AZARASHI
アザラシのお姉さんです。

お姉さん

番外編

『新潟ロシア村1泊2日の旅』(後編)

ロシア村訪問の旅、2日目です。
今日は、はなさん、仕事はお休み。
スタッフのはなさん、
実はお客の立場で自分の職場であるロシア村を
見て回ったことがなかったそうで、
1日私を案内してくれることになりました。
ありがとう。心強い。

まずはバイカルアザラシ館へ。
はなさんがお休みの日は、パートのおばちゃんが
面倒を見てくれるそうです。
なかなか人になつかないアザラシ3姉妹が、
このおばちゃんには心を許しているそうです。
はなさんも、安心して任せています。

「よかった、ちゃんと泳いでる」と、はなさん。
やはりまっさきに気になるのはアザラシのようです。
アザラシ3姉妹は昨日と変わらず元気そうに、
水槽の中をフニフニと泳ぎ回ってました。
“フニフニ”というのは、水に浮かぶアザラシの
ようすを表現した、はなさんがよく使う言葉です。
フニフニ……本当にそういう感じで浮いています。

ボリ
まさにフニフニって表現が
ピッタリな3姉妹の泳ぎ


飼育スタッフのみなさんに会いに行くと、
昨日とはちがって、みなさん元気、
とゆーか、接待モードで私を歓迎してくれました。
昨日は突然仕事場におじゃましちゃってごめんなさい。
(※昨日のことは、“前編”をぜひ読んでください)。

みなさん動物への接し方が丁寧なんです。
抱き方ひとつとっても、無理な力がかからないように、
というか、演歌歌手が握手会でするように、
両手でつつみこむような感じです。
え、わからないって?
単なる“動物好き”ではない感じですね。

私も動物を抱いてみました。
みなさん、おぼえてますか?
ほぼ日スタッフが名付け親になった
『モルチョフ』という名のモルモット。
一時は皮膚病がひどかったらしいですが、
すっかり治ってこんなに大きくなったんです。
名付け親のほぼ日スタッフは
ラーメン食い過ぎで太りぎみ、
なんか、共通点を感じました。

モルチョフ
あんまり可愛いんで首を締めている
・・・わけじゃないです


私がご機嫌でモルモットを抱いていると、
となりにいたお母さんが、
怖がってモルモットを触れない娘に向かって、
「ほら、このオジサンみたいに抱けばいいのよ!」
だって。はなさん、アンタ笑いすぎだぜ。

ブタのいる囲いのなかでは、ブタがひらすら寝ています。
それはいいのですが、寝ているブタの周りにフンが
たくさん転がっていて、山盛りになっているのもあります。
で、あるフンから植物の芽が出ていたんですよ。
「あー、それはトマトの芽です」と、
はなさんが教えてくれました。
つまり、ブタのエサのなかに含まれる種が、
そのまま排泄されて、フンから芽を出していたんです。
ちなみに去年は、フンから出た芽を育てて、
スイカを収穫したそうです。

看板
・・・と書いてあるもんだから
広場に行ってみると・・・



ブタさん
ね、寝てるじゃないか・・・

たっぷり動物を触った私たちは、
ロシア村のアトラクションを回ることにしました。
まずは“マンモスイリュージョン”。
実物よりひとまわり小さな模型のマンモスと、
マンモスの骨格の模型が展示してあります。
正味1分で見終わったのですが、すごい迫力。
ちょっとこわい。
模型の設計には考古学者が立ち会ったそうで、リアル。
室内はほぼ真っ暗なので、小さい子どもは
マンモスの迫力に泣き出すかもしれません。

次は、はなさんも初めて行くという
“マールイ美術館”へ。
中では、シベリア鉄道展と、モスクワ写真展やってます。
シベリア鉄道展では、写真や模型や、
実物大の客席が展示されています。
写真の解説を読むと
「僕がこの日出会ったのは……」とか、
「僕がこの駅で感じたのは……」と書いてある。
“僕”っていったい誰だ?
はなさん曰く、企画課のスタッフが
実際にシベリア鉄道で旅した体験取材が
展示に生かされているそうです。
なるほど、それで、あの解説なんですね。合点。

あと、モスクワ写真展、おすすめです。
入り口にウエディングドレス、タキシード姿の
新郎新婦の写真が飾られています。
一瞬「チャールズ(元)夫妻か!」と思うのですが、
ロシア村にチャールズ夫妻ってのもヘンだし。
じゃ、ロシアの由緒ある貴族なのか?
写真の解説には「町で見かけた新郎新婦」と
書かれていました……。
そして、路上でギターを弾くヤングたちの写真。
解説は「試験に受かって喜ぶ若者たち」。
そうかー、試験に受かったのか……。
説明がなければわからない。

美術館
中を一度見ると美術館というか、
個展が開かれているような印象を受けます。
おすすめスポットのひとつ



美術館に別れを告げた私たちは、
マトリョーシカの絵づけに挑戦。
マトリョーシカという人形はロシアの民芸品で、
人形のなかに、小さな人形がいくつも入っていて、
安産のお守りになるそうです。
ロシア村スタッフには“マトちゃん”と呼ばれています。

「アザラシ3姉妹カラーのマトちゃんを作ろう」。
一番大きいボリと一番小さいクラの2体をはなさんが担当。
絵に自信のない私は、マリ1体だけを担当しました。
1000円で3体のマトちゃんに絵づけができます。
しかも、温かいロシアンティー付きで、
お茶を飲みながら、アートなひととき。

鉛筆で下書きをして、
その上から絵の具で色をつけていきます。
絵の具を使ったの中学のとき以来です。
「目はやっぱりこのへんかなあ?」とか、
「ヒゲの位置は?」なんて、ああだこうだで約30分。
色づけ完了!
色づけした人形を乾かして、ニスを塗ってもらえば完成。
私はアザラシの色をまちがえて、塗り直したうえに、
はなさんの色つけの上手さを見て焦っていたのか、
キュートなはずのマリがこんな姿に。

マトちゃん
左からクラ、マリ(ぎむら作)、
ボリ。
え!? 真ん中はオバQじゃないかって?


ゴメンな、マリ

やっぱりマトリョーシカには、
民族衣装のカラフルな模様が
合っているような気がしました。
単色のアザラシは、マトリョーシカに
あまり向いてなかったかもしれません。
完成したアザラシ3姉妹を見てはなさんも
「2度とアザラシは作りません(笑)」だって。

昼ごはんを食べようとレストランに向かう途中、
はなさんがある建物を指さして、
「ここ、ロシア人のたまり場なんですよ」と笑います。
なかを覗いてみると、
たしかに大勢のロシア人スタッフが、涼んでいます。
日本の夏は暑いですもんね。

レストランには、ロシア料理が勢揃い。
特におすすめなのがセットメニューについてくる
トマトベースのスープ、ボルシチ。
寒い季節になると、ますますおいしくなるそうです。
また、ロシア村で製造されている
“森の地ビール”もうまいですよ。
なかでもコクのある“ゴールド”が好きです。
ロシア村でしか味わえないビール。試してください。
あー、いい気分。

満腹になったところで、
本日のメインイベントは、
手作りグルメ工房での“ピロシキ”作り。
さっきから食に走ってます。
参加者は、はなさん、はちもとさん、私。

小麦粉と卵とドライイースト、砂糖を混ぜ合わせます。
そして、ひたすらこねます。
最初は生地が手にベタベタつきますが、
途中でバターを入れてこねていくうちに、
コシがでてきて、生地がまとまってきます。
そしたら、バンバンと何度も生地を机にたたきつけます。
粉まみれのはなさん。
生地の破片を飛ばすはちもとさん。
いい汗かきますよー。

パンづくり
2人ともエプロン姿似合ってますねえ
左が予約課のはちもとさん


あとは、適当な大きさにちぎって、
あんこ系か、挽肉系の具をお好みで包みます。
今回は、揚げピロシキということで、
スタッフが軽く焼いてから、油で揚げてくれました。
揚げたてがアツアツでうまいのよ。

食べてばかりいますが、最後のイベントはこれ。
“ロシアンファンタジックツアー”。
クツを脱いで館内に入ると、
みんな好き勝手に床に仰向けに寝転がります。
照明がおちると、ドーム型の天井に映像が!
えー、民話が上映されるのですが、
物語のクライマックスではちょっとした仕掛けが。
これはナイショのままにしておきましょう。
とにかく幻想的なひとときですよ。

外に出て我に返ったところで、
そろそろロシア村とお別れの時間です。
表層だけパパッと見るなら2時間弱で十分ですよと
はなさんは謙遜しますが、
いやいやそれじゃあもったいない。
人形の絵づけや、ピロシキ作りに参加して
(どちらも参加費1000円とリーズナブル)、
ロシア村を骨の髄までしゃぶりつくしましょう。

なにより、アザラシ3姉妹、
とにかくチョロチョロ動きまわってて、
ずーっと見ててもぜんぜん飽きませんよ。
ぜひ“生”で見てください。

ボリ正面
「待ってます!」


新潟ロシア村のみなさん、
ありがとうございました。

(番外編おわり)

1999-10-09-SAT

BACK
戻る