糸井 |
最初にイラストレーターとして
石津祥介さんが「決めたよ」って
言ってくれたこととか、
その後に清水達夫さんていう編集者が、
馬と騎手の関係みたいにして、
長いことずっとつきあってくれたこととか、
その後に松原壮夫さんが現れるとか、
大橋さんて、すごいですね。 |
大橋 |
ええ、すごいでしょ。 |
糸井 |
その引きが。 |
大橋 |
そうなんですよ。 |
糸井 |
クジ引くごとに当たってるみたいな。 |
大橋 |
ほんとにそう思います。 |
糸井 |
そのへんについても、
絶対に絵以外にも
理由があると思いますね。
運の話に持って行くつもりはないんですが。 |
大橋 |
いえいえ、それはほんとに。 |
糸井 |
僕、こうやって大橋さんと
喋るようになってからって、
せいぜい2、3年ですよね、 |
大橋 |
はい。 |
糸井 |
『婦人公論』の座談会に来ていただいて、
それがきっかけで喋るようになって。
それまでは存在は
存じ上げてたんですけど。 |
大橋 |
ええ、私もです。 |
糸井 |
とにかくね、初めて会ったときから、
楽なんですよ。
大橋さんと話してるのが。
きっとアートディレクターとか編集者も
そうだったんじゃないかなあと思うんです。 |
大橋 |
いえ‥‥。 |
|
|
糸井 |
気難しいですか、ほんとは? |
大橋 |
やっぱり、若いときにはね、
よく喧嘩するっていう
タイプだったんです。
仕事のことでは、
きついところを出していました。
っていうか、そういうふうに
なっちゃうんです。
ま、今でも時々あるかしら(笑)。 |
糸井 |
ほぉ! |
大橋 |
納得できなかったりすると、
そのまんまズルズルっていうのは
どうしても気持ちが悪かったり、
でも私の方が間違ってることも
多々ありましたけれど。
そうですね、最近ですね、
わりと丸くなったのは。 |
糸井 |
そうですか。へえ!
自分でも、別にずっと
“丸”だったわけじゃないんですが、
何て言うんだろう、両方持ってないと
長くはやってこれないですよね。 |
大橋 |
ああ、そうですか!
それ、聞いてよかった(笑)。 |
糸井 |
うん。つい、一昨日ぐらいに
大貫妙子さんに、
ほんと糸井さんはおそろしいっていうか、
怖いって言われて。 |
大橋 |
あ、そうですか、 |
糸井 |
大貫さんに言われるのはまずいな(笑)
と、思ったんですけど、
だって一般的には
“大貫妙子は怖い”って言われてて。 |
大橋 |
あ、そうですか? |
糸井 |
僕、いつも、
「この人は怖くないですよ」
っていう役なんですよ。
怖い、怖いと思われてますが、
全然怖くないですって言ってる。
その大貫さんに
坂本龍一と同じ怖さがあるって
言われて。 |
大橋 |
あ、そうですか! |
糸井 |
僕は、ものすごい機嫌の悪い日ってのは
6年にいっぺんぐらいあるんですよね。 |
大橋 |
(笑)6年にいっぺんぐらいだったら! |
糸井 |
その日に会っちゃったんですよ。 |
大橋 |
あ、そうなんだ。 |
糸井 |
で、大貫さんに悪いことした覚えは
ないんですけど、気配として、
怒ってたんですよ。
俺は本当に今日、怒ってんだよって
話をしたんですよ。 |
大橋 |
はい。 |
糸井 |
僕、坂本君のことも知ってるんですけど、
彼はほんとに気遣いのある人なんですよ、
ああいうふうに見えて。
で、たまにものすごく怒るんですよ。
それは我慢に我慢を重ねた人の
怒り方なんです。
で、あ、そういえば永ちゃんも
そうなんですよね。
矢沢永吉も普段は丸いんです。 |
大橋 |
あ、丸いんですか、丸くないみたい。 |
糸井 |
カメラが回ると丸くないんですよ(笑)。
普段、丸いんです。
で、我慢に我慢を重ねて、爆発するみたいな。
みんな、共通点はそこなんですけど。
多分、大橋さんの話を聞いていると、
同じような感じがしますね。 |
大橋 |
そうですね、まあ、そんなにしょっちゅう
怒ってるわけではなくて、
何かやっぱり仕事に絡むことでは、
どうしてもそのまま通してしまうのは
嫌だと思うと怒ってしまったりする。 |
糸井 |
もう若いときから同じなんですね。 |
大橋 |
うーん、そうですね。
若いときはわがままって言われましたね。 |
糸井 |
言われましたか。 |
大橋 |
怒るというよりはわがままだと。 |
糸井 |
どういうわがままですか? |
大橋 |
松原さんを嫌だとか、
そんなわがままを平気で言って
それを通してもらっていたから。 |
糸井 |
うん、 |
大橋 |
今から考えると
とても申し訳ない事をしたと思います。 |
糸井 |
思えば、それは、
松原さんが舞台監督だとすれば、
大橋さんは主演女優の役割ですから、
おろすとしたら舞台監督ですよね(笑)。 |
大橋 |
(笑) |
糸井 |
主演女優がおりたら大変ですもんね。 |
大橋 |
そうですね。 |
糸井 |
女王様だったんですね、そのときは、じゃ。 |
大橋 |
うん、何かちょっと
嫌なところがありましたね。 |
糸井 |
自分でそう思いますか? |
大橋 |
後で思いました。
そのときは何も思いませんでしたけれど、
でも、まあ、たまたまそういうふうなことに
なった人も、とてもいい方だったので、
その後も続けていただけたというか。 |
|
(つづきます!) |
2007-02-08-THU |
協力=クリエイションギャラリーG8/ガーディアン・ガーデン |