯れた風合いになってくるんですよね。 |
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目的地まで900mのサインですが、 こけがむして、 かなり味わい深くなっています。 かっこいいっす。
で、何まで900m?
オンネトーまで? 900メートル。
この標識も、そのうち森の 一部になってみえなくなっちゃいそう。 木製の物質は、 倒木にほかならない! のではないだろうか! |
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このとき、雨がそれなりに 降り続いていたので、 きのこがしっとり濡れて 本当に美しかった。
ニスがぬられたように つやつやとしているのです。 ああ、これなんかも、 砂糖細工のようで おいしそう。
新井さんにお聞きしたら、 「つるたけ」という 毒キノコだそうです。
「これは毒きのこですね」 と聞かされたとき、 なぜかさんがニヤリと笑います。 「なぜか」ということはないですね。 さんは毒きのこの 話を聞くのが大好きなんです。 本とか、買い込んでますからね。 好きなものは仕方ない。 |
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猛毒のきのこです。 その名も「ドクツルタケ」。 別名、デストロイ・エンジェル。 破壊の天使。 森の中にたたずむ姿は、 じつに美しいのですが‥‥。 緑の中にくっきりと浮かび上がる、白。 まさに天使のよう。 猛毒と聞いて、 現場でも「ひゃあ」とか言ってたんですが 帰ってきて新井さんのエッセイを読んで、 「うっひゃあ!」となりました。 そんなにおそろしかったとは‥‥。 下に続く、新井さんのエッセイと そのリンク先をぜひ、お読みください。 すごいわ、破壊の天使。
奇しくもこの日の さんのいでたち、 ドクツルタケっぽくない?
「森の中にたたずむ姿は、 じつに美しいのですが‥‥。」 え? まじまじまじ? じつに美しい? え? まじまじまじ? ホメてる? ホメてる? あ、ホメてなさそうだね。 破壊と猛毒って。 |
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阿寒2大殺人兵器と言えば、 トリカブトと、このドクツルタケ。 日本有数の猛毒を持つきのこです。 英名からして、 破壊の天使 「Destroying Angel」ですから。
その、毒性については、 こちらをご覧あれ。
秋になると 阿寒の森のあちこちで目にします。 何しろ、白くて大型で とても目立ちますから。
そうそう、きのこの毒、と言えば、 ドクササコ、というきのこの毒が、 身も凍るほど恐ろしいんです。 食べると手足の先が赤く腫れあがり、 焼け火箸を突っ込んだような痛み!が、 なんと、ひと月くらい続くのだとか!!
死ぬようなことはないらしいのですが、 痛みに耐え切れず 「いっそ殺してくれえ」などと、 叫びたくなっちゃうことは 間違いありません。 ひゃあ。
(写真/新井文彦) |
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じゃあ、 あまりに美しいのでもう1枚。
‥‥でもそれ、ほんとうに 微量で死んじゃいますからね、 くれぐれも気をつけてくださいよ。 その指をペロッとか、なめないでよ!
さっきの写真もそうですけど、 茂木さん、 まったくカメラ目線じゃありません。 毒きのこを凝視です。
ふつうこういう時って カメラのほうを見てニコッとか しますよね、ふつうは。
そんなに好きなんすか、毒が! |
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なめたい衝動は たしかにないことはなかった。 けどなめないよ。 本当に天に召されてしまう。 (もしくは地獄におちる。)
でも、しばらくこのように かかげて森をあるきました。 せっかくなので、 裏側だって撮影です。 しかしね、虫がたくさんついてました。 彼らには毒じゃないのね。 |
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昨日の森で教えていただいた ホコリタケも、あちこちにありました。 ぶわっと煙を吐き出す かなりの個性派ホコリタケ。 実はこのきのこ、 幼菌のうちなら食べられるんだそうです。 胞子になる前は マシュマロみたいなんですって。
この写真の白いやつが幼菌です。 「ま、いちおう食べてみますか」 と新井さん。
「きのこを食べる」ことに関しては、 明らかに、 ぼくらと新井さんの温度が異なります。 新井さんはほんとに、 食べることは二の次の様子。 ぼくらも、この森に来てからだいぶ 「目でたのしむ」を覚えましたけれど、 やっぱり‥‥ねえ! おいしいきのこを、そりゃあ食べたい!
ホコリタケ幼菌、 いくつか狩らせていただきました。 どんな味か、たのしみ! |
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森の中の人たちは こんな風にみえています。
アウトドアのウエアは 案外派手ですね。
そうそう、このオンネトーへの道は、 昨日よりもちゃんと道道しています。 この道の両側みてあるくだけで 「きのこ狩り(for アイズ)」のほうは だいぶ満足できます。 「きのこ狩り(for ストマック)」は ちょっと道なき場所に わけいる必要がありそうです。 |
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倒木には、きのこだけではなく、 樹木の芽がはえていることがあります。
森のなかでは下草が生えているので、 木の芽が日光を浴びることができず 枯れてしまうことがおおいんだそうです。 でも、倒木の上だと下草もないし、 倒木が栄養源にもなるし、 周りにはえたコケが 湿度を保ってくれるので 新芽にはすごくいい場所なんだそうです。
なるほどね〜〜〜!! 倒木ってすごい! きのこはやすわ、 樹木そだてるわ。
われわれ、ほぼ日は 毎日11時に「更新」があります。 なので「更新」という言葉が、 とても身近な存在なのです。 そして、 倒木も「更新」するんかい! ということが、びっくりだったし 「倒木」と「更新」という言葉が 頭の中ではむすびつきようもない 場所にあったので、 この言葉を教えてもらって以来 何かと 「倒木更新だ!」と連呼していました。 ああ、また口に出して言いたい。 「倒木更新」。 いい言葉。 |
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この木ね、 きのことは関係ないんだけど、 すごいんですよ。角角しちゃって。
稜さんに聞いてみたところ、
「折れて、 そのままのびちゃったんですねきっと」 とのこと。 そんなことってあるんだ! めずらしいなぁ、森って。 |
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いけない、また下ばかり見てた。 たまには上のほうも見ないと 森がもったいない。
ああー、 弾丸を撃ち込まれたような キツツキのつつき痕はやっぱりすごい。 そしてあの大きめの穴は? エゾモモンガの巣なんだそうです。 もしかしたら今、 あのなかでモモンガが寝てるの? そう思うだけで、また楽しい! |
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地衣類というやつも、 様々な種類が目の前にあらわれます。
これは、きれいな空気じゃないと 生きていけない地衣類だそうで。
地味なんですけどねー。 森の中では 「地味だ」なんてひとっつも思えない。 すべてが新鮮で、面白くて、綺麗。
新井さんたちのガイドが とてもほどよくて、 素直に自然に 「いいよなぁ」と思うんです。
新井さんや、稜さんが 「これは、ちいるいです」と よく教えてくれたのですが、 そもそも 「ちいるいって何?」状態でした。 まさか、こんな字を書くだなんて。 かわいいですね。「ちいるい」も。 網みたいで。 お洋服につけたら、すてきですよね。
森では、 知らない単語がたくさん出てきます。 |
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サルオガセの仲間は日本で 40種類以上、 北海道でも 10種類以上確認されているのだとか。
種類が多くて、 それぞれが似ているので、 なかなか個別に 名前を覚えるのが難しいです。
大気汚染に弱いとされ、 きれいな空気があるところでしか 生息できないので、 環境指標のひとつとされています。
木からぶらぶら 垂れ下がったりしてますが、 サルオガセは、地衣類なので、 木に寄生して養分を 吸い上げているわけではありません。 念のため。
(写真/新井文彦) |
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森の向こうに水が。
「あちらが オンネトーですよ。」
わー。 たくさんの水をみると 妙にうかれますね。
「もうちょっと近くにいくと わかるとおもいますが、 水の色が不思議な色を しているんですよ〜。」
この、ジャストなタイミングで わくわくさせることを 聞かせてくれる新井さん。
(水際に向かいつつ、 つづきますよーー) |
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