ジル じつは、糸井さんと同じように
私もきのこが大好きなんです。
今年の夏も、きのこ狩り行ってきました。
糸井 夏にきのこ狩りに?
へぇー。
たしかにカナダって、
きのこがいっぱいありそうですね。
ジル ええ、どこにでもあります。
携帯電話にそのときの写真が入ってますよ。
見せましょう。
糸井 ‥‥そっかぁ、ジルもきのこが好きなんだ。
やっぱり、老人はきのこが好きなのかな(笑)。
ジル あ、でもね、私より息子が好きなんです。
息子がきのこを大好きなんです。
息子のおかげで私はきのこの美味しさを知ったんです。
糸井 へぇー。いい息子を育てましたねぇ。
ジル ところが‥‥写真が‥‥見つからないなぁ‥‥。
糸井 老人は、これだから(笑)。
ジル ああ、ありました、これです。
糸井 わぁ、こんなにいっぱい!
ジル これ、1回のきのこ狩りです。
信じられない量ですよね。
糸井 や、ほんと、信じられない。
ジル ある島に小さな家を持っているんですが、
その島でとったきのこです。
糸井 すごいなぁ。
これは、塩漬けで保存するんですか?
ジル オイルに漬けます。
もしくは冷凍しちゃいます。
洗っちゃいけないんです。
糸井 はい、はい。そうですよね。
ぼくのきのこも見せたくなってきちゃったな。
ええと、インターネットを
つかわせてもらっていいですか。
ジル どうぞ、どうぞ。
糸井 「ほぼ日」の‥‥ああ、このページです。
あんまり人の入らない、深い森なんです。
ジル ああ、美しいですね。
糸井 北海道というところなんです。
ジル ホッカイドウ。
ああ、きのこが、花みたいですねぇ。
糸井 こっちの写真は、粘菌ですね。
ジル ああ、粘菌ですか。
こっちの、これは危険ですね。
ああ、このきのこはすばらしい。
糸井 ねぇ。このときの、この写真は、
いま見ても自分でうれしいんですよね。
ジル このページは、いつでもアクセスできるんですか?
あとでアドレスを教えてください。
糸井 もちろん。
ジル この森で生活することもありますか?
糸井 ああ、そうすれば、もっとたのしいでしょうね。
ジルさんは、さっき見せてもらった島の家に、
よく行くんですか?
ジル ときどき行きます。
森の中の、木の上に、家をつくったんです。
糸井 木の上に?
ジル はい。
その家は、「私のなかにある子ども」そのものです。
糸井 うん、うん。
ぼくは最近ね、人間の本来の姿、
ほんとうの自分というのは子どもだ
って言ってるんです。
「人間とは、子どもである」って。
ジル あーー、そうかもしれません。
ほら、これが、その家です。
糸井 見せてください。
はぁー、すばらしい、すばらしい。
しかも、竹馬にように高い場所にある。
鳥の目のままで暮らせますね。
ジル その通りです(笑)。
これはまさに鳥の目の高さ。
糸井 木の上に、こんなモダンな家を。
ツリーハウスなんですね。
ジル 5つの太い木をつかってつくりました。
それぞれの部屋は木にしっかり固定されていますが、
一本一本の木は動くようになっているんです。
ちゃんとベッドもありますから、
木の上で寝ることができます。
夜、寝ているときに風が吹くと、木が揺れて、
まるで船に乗っているような気分になります。
糸井 はぁーー。
この写真はどこですか?
ジル これは、私の田舎の農場です。
糸井 へぇー‥‥。
なんていうか、ジルさんは、ふつうの人よりも、
地球をもう一回り大きく使ってますね。
ジル はっはっはっは。
糸井 ジルにとっての地球は、
皮1枚くらい大きいんじゃないかな(笑)。
ジル だとしたら、鳥のビジョンのおかげです。
糸井 そうですね。
資金を集めるために竹馬で歩き出した旅が、
この木の上の家に続いてるんですね。
ジル ああ、そうですね(笑)。


(つづきます)


2011-10-18-TUE