行ってきましたね、チェコ大使館。 | |
行ってきました。 正しくは、 「チェコ共和国大使館内チェコセンター」に。 |
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『アマールカ』のお話や、 「おやすみアニメ」のことは訊けました? |
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もちろんです。 いろいろ教えてくださったのは、こちら、 チェコセンター所長、ホリー・ペトルさんです。 |
おお、すばらしい‥‥。 通訳のかたを介してのインタビューって、 難しかったでしょう? |
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それが、まさかの‥‥ | |
え? どうしたの? | |
ま、とにかくインタビューをお読みくださーい。 |
ホリー・ペトルさんのプロフィールはこちら | |
ようこそいらっしゃいました、 本日はよろしくお願いいたします。 |
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よ、よろしくお願いします。 ‥‥あの、めちゃくちゃ日本語が流暢で。 |
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いやいや、ぼくなんか、とんでもないです。 |
『アマールカ』のお話に行く前に、 ホリーさんのことをうかがわせてください。 日本にいらして何年になるんですか? |
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えーとですね、1998年に来日しまして、 ずっといますので、ほぼ13年ですね。 でもその前に1年いたので、通算では‥‥ |
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通算! しぶい日本語がつるつると(笑)。 |
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14年と、ちょっとになります。 | |
はあー、 こんなに日本語が上手な外国のかたって‥‥ |
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いるでしょう、ほかにいくらでも。 | |
いやぁ、いないですよ。 | |
J-WAVEとかに。 | |
たしかに、J-WAVEにはいます(笑)。 |
ね、いるでしょう。 | |
ホリーさん、年齢はおいくつで? | |
39。 子年ですね。 |
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ねずみどし(笑)。干支までも! | |
日本には、歌舞伎を学びたくて来たんです。 なので2006年までは、大学院の博士課程で その勉強を続けていました。 |
このチェコセンターに入って、 何年ぐらいなんですか? |
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卒業した年に入ったので、かれこれ5年目ですね。 いまはここで、 チェコのアニメを紹介させていただいたり、 そういう仕事をしています。 みなさんのお力を拝借しながら。 |
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拝借(笑)。 | |
チェコのアニメには ものすごい歴史と伝統があります。 でも、実はわたし、それには門外で。 |
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ん? なんですか? もんがい‥‥?? | |
あ、門外っていうのは、門の外ね。 その分野を専門としてないということ。 専門外だから詳しくない、という意味です。 |
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門外。 覚えました、ありがとうございます。 |
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ですから、アニメのことは勉強不足なのですが、 すこしでもお役に立てればと思いながら、 チェコの文化を伝える仕事をしているわけです。 |
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なるほど。 ではそろそろ『アマールカ』のお話を。 |
はい、『アマールカ』のお話。 すごいですねぇ、これが日本で紹介されるとは。 |
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ホリーさんも、 『アマールカ』を観て育ったんですか? |
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そうですね。 これはどちらかというと女子向けですけど。 |
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女子向け。 | |
でも、おもしろいから観てはいるんです。 わけがわからない、カッパとか出てきますし。 |
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カッパ(笑)。 |
キノコを食べてハイになったり。 子どもに見せていいのか? みたいな(笑)。 |
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そうそう、チェコのアニメって、 そういうダークな部分がありますよね。 |
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ありますね。 チェコのアニメは、かわいいだけじゃないです。 |
『アマールカ』は、 「おやすみアニメ」だって聞いたんですけど、 チェコでは寝る前にアニメをみるような、 そんな習慣があるんでしょうか? |
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チェコでは1965年からずっと、今も、 『ベチェルニーチェク』っていう、 子ども向けのアニメを放送する番組があるんです。 その番組では、 この『アマールカ』や『クルテク』など、 いろいろなアニメーションが上映されます。 |
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『クルテク』は日本でも人気者になりましたよね。 | |
はい、とても人気者に。 それで、チェコの子どもたちは、 午後7時からはじまる10分間の そのアニメ番組をみて、 お風呂に入って、歯を磨いて、 ベッドに向かうっていうのが‥‥ |
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ほんとうに、習慣としてあるんですね。 | |
『ベチェルニーチェク』の最後には、 一輪車に乗ったキャラクターが出てきて、 「おやすみなさい」って言うんですよ。 |
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わー、まさに「おやすみアニメ」だ。 |
『アマールカ』は、たしかぜんぶで13話で、 その13話を、1970年代から、 もう何度も繰り返し放送してるんですよ、 わたしも子どものころ、ずいぶん観ています。 |
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13話を何度も再放送。 | |
同じものを何回もみてるのに、 テレビで流れたら観ちゃうんですよ。 不思議ですね。 |
その感覚って、絵本を読むのに似てますね。 好きな絵本は、何回でも読みたくなる。 |
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たしかに、動く絵本ですね。 これを描いてる人たちは、 だいたいが絵本作家でもあるんです。 |
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へぇー、そうなんですかぁー。 |
『ベチェルニーチェク』は、 ほんとうに子どもたちが大好きな番組です。 だから「観ちゃいけない」って言われると、 それはつらかったですねぇ。 |
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おしおきとして? | |
そうです、罰として。 たとえば、学校で悪い点数をもらいました。 黙って親に言わないでいます。 それがばれると、1週間は観られない。 これは大変でしたよ。 |
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つらい(笑)。 | |
すごくいやだ。泣く。 | |
泣く! | |
うそじゃなくて、ほんとに泣きました。 | |
へええーー、そんなに人気なんですね。 ‥‥なるほど、ありがとうございます。 「おやすみアニメ」のことがよくわかりました。 ええと、つまり、 「おやすみアニメ」っていうのは、 子どもたちが寝る前にみるから 「おやすみアニメ」なんですね。 観るとねむくなるからではなくて。 |
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そうですね。 でも日本でリ・サウンドされた『アマールカ』は、 とてもリラックスできるものだと思います。 |
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チェコのオリジナルとは、だいぶ違うんですか? | |
違います。 音楽も違うしナレーションも違う。 ナレーションは、おじさんの声なんですよ。 |
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おじさんが、アマールカの声を? | |
そうそう、それがいい味わいなんです。 日本版とはまた別の深みがあって。 |
あの‥‥ホリーさんにこんなことを言うのも へんな話なんですけど。 |
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はい、なんでしょう。 | |
わたしは夜に熟睡できていないせいか、 会社でよくねむくなるんですよ。 |
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ああ、ぼくもそうです。うとうとします。 | |
‥‥どうすればいいんでしょうか。 | |
うーーん‥‥どうしましょうねぇ(笑)。 | |
『アマールカ』を観れば、熟睡できるでしょうか? | |
さっきも申し上げたように、 日本版の『アマールカ』はリラックスできるので、 ぐっすり眠れる効果があるのかもしれません。 |
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はい。 | |
実は今回、日本版の『アマールカ』を 制作された方々にお会いして、 久しぶりにDVDで『アマールカ』を観たんです。 それこそもう、30年ぶりくらいで。 |
30年ぶり。 | |
そしたら、 「あ、こんな話だったんだ」って思いました。 「こういう意味だったのか」って。 当時は気づかなかった教訓とかが、 こう、婉曲的に表現されていて、 深いなぁと思いましたねぇ。 ですから、音楽もナレーションも リラックスできるんですが、 深いところを考えはじめると‥‥ |
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どうなりますか‥‥? | |
逆に寝れなくなりそうです(笑)。 | |
な、なるほど! よくわかりました、ありがとうございました。 |
お疲れさま! | |
どひゃーーー。 | |
いいインタビューだった。 | |
いろんなことがわかったよ。 | |
うん、おもしろかった。 なにしろホリーさん、すばらしい人でしたね。 |
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ほんとうに親切で、あかるくて、 緊張せずにお話ができました。 |
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よかった、よかった。 | |
で、あたしが『アマールカ』を観るときに、 気をつけるポイントもわかった気がする。 |
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それはなんでしょう。 | |
とにかく、なんにも考えないで観る。 | |
‥‥うん。 ぼくも、それがいいと思う。 |
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深く考えるのはあたし、門外だから。 |
(次回はアマールカのイベント会場からの
レポートをお届け。つづきまーす)