「これをやりなさい」ということを、いっさい聞かなくていい世界がある。 前川清さん、糸井重里とともに、矢野顕子さんに会う。 「これをやりなさい」ということを、いっさい聞かなくていい世界がある。 前川清さん、糸井重里とともに、矢野顕子さんに会う。
前川清さんと矢野顕子さんは、たがいに何十年ものキャリアを持つ音楽家ですが、関わってきた音楽の種類と仕事のしかたが、少しずつ違っていました。このたびふたりがデュエットソングを歌うことになり、改めてその「違い」に驚くことに。糸井重里をまじえて、いま、「歌に対する考え」がじわりとスパークします。全8回、前川さんが次の扉を開くまで、ぜひおたのしみください。 前川清さんと矢野顕子さんは、たがいに何十年ものキャリアを持つ音楽家ですが、関わってきた音楽の種類と仕事のしかたが、少しずつ違っていました。このたびふたりがデュエットソングを歌うことになり、改めてその「違い」に驚くことに。糸井重里をまじえて、いま、「歌に対する考え」がじわりとスパークします。全8回、前川さんが次の扉を開くまで、ぜひおたのしみください。
第3回 バンド、声の持つ情報量を知る。
写真
前川
男女デュエットは確かに難しいですね。
ぼくなんかのキーだと、低い声が出ません。
矢野
この歌では、前川さんが
いちばんすてきに聞こえるところを考えて
合わせました。
そして、本番を迎えたんですけれどもね、
「じゃあちょっと歌ってみましょうか?」
なんて言って‥‥。
糸井
うん、うん。
矢野
スタジオには、ピアノ担当の私、
ほかにベースとドラムがいました。
前川さんが歌いはじめたら、
3人が顔を見合わせて
「ああ‥‥」と声が出ちゃった。
糸井
前川清というボーカリストに対して?
矢野
そう。
そのときからパンッと、
自分たちはその伴奏を作る役目になりました。
「歌のための私たち」に、
すぐになったんです。
糸井
そりゃずいぶんカッコいいね。
矢野
声のツヤ、存在感、
プロの歌い手が持つ重み、
声の情報量の多さが、
とにかくすごいわけですよ。
糸井
声が持ってるんだ。
写真
矢野
うん。それが、
ピアノを弾きながら耳にかけていた
ヘッドフォンにボンッと来たときの
うれしさがたまらなくありました。
ベースもドラムも
全く同じ気持ちだったと思います。
「この歌を支えることができるんだ」
というありがたさを、すごく感じました。
前川
まいりましたね。
糸井
アッコちゃんがTwitterで言ってたけど、
スタッフ一同、感激だったんだよね。
矢野
もう、だってほんとにそうだよ。
でもそれはね、
誰が歌ってもなるわけじゃない。
やっぱり前川さんだからです。
声が入った途端、
私は「あ、できた」と思いましたね。
写真
前川
そうですか‥‥。
糸井
ご自分は、そのように
まわりが感じていたことは?
前川
ぼくがそのとき感じたのは、
矢野さんがおっしゃるとおり、キーのことです。
ぼくが調子の出るキーに合わせてもらっているから、
矢野さんにとって気持ちのいい
トーンではないだろうな、
ちょっと高めで歌ってらっしゃるんだな、
気を遣っていただいたんだ、
ということをまず感じました。
だから、その段階で
ぼくに歌をちゃんと歌わせようと
なさっていることがわかりました。



なにせ、これまでぼくがどこかに呼ばれて
喜ばれることがあったのは、
プロデューサーの方から言ってもらえる
「前川さん、来てもらってうれしいです、
ドリフに出てらしたときよく見てました」
くらいでしたから。
歌のことは誰も言わないです。
写真
矢野
えぇ、ほんとに?
糸井
アッコちゃんの
「ちょっと歌ってみましょうか?」
という声のかけ方も、よかったんじゃないかな。
前川さんはご自身でもおっしゃってるけど、
練習のときの歌がものすごくいいんですよね。
前川
で、本番になるとダメなんです。
矢野
緊張なさるって聞きました。
糸井
ほんとにそうみたいですよ。
前川
めっちゃくちゃです(笑)。
テレビは特にダメです。
矢野
テレビは緊張しますよ。
前川
そのままの自分を出せばいいんだけど、
よく見せようとするんでしょうね、
そこでダメになる。
糸井
何十年もやってるじゃないですか。
矢野
ねぇ?
前川
経験があって、年を取れば取るほど、
失敗するのが怖いんでしょうね。
糸井
同じテレビでも、旅番組のときはどうですか?
写真
前川
旅番組はなんともないです。
矢野
それなぜですか?
前川
あれは仕事じゃないからですよ。
歌は好きでやってるわけじゃなくて、
仕事としてやってます。
仕事だから一所懸命なんですよ。



ただ一所懸命に歌ってるだけで、
たのしいとも思わない。
つまり「仕事で失敗しちゃいけない」と
思ってるからなんでしょうね。
写真
矢野
失敗したくなくて緊張する、ということだけですか?
前川
そうです。
ステージの下で、
客席をまわりながら握手して歌うのはいいのに、
舞台の上にあがるとダメなんです。
矢野
テレビやライブ録音なんかの一発勝負って、
私もすごく緊張しますよ。
だからもう、オリンピックなんてものに
出た日にはさぁ、ねぇ、
みんな失敗しちゃうのと同じで、
それはあってもしょうがないこと
なんじゃないでしょうか。
糸井
アッコちゃんもそれあるの?
矢野
やっぱりテレビで演奏するのは緊張します。
前川
でも矢野さんの音楽って、
「間違い」がわからないですよね。
矢野
そういう利点もあります。
でも「あきらかに間違う」ということも
私にはありますよ。
年齢的にも集中が続かなくなってくるし。
前川
それはありますね。
昔だったら音程を、
「低い、低い」と思って
がんばって上げてたりしたけど、
最近はもう、
「低い‥‥、あ、もういいか」とあきらめたりします。
矢野
(笑)集中力ねぇ‥‥、
これね、ほんとにそうなのね。
糸井
そんなの、ぼくは昔からそうだからぜんぜん平気だよ。
写真
矢野
あ、そうだった。
糸井
集中力はずーっとないもん。
矢野
私が集中できるのは
ピアノを弾いているときだけです。
あとは対談とか打ち合わせとか、
まったく集中力はありません。
糸井
それは「ない」って決めたほうがいいよ。
(明日につづきます)
2018-11-22-THU
矢野顕子さんのNEWアルバム
ふたりぼっちで行こう
<2018年11月28日発売>
ふたりぼっちで行こう
前川清さんとのデュエットソング
「あなたとわたし」が収録された
矢野顕子さんの新しいアルバムです。
矢野さんが、このところステージでも展開されている
コラボレーション演奏の音楽を、
ひとつのアルバムパッケージで、
すみずみまで聞くことができる貴重な1枚です。
前川さん以外の参加アーティストは
下記のとおり(順不同敬称略)。
Reed and Caroline/吉井和哉/YUKI/
奥田民生/鹿の一族/大貫妙子/
上妻宏光/U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS/
平井堅/細美武士

このアルバムについて、くわしい情報は
特別サイトをごらんください。

Amazonでのお買い求めはこちらへ。



また、年末恒例の矢野顕子さんの
「さとがえるコンサート2018」も
開催されます。
(全席指定:¥7,560)



12月2日 埼玉県 三郷市文化会館

開場 17:30/開演 18:00



12月4日 大阪府 サンケイホールブリーゼ

(SOLD OUT)

開場 18:30/開演 19:00



12月5日 愛知県 名古屋芸術創造センター

(SOLD OUT)

開場 18:30/開演 19:00



12月9日 東京都 NHKホール

(SOLD OUT)

開場 17:15/開演 18:00



12月11日 宮城県 仙台電力ホール

開場 18:00/開演 18:30
年末年始に前川清さんの
ディナーショーや公演があります
12月2日

ランチ・ディナー付 

前川清&クール・ファイブショー

由良温泉 八乙女 夕陽の間(山形県)

開場・食事/12:00~ ショー/13:30~

開場・食事/18:00~ ショー/19:30~

昼S席27,000円 A席24,000円 B席22,000円  
夜(宿泊)S席31,000円 A席28,000円 B席26,000円 
(日帰り)B席22,000円



12月16日

クリスマスディナーショー2018

ホテル日航金沢(石川県)

一部 ディナー17:30~/ショー18:30~

二部 ディナー20:30~/ショー21:30~

S席 35,000円 A席 33,000円



12月23日

クリスマスディナーショー2018

ホテルニューオータニ幕張 鶴の間(千葉)

開場/17:45~ 食事/18:00~ 

ショー/19:30~21:00

一般 39,000円



12月25日

クリスマスディナーショー2018

ホテルオークラ福岡(福岡)

受付17:30 食事18:00 ショー19:30

全席指定 38,000円



各ディナーショーの申込みに関しては
前川清さんのステージスケジュールページ
ごらんください。



2019年1月24日(木)~2月4日(月)

50周年記念 前川清特別公演 明治座

第1部「どたばたショータイム! 冷たくしないで」

第2部「50周年記念 前川清 スペシャルステージ」

S席12,000円/A席8,500円/B席6,000円



明治座公演のお申し込みについては
明治座のサイトをごらんください。