「これをやりなさい」ということを、いっさい聞かなくていい世界がある。 前川清さん、糸井重里とともに、矢野顕子さんに会う。 「これをやりなさい」ということを、いっさい聞かなくていい世界がある。 前川清さん、糸井重里とともに、矢野顕子さんに会う。
前川清さんと矢野顕子さんは、たがいに何十年ものキャリアを持つ音楽家ですが、関わってきた音楽の種類と仕事のしかたが、少しずつ違っていました。このたびふたりがデュエットソングを歌うことになり、改めてその「違い」に驚くことに。糸井重里をまじえて、いま、「歌に対する考え」がじわりとスパークします。全8回、前川さんが次の扉を開くまで、ぜひおたのしみください。 前川清さんと矢野顕子さんは、たがいに何十年ものキャリアを持つ音楽家ですが、関わってきた音楽の種類と仕事のしかたが、少しずつ違っていました。このたびふたりがデュエットソングを歌うことになり、改めてその「違い」に驚くことに。糸井重里をまじえて、いま、「歌に対する考え」がじわりとスパークします。全8回、前川さんが次の扉を開くまで、ぜひおたのしみください。
第2回 矢野さん、前川さんの声が活きる場所をさがす。
写真
糸井
けれども前川さん、
矢野顕子の「ブルーノート」は、
普通のステージじゃないですよ。
矢野
あそこには天変地異のような状況が(笑)。
前川
じつは、ほかの人のショーを見るのは、
ぼくはほとんどはじめてだったんですが、
やっぱり見るもんですねぇ。
いろいろ勉強になりました。



矢野さんはお客さんに
「手拍子をしなくていいですよ」と
ステージでおっしゃることがありましてね。
矢野
はい、そうですね。
前川
手拍子ってね、
最初は100人がやっていても、
途中でそのうちの20人はやめてしまいます。
最後までは、やりませんね。
写真
糸井
うん、そうね。
前川
「そうか、これいいな、よしぼくも使おう」って、
矢野さんの考えを逆にして、
コンサートでやらせていただくことにしました。
ぼくは、逆に、お客さんに
「手拍子をしてください」と言ったんです。



それは、オールディーズかなにかの
たのしい歌のときでした。
ドラムもやめてもらって、いきなり、
お客さんの手拍子だけで歌うことにしたんですよ。
最初に手拍子ではじめて、
「そこに歌が入りますから」と、歌い出す。
ぜんぶを手拍子で演奏すると、
お客さんも責任をもって最後までやります。
矢野
責任もって。いいことだ。
前川
2000人の会場で手拍子で歌うのは
おもしろかったです。
矢野さんにいいことを教えてもらいました。
糸井
1000人単位だと、手拍子の時間が
後ろと前でずれたりしませんか? 
前川
ずれはあります。ですから結局は、
前の方の手拍子に合わせて歌うんですけれどもね。
糸井
アッコちゃんは、手拍子をお客さんに
させるところはさせるけど、
おおまかには禁止ですよね。
写真
矢野
そうですね。
「私よりリズムがいいと思う人はやってもいいです」
と、ちょっと嫌な言い方をします。
糸井
うん、わざとね。ほんとに困るからなんだよね。
前川
どうしてもずれますからね。
矢野
例えばロックコンサートで、
みんなで手拍子をするのが礼儀のひとつだと
いうことがあるとすれば、
そこで手拍子をするのは当たり前のことです。
でも、そうじゃないショーもあります。



かなり厳密にリズムを取る演奏の場合、
手拍子が入ると、バンドはほんとうに
大変な状態になります。
だから、そういう楽曲の場合のみ、
手拍子がはじまった時点で
「私よりいいリズムが取れる人は」という
話をします。
糸井
アッコちゃんは「どうぞ」というときもあるし、
使いわけてるよね。
矢野
手拍子に向いている曲もありますからね。
でも、前川さんのその手拍子は
「手拍子することで前川清を支えている」
という気持ちになれる、
すごくいい演出だと思います。
前川
だいたいね、ぼくの歌の場合、
手拍子する人じたいが少ないんです。
同じ「きよし」でも氷川くんの場合は、
ペンライトも1000人単位で持ってるんですよ。
ぼくなんかのステージだと10人前後です。
しかも別れ歌や暗い歌になってくると、
振りたくないですよね、これは。
写真
矢野
(笑)
前川
10個あったペンライトが、
コンサートの途中で下がって、
最終的にはみなさん、消してますからね。
ぼくにはペンライトより、ろうそくが合います。
70歳過ぎてこの先、矢沢永吉さんのように
やればいいのかもしれないけれども。
糸井
そういう意味では前川さん、矢野顕子の次は
永ちゃんのステージを見たほうがいいですよ。
永ちゃんは、そこにかけてますから。
矢野
3人、同い年ぐらいですか?
糸井
永ちゃんが1つ下。
この同じ時代に育った感はあります。
矢野
ああ、いいねぇ。
糸井
みんな根っこに
プレスリーやビートルズがあると思います。
前川さんも、曲調によっては
歌唱法を変えることもありますよね。
写真
前川
ぼくは意外と、歌によって
声や歌い方を変えるほうなんです。
抑えめにいくこともあれば、
ガツーンとぶつける歌もあります。



そういう意味では、
今回矢野さんと歌わせていただいた歌、
たぶんこれは、
ひとりで歌っていたとしたら、
ぜんぜん違う歌い方をしていたでしょうね。
矢野
うん、わかります。
糸井
そうか。
前川
ぼくは当初、全く違う歌い方を想像していました。
けれどもレコーディングで
矢野さんの声が聞こえてきて、
「あ、じゃあこういうふうにしてみようかな」
という気になりました。
矢野
私はというと、もうこれは最初から
前川さんと歌うことを大前提としていました。
♪ライラララ~ タアアア~ン♪ のあと、
少しビブラートがつくだろうなぁと想像して、
自分も♪ンンンン~♪とつけていく。
現場の相互作用もすごくありましたね。
でも今回、私が最も考えたのは、音域のことです。
前川
それはもう、助かりましたよ。
糸井
どういうことでしょう?
矢野
この「あなたとわたし」という歌を作る前に、
前川さんの歌のYouTubeを、
まず見られるだけ見ました。
これまで長く歌ってらっしゃるから、
それはもう、いろんな映像が出てきました。



前川さんの音域については、
糸井からも「高い音域も出す」と聞いていて、
映像を見るにつけ「なるほどなー」と思いました。



歌手ってみんな
「歌いやすい音域」と
「自分がいちばん素敵に聞こえるところ」があって、
それはちょっとずれています。
前川
はい、はい、違いますよね。
矢野
それで
「前川さんが活きるところはどこだろう」
と、映像をくまなく見ながら探りました。
それにいちばん時間かけたんじゃないかな。
写真
糸井
ほおぉ。
前川
それが、ほんとうにありがたいです。
自分ではわからない声の響きがあります。
「ここはいいな」というところは、
意外とわかってないものなんですよ。
糸井
本人は出してて苦しいんだけど、
人はそれをたのしみにしてる、ということもあるよね。
「大丈夫なのかな?」という声に、
なんだか切実感があって。
矢野
それもありますね。
男性と女性のデュエットで
ふたりが気持ちよく合わせられるキーは、
すごく難しいんです。
らくに合わせられるのは
槇原敬之くんぐらいのもんでね。
(明日につづきます)
2018-11-21-WED
矢野顕子さんのNEWアルバム
ふたりぼっちで行こう
<2018年11月28日発売>
ふたりぼっちで行こう
前川清さんとのデュエットソング
「あなたとわたし」が収録された
矢野顕子さんの新しいアルバムです。
矢野さんが、このところステージでも展開されている
コラボレーション演奏の音楽を、
ひとつのアルバムパッケージで、
すみずみまで聞くことができる貴重な1枚です。
前川さん以外の参加アーティストは
下記のとおり(順不同敬称略)。
Reed and Caroline/吉井和哉/YUKI/
奥田民生/鹿の一族/大貫妙子/
上妻宏光/U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS/
平井堅/細美武士

このアルバムについて、くわしい情報は
特別サイトをごらんください。

Amazonでのお買い求めはこちらへ。



また、年末恒例の矢野顕子さんの
「さとがえるコンサート2018」も
開催されます。
(全席指定:¥7,560)



12月2日 埼玉県 三郷市文化会館

開場 17:30/開演 18:00



12月4日 大阪府 サンケイホールブリーゼ

(SOLD OUT)

開場 18:30/開演 19:00



12月5日 愛知県 名古屋芸術創造センター

(SOLD OUT)

開場 18:30/開演 19:00



12月9日 東京都 NHKホール

(SOLD OUT)

開場 17:15/開演 18:00



12月11日 宮城県 仙台電力ホール

開場 18:00/開演 18:30
年末年始に前川清さんの
ディナーショーや公演があります
12月2日

ランチ・ディナー付 

前川清&クール・ファイブショー

由良温泉 八乙女 夕陽の間(山形県)

開場・食事/12:00~ ショー/13:30~

開場・食事/18:00~ ショー/19:30~

昼S席27,000円 A席24,000円 B席22,000円  
夜(宿泊)S席31,000円 A席28,000円 B席26,000円 
(日帰り)B席22,000円



12月16日

クリスマスディナーショー2018

ホテル日航金沢(石川県)

一部 ディナー17:30~/ショー18:30~

二部 ディナー20:30~/ショー21:30~

S席 35,000円 A席 33,000円



12月23日

クリスマスディナーショー2018

ホテルニューオータニ幕張 鶴の間(千葉)

開場/17:45~ 食事/18:00~ 

ショー/19:30~21:00

一般 39,000円



12月25日

クリスマスディナーショー2018

ホテルオークラ福岡(福岡)

受付17:30 食事18:00 ショー19:30

全席指定 38,000円



各ディナーショーの申込みに関しては
前川清さんのステージスケジュールページ
ごらんください。



2019年1月24日(木)~2月4日(月)

50周年記念 前川清特別公演 明治座

第1部「どたばたショータイム! 冷たくしないで」

第2部「50周年記念 前川清 スペシャルステージ」

S席12,000円/A席8,500円/B席6,000円



明治座公演のお申し込みについては
明治座のサイトをごらんください。