第8回 背伸びの分だけ変化する

糸井 きっと荒井さんは、
大学生になったころに自分が描いてた絵とか
全部、記憶に残ってると思うんですけど。
荒井 うん、覚えてます。
糸井 それはなんでした?
荒井 えっとね、中学校のときから
チャーリー・ブラウンが好きだったんです。
シュルツが好きだったんですよ。
糸井 シュルツ!
スヌーピー、つまり、
『ピーナッツ』の作者ですね。
そうきたかー(笑)。
荒井 あんなふうに描きたいと思ったんですよ。
こう、洒脱っていうか、
ちょいちょいっと描いて‥‥
いや、もちろんシュルツはあれを
ちょいちょいと描いてるわけじゃ
ないと思いますけど、
こう、さらっとした小っちゃい絵が
雑誌の片隅に載っていて、
見た人が「誰が描いたんだろう?」って
名前を探したくなるような。
糸井 あー、いいですねぇ。
荒井 こういう人になりたいなぁと
最初に思ったのが、
シュルツだったんですよね。
糸井 じゃあ、そんなふうな絵を、もうすでに。
荒井 めざしてました。
その前は赤塚不二夫さん。
糸井 はいはいはい。
荒井 山形でTシャツにマジックで
ニャロメとか描いてましたね。
それを見て友だちが欲しがるから
友だちのTシャツにも描いて。
糸井 ああー、それは、よくわかる。
永島慎二のあたりまで、
ぜんぶつながりますね。
荒井 (笑)
糸井 たしかにね。
太めのマジックみたいな筆記用具で
気持ちよく描くというか。
で、線に自由さと、速度があって。
荒井 うんうん、そうです。
糸井 っていうことですよね。
ああ、よくわかるなぁ。
そうか、根っこはシュルツでしたか。
荒井 うん。
イラストレーターっていう言葉も
よくわかってないころから、
こういう人になりたいなあって思ってました。
チャーリー・ブラウンの世界が
好きだったんですよね。
ほら、あのマンガって、
どこで笑ったらいいかわかんないでしょう?
糸井 はい(笑)。
荒井 それがなんか、かっこよくて。
で、中学校に持って行って
「どうおもしろいでしょ」
とか言って見せるんだけど、
みんな「わからない」って言って(笑)。
糸井 ははははは。
荒井 なんか、ため息ついて
終わったりするんですよね、最後ね。
なんで、どうして、
ため息がおもしろいんだろう、と。
一同 (笑)
荒井 でも、そこがかっこいいなぁって。
糸井 つまり、背伸びですよね。
荒井 うん、そうそう。
糸井 その背伸びの分だけ、
自分が変化するんですよねえ。
荒井 うん。そうだと思う。
糸井 わかるなぁ(笑)。
(つづきます)


なんというか、心配症の兄貴が妹に
「人生ってのは‥‥」って語っているような感じがします。
お兄ちゃんという存在に憧れていた私は、
「そうだね」って思ったり、
「お兄ちゃん、考えすぎだよ」って突っ込みながら読んでます。
いろんなことが起こって疲れてくると、
自分のことが後回しになったり
おろそかになったりするんです。
そういう時に『きっちり生きろよ』って、
いわれてる気がします。
私は67ページを読んだ日に、自分の爪を切りました。
髪を切りました。そして、部屋の掃除をしました。真剣に。
(ばんこ母さん)

「呼び水」の役って、僕も結構好きですね。
通夜の楽しくなる故人目指して
日々そこそこ頑張っていこうと思いました。
(さるよ)



2010-06-22-TUE