ほぼ日 | 『おそ松くん』も、いいマンガですよね。 |
ジーンときちゃう作品が多いですね。 『おそ松くん』の作品は、 笑いのなかに感動がありますね。 イヤミもチビ太もいいやつなんですよ。 ほかにも独特なキャラクターがいっぱい。 主人公「おそ松」と同じ顔が5人もいて、 どれが誰だかわかんない。 あれは面倒だと思うでしょ? |
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ほぼ日 | はい。 同じ顔、同じポーズを6人、 毎回描くのが。 |
コピー機とか使ったほうが 楽じゃんって思うでしょ? |
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ほぼ日 | 思います。 |
赤塚さん、 ちゃんとコピーを使ってたんですよ。 |
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ほぼ日 | あの時代に。 |
「6人も描くなんて、たいへんだったでしょう」 って訊いたら、 「コピーも使った、使った」 と言ってました。 コピーで複写した顔を ペタペタ原稿に貼って 体だけ描いたりしてたんだよ。 でも、大きさとか角度を 合わせるのがものすごく難しくて、 「結局描いたほうが早かった」 |
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ほぼ日 | ははははは。 |
だからね、一瞬だけ コピーの時代があるんです。 それが『おそ松くん』コピーづかい時代! ぼくが会場デザインを担当した 松屋銀座の「追悼 赤塚不二夫展」では その時期の原稿も展示してます。 |
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ほぼ日 | それは、パッと見たんじゃわかんないですか? |
ううん、わかる、わかる、 すぐわかる。 昔のコピーって、すごく変色しちゃうから コピーの顔だけ真っ黒になってます。 おもしろいよ。 |
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ほぼ日 | ところで、その松屋銀座の 「追悼 赤塚不二夫展」、 会場デザインのご進捗は順調ですか。 |
ずんつぉー。 | |
ほぼ日 | ずんつぉー‥‥ですか。 |
はい。いつもよりずんつぉーですよ。 なんだか、展示したいものが 多過ぎて困っちゃってるの。 結局、ものすごい点数になっちゃって 普通の1.5倍ぐらいあるんじゃないかな。 入りきらないから 縦3段で展示してるとこもあります。 見るところが多すぎて 帰れないかもしれないよ〜(笑)。 |
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ほぼ日 | そんなに‥‥。 |
ゆっくり読んでたら、きっと出られないよ。 | |
ほぼ日 | 出られないんですか。 一周忌ということもあるし、 ファンのみなさんも待ち焦がれていますよね。 |
うん。一周忌ですものね。 赤塚不二夫展やるってことで── あのね、こういう展覧会ってね、 ともすれば「懐かしもの」に なりがちなんです。 でも、それじゃダメでしょ。 いまの赤塚さん展を、やらないと! |
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ほぼ日 | いまの。 |
いまの。 懐かしんでくださいじゃ、 赤塚さんは、きっとOKしてくれない。 山田一郎だった時代もあるし、 社長先生と呼ばれた時代もあるんですが、 赤塚さんは、いろいろ変わっても、 まだまだ、やってるんですよ。 |
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ほぼ日 | 赤塚さん、亡くなったと思ってたけど‥‥ |
そういえば、死んじゃったのだ。 だけど、まだ現役なのだ。 |
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ほぼ日 | そういうつもりで、 銀座に行けばいいですね。 |
赤塚さんはね、 みんながしぼんでいくのは 「よし」としなかったはずです。 |
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ほぼ日 | それは、マンガを読めばもう、 ほんとうにわかる気がします。 |
だから、懐かしんでほしいなんて 思ってないと思うんだ。 赤塚ダマシイが いま、どう息づいてるのか、 見に来ていただいたお客さんが どんな影響を受けちゃうのか。 そんな展示がいいんだと思うんです。 とにかく、まわりの誰かがやるにしろ、 赤塚さんご自身がやるにしろ、 「こうでなくちゃいけない」ってことは まず言わないで、 「これでいいのだ」ですもの。 だからこそ、時代が変わったり 赤塚さんがこの世でないところにいても 展開していけるパワーがあるんだよね、きっと。 |
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ほぼ日 | それは、昔から 自分をあまり前に出さない 赤塚さんの性格も、関係しているんでしょうか。 |
そうだよねぇ。 自分の存在なんてどっちでもいい、 ってくらいまでいけちゃったことが、 死んでても、生きてても どっちでもOK!ってくらいの すごさにつながってるってことなのかなぁ。 |
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(つづきます) |
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