緑のなかに出かけようよ。
先輩、後輩、そしてなかよし。

たのしい仲間といっしょに一泊だけ、
緑あるところに出かけてみましょう。
おなじものを食べ、火をたいて、
終わりのない夜をむかえます。

ふだんとちがうおしゃべりが花開き、
いつの日か、
「そういや、あんなこともしたよね」と思い出す
時間になるにちがいありません。
3人が訪問したところ:WOODLAND BOTHY
第16回 本人を描いている。
写真
みうら
ものまねは、老若男女が好きですよ。
昔、千葉のお蕎麦屋さんに、
数人で入ったことがありました。
そしたら奥からご主人が出てきて、
「あのぅ」なんていって本を出したの。
最初に出したやつ『笑う写真』。
「これ、うちで見てみんなで笑ってるんです」
糸井
あぁ、いいねぇ。
みうら
「この本のあの人じゃないの?」
と厨房で話してたんですね。
だけど、いろんな「本人」をやってるから
素の南さんがよくわからない(笑)。
糸井
伸坊のは、似てるってだけじゃないし。
みうら
そこなんです。
「似てる」「似てない」のレベルではありませんよね。
元の人もわかんないのに、おもしろい。
糸井
まわりに元気のない人がいたら、
伸坊の本、あげてたもん。
みうら
それ、正解ですよ。
糸井
いちどに20冊とか買ってね。
ありがとうございます(笑)。
写真
糸井
イーグルスの「ホテル・カルフォルニア」のレコードも
ずいぶん買って人に配ったけど、
それを抜いてるよ。
もう何度も伸坊の顔の本を買った。
みうら
南さん、イーグルスのまねは
まだやってないですよね(笑)? 
やってない。
みうら
南さんは、テレビなんかを見て
「行けるかも」という感触を得るんですか?
いや、「行けるかも」はないですね。
みうら
「行けるかも」という発想は、
ものまねの人っぽいですもんね。
そうだね。
「行けるかも」は「商品になるかどうか」
という判断だもんね。
写真
みうら
南さんの場合は、
「この人おもしろいね」というところから
はじまるんでしょうか。
いや、その月にやらなきゃいけないページがあった。
いまはないけど、当時はあった。
そうすると、まず、
「いまだったら誰かな」というのは考える。
糸井
時事ネタね。
そう。
糸井
いまその連載はないけど、
伸坊はまだ、考えてるんだね。
ときどきね。
みうら
癖は、長いことやると治らないです。
治らないね。
写真
糸井
伸坊は、やりたくなっちゃうんだよね。
ものまねをやる人のなかで、たぶん、
絵を描く人はこの人しかいない。
そこの加点が、じつはとても大きいと思う。
伸坊も「これはイラストレーションなんだ」って
言ってたもの。
うん、そうなんですよ。
みうら
そうですね、
じっさいに顔に描いてありますもんね(笑)。
みんなそれに気づいていると思うんだけど、
糸井さんは最初
「え? 描いてるの?」って
びっくりしてたよ。
糸井
知らなかったんだよ。
ちょっとがっかりしたみたいで。
糸井
子どもが手品のタネ見た感じ。
「なんだ、描いてんだ」
糸井
それまで本当にその目で
伸坊の顔のまねを見てなかったんです。
それを聞いてからは
「描いてある」と思って見るようにするんだけど、
俺にはやっぱりそうは見えない(笑)。
写真
みうら
結局、描いてないように見えるんですね。
糸井
うん。伸坊はあれを
自分で鏡見ながら描くんだよね。
そう。
糸井
左右逆でね。
左右逆って、かなり感じが違うんだよ。
糸井
そうだね。
結局はそれを写真に撮るわけだから、
左右逆の顔を、写真に撮られるように描く。
だから、まずは鏡にその人の写真を映して、
映った写真を見て、顔に描くんです。
写真
みうら
あ、鏡の写真をなぞる感じなんですね? 
そう、なぞる。
その方式を採用する前は、
ほくろの位置を間違えたりしてました。
糸井
あるときまでは、鏡方式じゃなかったんだ。
ある日、撮った写真を見て、
「ヘアスタイル、なんか違うな」
なんて気づいたの。
左右が違えば、全然違うんだよ。
糸井
ヘアスタイルは大事だもんね。
それはどういう人だったの?
ニュースキャスターでした。
ものすごくボリュームを出したヘアーでさ、
それじゃ目立ちすぎると思うよ、と思って。
糸井
もう、俺がやるぞ、と(笑)?
みうら
そんなにボリューム出したら(笑)。
やっちゃうよ(笑)、
ということで、やりました。
写真
(落ち込む日のために、
南さんの顔の本を買っておきましょう。
明日につづきます。)
2019-12-24-TUE