ほんとにいいよ。
- 糸井
- 古賀さん、この万年筆を
人にあげたい気持ちはない?
- 古賀
- あげてます、あげてます。
- 糸井
- あげてるんだ。
- 古賀
- どんどんあげてます(笑)。
- 糸井
- どんな人にあげているの?
- 古賀
- 会社の若い子にあげたり、
ライターや編集者が多いですね。
- 糸井
- これ、ほぼ日オリジナルのをつくれたら、
人にあげたりすることも
さらにうれしくなるかなあと思ってね。
いま、このボディの部分に
なにか言葉を入れようかって
話しているんです。
- 古賀
- すごくいいですね。
- ーー
- 「ここから生み出すものは
同じじゃないんだ」というものを
使いながら感じたり、
誰かにあげたりできるのは、
きっとうれしいですね。
- 糸井
- ほぼ日は、半完成品を
商品にしていることが多いんですよね。
編み物のキットもそうだし、
ほぼ日手帳もそうです。
つかってもらうことで完成する。
概念としては「同じ手帳」を売っているんだけど
ひとりひとりが書いてからは、
ぜんぶ違うものになる。
- ーー
- そうですよね。
- 糸井
- そういうのは、うれしいもんだね。
じゃあ、ぼくも誰かにあげようかな。
誰なら、あげても迷惑がらないかな、というのを
ちょっと考えちゃうんだけどね。
「こんなのをもらっちゃったけど、困ったな」
ということだって、あるからなあ。
- 古賀
- それこそ、昔のパーカーの万年筆とかだと、
成人のお祝いに、みたいな
ブランド的なイメージがあるんですけど。
いい意味で、このキャップレスには
そういうシンボル性がないんですよね。
だから、「ほんとにいいよ」と言って
あげられるんです。
それがありがたいですね。
- 糸井
- ああ。
「ほんとにいいよ」というのはいいね。
- 古賀
- (笑)
- 糸井
- すごいキャッチフレーズだ。
「ほんとにいいよ」。
- 古賀
- ははは、そうですね。
- 糸井
- 昔、ぼくと仲畑(貴志)くんとで
しょっちゅうコピーの話をしていたんだけど、
「もう最後はさぁ、
『おいしいです』って言いたいよね」
って言ってたの。
- 古賀
- (笑)
- 糸井
- そうしたら、たしか、
あいつ、ほんとに書いちゃったんだよね。
「おいしいです」っていうコピーを。
- 古賀
- へぇー。
- 糸井
- で、ちゃんとギャラは取ったんだよね。
- 古賀
- わははは。
- 糸井
- でも、いまの「ほぼ日」だったら、
それをやることができると思っているんです。
友達同士でしゃべるような言葉を使える
メディアをつくってきたつもりです。
だから、この万年筆も
「ほんとにいいよ」って言える。
- 古賀
- うん。
- 糸井
- なんなら、使うのをやめたあとでも、
そう言えるね。
- 古賀
- え‥‥?
この万年筆を
使うのをやめたあと、ですか?
- 糸井
- そう。
「糸井さん、最近あれ使っていないですよね」
って聞かれたときに、
「うん、使ってないんだよ」
と言う権利もあるわけじゃない?
でも、この万年筆のよさは、
変わらずあるわけだからね。
だから、どんな理由で
使わなくなるんだろうっていうのが、
ちょっとたのしみでもあるんです。
- 古賀
- なるほど(笑)。
- 糸井
- やめるときのことまで言う、というのは、
ふつうの広告ではできないんですよね、やっぱり。
今日だって、パイロットやモンブランから
広告代もらってるわけじゃないからね(笑)。
- 古賀
- (笑)
- 糸井
- ほぼ日は、それが言えるメディアなんです。
アメリカとかには、
競合の相手を罵る広告もあったけど、
日本ではそれもないですよね。
その意味では、
ほかの会社の商品をじゃんじゃん紹介したり、
「重いほうが、軽いほうよりも好きだな」って
思うことを素直に言ったり、
ものすごく健康な市場をつくれているというのは、
すごいことだと思いますね。
- 古賀
- うん、うん。
- 糸井
- いやあ。
今日の話、なかなかいいんじゃないですか。
- ーー
- ほぼ日のキャップレス万年筆に入れる
ことばのヒントもたくさんいただけました。
ありがとうございます。
- 古賀
- おもしろかったです。
ありがとうございました。
(おわります。最後までお読みいただき
ありがとうございました)
2018-06-05-TUE