BEGINNINGショップで
砂漠のバラを販売したとき、
いっしょに売り場に並んだ植物がありました。
それは樹齢200年のオリーブの大木。
プラントハンターの清順さんが自ら植樹にいく、という
特典つきの販売でした。
この木は、スペインの陽光を浴びて200年をすごし、
清順さんによってハンティングされ、
日本にやってきたものです。
「砂漠のバラと同じ売り場に並べて、
これを買ってくれる人がいるかなぁ‥‥?」
と、ドキドキの販売だったのですが、
「買いたいです!」と手を挙げてくださった方がいました。
福岡県にお住まいの方でした。
今回はこの植樹のようすを
みなさまにお届けしたいと思います。
プラントハンターの清順さんの仕事ぶりの片鱗を
お伝えできるとうれしいです。
さて。
日本で、オリーブの木を
ごらんになったことがありますか?
市販されているものはたいていひょろひょろしています。
しかし、この「200年オリーブ」は、
スペインの陽光をたっぷりあびて
どっしりした大木に育っています。
ごつごつとした木肌は、すごい風格です。
清順さんのお仕事は世界中から
植物を「ハンティング」することなのですが、
こういった大きな植物を輸入するためには
厳しい検疫検査をクリアし、輸送手段を整え、
さまざまな機関と契約を交わさなくてはなりません。
輸送期間が長くかかるため、航海中の管理も不可欠です。
そういった交渉ごとも、清順さんの仕事のひとつです。
日本でオリーブの大木が稀少なのは
こういういくつもの手続を踏んで運ばれてくることが
ひとつの要因です。
兵庫県にある、清順さんの会社「花宇」から
200年オリーブが福岡に運ばれてきました。
(清順さんは「そら植物園」園長ですが、
植物生産卸業「株式会社 花宇」の5代目でもあります)
この木を購入なさったのは
福岡にお住まいの伊川彦一郎さん。
美容院を営んでいらっしゃいます。
お店のある庭に、
200年オリーブを植えたい、というご希望でした。
「清順さんのブログは
毎日チェックしています」
とおっしゃっていました。
伊川さんは、こう話してくれました。
「清順さんのことは、テレビの『情熱大陸』に
出演されていたとき、知りました。
いま自分が仕事や生き方でぶつかっている問題と
清順さんの活動がシンクロしているような気もして、
勝手に憧れています。
清順さんが少しでも載っている雑誌は
見つけたら買って、家族にも読んでもらって‥‥。
そうしているうちに、
このオリーブのことを知ったんです。
思い切って買いますと手を挙げてよかったです」
▲200年オリーブは
庭のこのスペースに植えます。
▲ご近所のみなさんも
たのしみに待たれていたようです。
植えていないうちから200年オリーブは
名物になっていますね。
清順さんはちょっと遅刻して、
クレーン車で土を運んできました。
(遅刻した理由は、このレポートの最後にお伝えします)
まず、伊川さんが
オリーブを植える場所を
清順さんの指示通りに整地したことを
写真で報告します。
水はけがよくない場所だったので、
思いきって大部分の土を入れ替えたのだそうです。
伊川さんの報告を受けて、清順さんは
「いいですね、いいですね!」
と言っていました。
そして、クレーン車を操作しはじめ‥‥
ウィーン、と、
土の入った重い袋を持ち上げます。
▲清順さんは2立米(2立方メートル)の
土を運んできました。土、重そう!
伊川さんが土を入れ替えたのに、
さらに土が必要なのでしょうか。
清順さんはこう答えてくれました。
「ここに盛土(もりつち)をして
オリーブを植えようと思っています。
今日たくさんの土を運んできたのは、そのためです」
掘って植物を埋めるのではなく、
土台を作って、植えるのですね。
重い土を何袋か着地させたあと、
いよいよ200年オリーブを
クレーンで持ち上げます。
▲吊り下げるための紐を巻きつけます。
ここまでの作業時間、たったの10分ほど。
清順さんのひとつひとつの動きは
無駄がなく、あざやかで、すばやいのです。
しかも終始笑顔で
「土が重そうやなぁ、車が重たがっとるなぁ」とか
「もうちょっと右がいいかな」とおっしゃって、
周囲にいる、
何も手伝えなくてボーっと突っ立っている我々を
緊張させることがありません。
清順さんの会社「花宇」から200年オリーブを
8時間かけて運んできた
運転手さん(山本さん)が手伝います。
この運転手さん、いつも花や木を運んでいらっしゃる
専門業者さんかと思ったら、
そうではありませんでした。
「植木を運ぶ仕事は、ふだんはしません。
『花宇』さんだけです。
わたし、一本釣りなんですよ」
仕事は人と人。
清順さんはどうやらいつも
そういう考えを持って仕事をしているようです。
植物を海外の森や山で見つけ、
日本に輸入するには、
想像以上の困難があるようです。
その国の法律や慣習が足をひっぱることも多いはずです。
でも、「仕事は人と人」。
この人だ、という人をつかまえて、話をすれば
どうにか道は開ける。
清順さんの、人を見る目は
そういう状況のなかで磨かれていくんだなぁと感じました。
さて、運転手の山本さんの介助で
木が吊りあげられていきます。
▲ドキドキする瞬間です。
▲おお。
木が1本のロープだけで支えられているのがすごいです。
清順さんは躊躇なく「ここ」という感じで
木をしばっていました。
つねに、作業にミスはありません。
「さすが‥‥」
清順さんのたくみなクレーン扱いに
我々はなんだかほれぼれしてしまいました。
* * * * *
このつづきは、また明日お伝えいたします。
おもしろい植物がいっぱい!