緑のなかに出かけようよ。
先輩、後輩、そしてなかよし。

たのしい仲間といっしょに一泊だけ、
緑あるところに出かけてみましょう。
おなじものを食べ、火をたいて、
終わりのない夜をむかえます。

ふだんとちがうおしゃべりが花開き、
いつの日か、
「そういや、あんなこともしたよね」と思い出す
時間になるにちがいありません。
3人が訪問したところ:WOODLAND BOTHY
第8回 それが説教かどうか。
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俺んちは姉がふたりいて、
まぁ女の子だから、しゃべるじゃん? 
俺が「今日学校で◯◯だった」と言う前に
姉がすでにしゃべってるわけだ。
親は笑って、俺も笑うんだけど、
たまにはそういう役もやりたいなぁって思うんだよ。
糸井
つまり、話の主役ね。
だけど俺が
「えぇとね、うんとね」と言ってると、
パッと取られちゃうんです。
みうら
つまり、食事中の家族の話というのは、
内容じゃなくて、リズムなんですね。
そうなんだよね。
だから俺は、訓練もしなかったかわりに、
沈黙に対する強迫観念もありません。
みうら
「黙っていてもいい」という人は、
ものすごい勇者ですよ。
糸井さんも、シーンとしたら困るでしょう?
糸井
困るとも限らないなぁ。
けど、めし食ってるときは別にして、
糸井さんが静かになっているところは
あんまり見ないね。
糸井
みうらはいま、俺らが先輩なんで、
とにかく埋めようとしてくれてるでしょ。
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うん、ものすごく。
糸井
でも、後輩といるときのみうらを、
俺たちは知らないね。
そうそう、知らないんだよ。
みうら
後輩って、その時代その時代で
年がどんどん離れてくるんで、
最近は当然、話も合わなくなってきています。
そういう人と長時間いると、
話のテーマが底をついてきます。
そのときに、説教というものが出ます。
あ、そうなの(笑)。
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みうら
「あ、それは違うね」
と、否定したように言うと、
なんだかふたたび盛りあがってるような気がして。
はいはい、なるほどね。
みうら
その時点で酒がだいぶ入っているんで、
「それは違うわ。それ違うなぁ。俺は違うと思うなぁ」
と言えば、場を埋めている気分になります。
でもまわりからは
「出ましたね、説教!」なんて言われる。
「説教じゃねぇよ」と思っています。
後輩が「出ましたね、説教」まで言うの?
みうら
最後になると、常連は言います(笑)。
糸井
それはみうらが恒常化しちゃってるからだよ。
聞いたところによると、
みんなが帰りたいと思っているのを、
忖度しないらしいよ。
みうら
そうです、そういう癖がぼくにはあります。
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糸井
みうら、早く帰ればいいんだよ。
みうら
たしかに糸井さんは以前から、
いいところで「俺帰るわ」が言える方でした。
糸井さんは若いときからそうだね。
みうら
でも俺は、自分が話を回してるという気があるから、
シーンとしちゃうことへの強迫観念があって。
自分がいないときにも
シーンとなってちゃだめなの? 
みうら
だめですね、帰ったあとも気になります。
だけどそもそも、
好きな人の話は「説教」ではありませんよね? 
あぁ、はいはい、そうね。
みうら
俺は、糸井さんには一回も
説教された覚えがありません。
いつだって「言ってもらってる」と思ってました。
でも、俺の下の奴らはことごとく、
「出た、説教!」と言います。
俺のことを好きじゃないのは確かなんですよ(笑)。
糸井
うーん、そうかな。
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みうら
「説教っていうのは好きな人の言葉じゃないんだよ」
「いや、それこそが説教だ」
と言われるだけなんで、
あまりもう、言いませんけれどもね。
糸井
伸坊は、そういうのないね。
そうね。だけど、
時代もあるんじゃないの?
みうら
南さんは、説教はしないです。
和やかなイメージがずっとある。
糸井
伸坊は怒らない。
でも仕事じゃ、怒ることもあるらしいよ。
みうら
あぁ、本当は厳しいんですね。
糸井
「南さんは怖いですよ」って話も聞くよ。
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みうら
南さんが怒ったら怖いと思う。
俺、絶対、いちばん怖いわ。
糸井
伸坊はいつも本気だから。
ここで命を捨ててもいい、くらいの。
そんなことないよ。
糸井
でも、ふだんの「怒らない度」はやっぱり、
伸坊はすごいね。
尊敬しますよ。
糸井さんは怒ってる? 
俺は見たことないよ。
糸井
俺は伸坊に比べたら、怒ってると思うよ。
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(さぁ、夜がやってくる。明日につづきます。)
2019-12-16-MON