待ってから読むことが
すっかり習慣づいているぼくにとって、
いま、発表される作品を
リアルタイムでもっとも読んでいる漫画家は、
たぶん、キューライスさんである。
というのも、キューライスさんは
その作品のほとんどをウェブサイトに発表している。
配信情報を細かく知らせてくれる
彼のTwitterアカウントをフォローしていると、
公開される漫画はほとんどすべて
リアルタイムで読むことができる。
『ネコノヒー』、『スキウサギ』、
『悲熊』、『砂岡さん』、『シンデレラ』、
『レジネコ』、『ネズミダくん』、
『チャー子』、『ひとり事』‥‥。
キューライスさんはとても多作で、
いくつもの作品を並行して発表している。
だから、Twitterのタイムラインを眺めているだけで、
毎週、複数のキューライス作品が読める。
長く続いているシリーズもあるし、
思いつきのようにぱっとはじまって
すぐに終わってしまうものもある。
どこかのウェブサイトに発表されるものもあるし、
Twitterに直接貼られるものもある。
で、ほんとに、どれもおもしろい。
たいていは、四コマ漫画的に、
数コマで完結する短い作品のかたちをとっていて、
シュールだったり、くすっとさせたり、
ちょっと不気味だったりかわいかったりで、
新しい作品が公開されるたびに
ぼくはかならず読んでしまう。
まとめ読みはしない。その都度読む。
ここ数年、キューライスさんの作品を
ほぼぜんぶ読んでいる。
で、ほんとに、どれもおもしろい。
ちなみに、これまでの連載でいうと、個人的には
『チャー子』と『シンデレラ』が好きだった。
ある日、キューライスさんが
定期的に作品を発表しているウェブサイト、
オモコロにあたらしい作品を発表した。
『すず色のモーニャ』というタイトルで、
魔女の女の子が主人公のようだ。
あ、また、なんかはじまった、
おもしろそうだな、というふうに、
わりと軽く受け止めた。
公開された第1話が、
いつものキューライス作品でおなじみの
「数コマでくすっとさせるもの」だったからだ。
ちなみに、
『すず色のモーニャ』のはじまりは、
こういう感じだった。
笑わせようと仕込みまくってるわけじゃないのに、
なんだか妙におかしい。
コミカルな、魔女ものっぽい漫画。
そんなふうにまずは『すず色のモーニャ』をとらえた。
いつもより人物が低い頭身で
デフォルメされていることをあたらしく感じたけれど、
いつものキューライス作品として受け止めた。
実際、コミカルな魔女ものという路線は、
連載開始からしばらく続いた。
北の善い魔女グローリアという
新キャラクターが登場してからだ。
グローリアは、ふたりに目的を与える。
「善い魔女」というけれど、
ほんとに善い魔女なのかどうかはよくわからない。
あ、そうそう、
ドロシーとか北の善い魔女とかいうことばで
ピンと来た人も多いと思うけれど、
『すず色のモーニャ』は
「オズの魔法使い」をモチーフにしている。
グローリアとの出会いをきっかけに
ふたりは絆を深め、
そして、ドロシーをもとの世界に
返すための旅に出ることになる。
けれども、その旅は、
ドロシーが帰る方法を見つけるためのものだから、
旅が終わるとせっかくなかよくなった
ドロシーとモーニャは
また離れ離れになってしまう。
元気な女の子と
引っ込み思案の魔女を主役にした、
コミカルなドタバタ劇‥‥
というふうに思っていたのだけれど、
物語はどうやらぼくの予想を
超えて行くようだった。
‥‥あ、長くなったので、次回に続きますね。