糸井 ぼくらがつくった
シルク・ドゥ・ソレイユのページは、
日本の人たちにとても喜ばれたんですよ。
ジル ああ、そうですか。
糸井 そして、どう言ったらいいのかな、
あれは、ぼくらにとっても
うれしい仕事だったんです。
海外で、すばらしい仕事をしている人たちと
リアルにわかり合うことができた。
行く前は、そんなこと思ってませんでしたから。
ジル ああー。
糸井 ですから、3年前の旅も、
そして今回のこの旅も、ほんとに来てよかった。
インターネットをのぞいてるだけじゃなく、
こうやって実際に動くことって、
ほんとうに大事なことなんですよね。
ジル はい、はい。
私もたくさん旅をしました。
仕事のために、旅をしました。
いまは、仕事ではなくて、
自分に栄養を与えるために旅をします。
インド、モンゴル、ヴェニスの美術館‥‥
それらは私に栄養を与えてくれます。
糸井 うん。
やっぱり、長いこと働いてきたからね、
渇いてますよね(笑)。
ジル そう、だから、与える、与える、与える。
糸井 そうです、そうです。
ジル ですから、あの、糸井さん、
これからも連絡を取り合いましょう。
糸井 はい、会いましょう。
ジル で、いつか、私の木の家で寝てください。
糸井 ああー、いいですねぇ。
はい。ありがとう。
ジル 約束してくれますか?
糸井 はい。行きます、絶対。
ジル そして、また違う機会に、
いっしょに、日本の森を歩きましょう。
糸井 歩きましょう。
ぜひ。とてもうれしいです。
ジル ぜひ。
もしよければ、春に来てください。
まず田舎の農場に来てください。
そこに、メープルの砂糖をつくる
ちいさな小屋があるんです。
糸井 へぇー。
ジル そこでメープルシュガーをつくりましょう。
そして、木の家にきてください。
そこでメープルシロップをぐつぐつ煮ましょう。
糸井 ああー、そうですか、いやぁ、やってみたいなぁ。
ジル 私たちのふるーい伝統的なやり方で、
メープルシロップをつくりましょう。
バケツに液を入れて、つくるんです。
子どもたちといっしょにやりましょう。
きのこは、春はないんですけど‥‥。
糸井 日本から持って行きましょうか?
ジル ははははは。
春の森は、とってもいいです。ぜひ。
糸井 うわー、いいなぁ、
それは、栄養そのものです。
ジル はい、自分に与える栄養です。
糸井 水が沁みるように吸い込まれていくでしょうね。
ジル はい。そして、詩的な思い出になります。
糸井 そう思います。
そこにいること自体が詩になりますよね。
ジル はい、はい。
太陽パネルがありますから、電気も大丈夫です。
インターネットもできます。
糸井 ははははは。
ジル ガスもあるので、お茶ものめます。
糸井 子どもとして過ごせますね。
大人の服を着た、子どもとして。
ジル まさにそれです。
糸井 よかったねぇ、忙しく働いてて(笑)。
ジル はい(笑)。
時間を割きましょう。
別のことをやりましょう。
糸井 とってもよかったです。
モントリオールまで来て。
──来るべきだったんだ、いま、このときに。
ジル わたしもほんとうにうれしいです。
来てくださいね。
糸井 はい、ぜひ。
ジル もっと計画しましょう。
‥‥2012年の春にしましょうか。
4月に、1週間いてください。
糸井 うわぁ、そのときには、ぼく、
『When I'm sixty-four』ですよ。
ジル オー! ファンタスティックス!
すばらしい。
ポール・マッカートニーの音楽をつけましょう。
一同 (笑)
糸井 はははははは。
ジル ♪When I'm sixty-four!
糸井 いいなぁ。
ぼくは1000年生きるつもりなんだけど、
2012年の4月まで、また少し、
余計に生きる気になりましたよ。
ジル はい、木の上の家で過ごしましょう。
糸井 ええ。すばらしい。
ジル いつも、よろこびです。
日にちが決まりましたね。
糸井 2012年、春。森で。
ジル はい。お時間を割いて、
ここまで来てくださってありがとうございます。
われわれの友情のために、ありがとうございます。
糸井 こちらこそ、ありがとう。
とってもうれしいです。
ふうーーー、よかったーーー。


(握手とハグ、そして、
 ふたりの話にずっと耳を傾けていた
 同席者たちから、拍手)



 

2011-10-19-WED