糸井 |
きっと荒井さんは、
大学生になったころに自分が描いてた絵とか
全部、記憶に残ってると思うんですけど。 |
荒井 |
うん、覚えてます。 |
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糸井 |
それはなんでした? |
荒井 |
えっとね、中学校のときから
チャーリー・ブラウンが好きだったんです。
シュルツが好きだったんですよ。 |
糸井 |
シュルツ!
スヌーピー、つまり、
『ピーナッツ』の作者ですね。
そうきたかー(笑)。 |
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荒井 |
あんなふうに描きたいと思ったんですよ。
こう、洒脱っていうか、
ちょいちょいっと描いて‥‥
いや、もちろんシュルツはあれを
ちょいちょいと描いてるわけじゃ
ないと思いますけど、
こう、さらっとした小っちゃい絵が
雑誌の片隅に載っていて、
見た人が「誰が描いたんだろう?」って
名前を探したくなるような。 |
糸井 |
あー、いいですねぇ。 |
荒井 |
こういう人になりたいなぁと
最初に思ったのが、
シュルツだったんですよね。 |
糸井 |
じゃあ、そんなふうな絵を、もうすでに。 |
荒井 |
めざしてました。
その前は赤塚不二夫さん。 |
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糸井 |
はいはいはい。 |
荒井 |
山形でTシャツにマジックで
ニャロメとか描いてましたね。
それを見て友だちが欲しがるから
友だちのTシャツにも描いて。 |
糸井 |
ああー、それは、よくわかる。
永島慎二のあたりまで、
ぜんぶつながりますね。 |
荒井 |
(笑) |
糸井 |
たしかにね。
太めのマジックみたいな筆記用具で
気持ちよく描くというか。
で、線に自由さと、速度があって。 |
荒井 |
うんうん、そうです。 |
糸井 |
っていうことですよね。
ああ、よくわかるなぁ。
そうか、根っこはシュルツでしたか。 |
荒井 |
うん。
イラストレーターっていう言葉も
よくわかってないころから、
こういう人になりたいなあって思ってました。
チャーリー・ブラウンの世界が
好きだったんですよね。
ほら、あのマンガって、
どこで笑ったらいいかわかんないでしょう? |
糸井 |
はい(笑)。 |
荒井 |
それがなんか、かっこよくて。
で、中学校に持って行って
「どうおもしろいでしょ」
とか言って見せるんだけど、
みんな「わからない」って言って(笑)。 |
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糸井 |
ははははは。 |
荒井 |
なんか、ため息ついて
終わったりするんですよね、最後ね。
なんで、どうして、
ため息がおもしろいんだろう、と。 |
一同 |
(笑) |
荒井 |
でも、そこがかっこいいなぁって。 |
糸井 |
つまり、背伸びですよね。 |
荒井 |
うん、そうそう。 |
糸井 |
その背伸びの分だけ、
自分が変化するんですよねえ。 |
荒井 |
うん。そうだと思う。 |
糸井 |
わかるなぁ(笑)。 |
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(つづきます) |