糸井 |
創立から25年が過ぎて、
シルク・ドゥ・ソレイユは、
きっと、当時では考えられなかったほどの
成功をおさめました。
その成功はいまも広がっていると思うのですが、
シルク・ドゥ・ソレイユの成功と
ギーさん個人のしあわせは、
いまも一致してますか?
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ギー |
もちろん、そのふたつは互いに
影響しているとは思います。
企業としての成功、私がそこから得る喜び‥‥。
そういう循環も、もちろんあるんですけども、
やはりわたしは生身の人間ですから、
企業の成功のみによって、私ののぞみが
すべて満たされるというわけではないですし、
同時に、企業が抱える痛みが、
完全に私自身の痛みとして
私から離れないわけでもない。
だから、うーん‥‥
シルク・ドゥ・ソレイユと私というのは、
長年、ずっといっしょに生活をともしてきた関係、
というふうに表すのが、
いちばん適切かもしれないです。
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糸井 |
別れたりはしないんでしょうか?
その、個人と組織が。
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ギー |
これまで、私はすばらしい旅に
出させてもらったと感じています。
シルク・ドゥ・ソレイユというものを通じて、
かなりの大きな満足感を得ることができ、
たくさんのすばらしい人々と
出会うことができた。
私はそれを誇りに思っています。
ここから私が離れるというようなことは
いまの時点ではまったく考えられません。
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糸井 |
たぶん、3年前も、
シルク・ドゥ・ソレイユは
「大成功した」と見えていたでしょうし、
いまも「大成功している」と
思えるんじゃないかと思います。
この成功は、今後も、
さらに広がっていくものなのでしょうか。
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ギー |
やはり、将来はわからない、
というのが、正直なところです。
未来は見えないかもしれませんが、
我々が25年前から常に心がけてきたことは
これからも継続して守っていこうと思います。
「熱意を持つ」ということ、
「決心を固める」ということ、
「ビジョン、先見性をしっかり持つ」ということ。
この3つは25年前と同じように
我々の要として継続させていきたいと思います。
私たちがこれからさらに成功していくかどうか、
それを決めるのはやはり、観客のみなさんです。
お客さんにどれだけ真剣に訴えることができるか、
結果的には、そこにかかってくると思いますので
私たちは、気持ちを込めたショーをつくることで
観にきてくださるみなさんとの絆を深めて、
そしてまた世の中の有能なアーティストを探す、
ということを今後も続けていきたいと思います。
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糸井 |
わかりました。ありがとうございます。
昔は「ヒーロー」って個人だったけど、
いま、21世紀の「ヒーロー」って
組織、チームだと思うんですよ。
そういう意味でシルク・ドゥ・ソレイユというのは、
ぼくらがヒーローとして、
ずっと見ていたいイメージなんで、
ぜひ、ずっと見させてください。
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ギー |
心に響くようなショーを
常に提供していきたいと思っています。
そして、ショーを楽しんでいただくだけでなく、
ショーを通じて、もう一歩深く、
何かを感じ取っていただいて、
そこから波及するプラスのエネルギー、
作用、価値観などが生まれていくとしたら
それほどうれしいことはありません。
そういったことをシルク・ドゥ・ソレイユが
今後、うまく達成できればと思っています。
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糸井 |
どうもありがとうございます。
あの、ジルさんにも、
おなじようなこと訊いたんですけど、
やっぱり、あなたも若いとき
ヒッピーだったんですか?
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ギー |
ヒッピーですか(笑)。
まぁ、その一端だったということは、
もちろん言えると思いますね。
ただ、当時、私はまだ若かったものですから、
ヒッピーの中心をなすような
そういう存在ではなかったんですけど、
ヒッピーの端くれのようなものではありました。
ヒッピーの掲げる、ピース、ラブ、
いうもののメッセージは非常に好きでしたので、
ヒッピーと言えるのかなと思います。
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糸井 |
あ、そうか、あなたは
ジルさんやぼくよりも若いんですよね(笑)。
今日はほんとうにどうもありがとうございます。
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ギー |
ほんとに来ていただきまして、
ありがとうございました。 |
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(最終回につづきます) |