花宇(はなう)は、幕末から続く植物生産卸の会社。
プラントハンターの清順さんは、
創業から数えて5代目となります。
糸井重里が7月初旬、
雑誌「BRUTUS」のための対談収録を兼ねて、
(この「BRUTUS」は8月1日発売号です)
花宇を訪れ、清順さんにお会いしてきました。
清順さんの花宇は兵庫県にあります。
いくつかの温室と庭、そして、
植物を育てたり実験するための広い畑が
いくつかあります。
温室の中では、めずらしい植物が
たくさん栽培されています。
なかにはもちろん、
「砂漠のバラ」、つまりアデニウムもありましたよ。
清順さんの手にしている「砂漠のバラ」は
ちいさな鉢ですが、
かわいい花がいちりん咲いてます。
見えますか?
敷地の中には見たこともないような植物が
たくさんあって、
糸井重里はたびたび足を止めます。
いちばん気に入ったのは、
どうやらこちらの木。
「ポニーテール」というそうですよ。
花宇の中を歩いていると
いろんな表情の植物に出会います。
自らの姿をどうやってこんなふうにしてきたのか、
何種類もの植物を見ていると、
とても不思議に思えてきます。
繁殖のしかた、養分の取りかた、
それぞれの植物で
「生き残るために取ってきた方法」が
ちがいます。
清順さんに質問を投げかけるように、
糸井は言いました。
「植物って、根っこは動かないから
限りなく受け身に近い繁殖をしますね。
受粉も、ハチにまかせたり、風にまかせたりする。
日陰にいればそのように育つし、
太陽も雨も養分も、ただ受け身で浴びたり
吸い上げたりするだけでしょう。
だからこそ、いろんなものと
深い関わりをもって生きているとも言えます。
だって、考えてみれば植物だけではありません。
太陽、虫、風、空気‥‥他者とかかわらない
生きものなんていないのです。
植物は、そこがわかりやすいんですね。
『へぇ、おまえはそういうところで
他者と関わって生きているのか』
と思いやすい。
だから、ひとつひとつの植物を見て、
感心して立ち止まってしまう」
ここには世界中から清順さんが
「ハンティング」してきた植物が集まっていますから、
ほんとうに多種多様です。
清順さんはやっぱり
おもしろい植物が大好きなんですね。
清順さんは愛犬モコを抱っこしながら
糸井にこう応えてくれました。
「ここに集まっているものは、
そんなふうに、不思議に思える植物が多いです。
極端な植物ってね、
人の心に強烈に植物を植えることができるんです。
人の心を呼び起こす、というか‥‥。
そうして、みんなの心のなかにエデンの園を作りたい。
そのことが、もしかしたら
ぼくら『そら植物園』の
やりたいことなのかもしれません」
清順さん率いる「そら植物園」は、
植物に関するさまざまな企画を提案したり
サポートする活動をしています。
植物といっしょになにかをはじめられたら、
植物とつきあっているときの、
自分のあたらしい心に
出会うことができたら。
そんな思いをお互いに持ちながら
「そら植物園」と「ほぼ日」が
いっしょに制作したキットが
「そら植物園とつくった、花BEGINNINGキット
Vol.1 砂漠のバラ」
です。
清順さんやみなさんといっしょに
砂漠のバラを種から育てるキットです。
最初の植物を「砂漠のバラ」にしたのは、
心の中に植物を植えることができるような、
キュートで、ユニークで、
清順さんが大のお気に入りの木だからです。
清順さんのハンティングしてきた
おもしろい植物は、
東京の代々木VILLAGEでも見ることができます。
お近くにいらしたら、寄ってみてくださいね。
みなさんも
植物、はじめてみませんか?!
それでは、また。
8月1日発売
BRUTUS No.737
「木と花と草のこと。」
花宇の敷地、畑のなかを歩きながら
清順さんと糸井重里が話したことが
4ページにわたって掲載されています。